電動工具を駆使して2カ月半!DIYで丸太ガレージ作り【グッとくる工具2020冬】

【特集】グッとくる工具2020冬

DIYといえばちょっとした棚や箱などを作るのがはじめの一歩。さらに趣味が高じてガレージや小屋を作ってしまう強者もいる。フリーライターの和田義弥さんもその一人。週末をベースに約2カ月半。その工程で大活躍したという電動工具を使用する際のポイントとDIYの魅力を伺った。

■プロじゃないんだからDIYは自由でいいんです

「田舎の古民家を手に入れ、それまで住んでいた都心郊外の住宅地から移住したのがDIYを始めたきっかけです」と話す和田義弥さんの住まいは、田園風景が広がる茨城県筑波山麓の農村にある。昭和初期に建てられた古民家は、和田さんが移住した当初、トイレ、風呂、キッチンといった水回りがなかった。それを自分で作ったのが初めてのDIYだという。

「そもそも田舎に移住したのも、身の回りのものをできる範囲で手作りする暮らしがしたかったからなんです。そういうの何となく楽しそうじゃないですか。それで、古民家改修も本やネットの情報を頼りに自分でやることにしたんです」

そのためになくてはならなかったのが電動工具。手始めに安価な丸ノコとインパクトドライバー、サンダーなどを買いそろえたが、実はこれが大失敗。

「パワーはないし、バッテリー弱いし、すぐダメになっちゃうんですよ。今、それなりにいい道具を使うようになってわかるんですけど、作業性がぜんぜん違います。いい道具は早いし、正確だし、無理する必要がないから安全性も高い。電動工具ってそれなりに高価ですけど、やっぱりしっかりした品質のものを買った方が絶対にいいですよ」

仕事が休みの日に少しずつ作業を進めながら約1年かけて古民家改修を終えると、次にとりかかったのがガレージ。

「古民家改修でDIYにはまりました。頭で考えているものを、自分の手で少しずつ形にしていくのが楽しいんですよね」

和田さんの古民家には薪ストーブが設置されているが、その頃、燃料の薪としてタダで手に入れた間伐材が庭に山積みになっていたそう。ガレージはその丸太を使って建てることにしたものの、自然のままの形をした丸太をどうやって加工するかが分からなかったという。製材された角材のように丸ノコでは切れないし、そもそも寸法だってどうやって測ればいいのか。そこで、仕事でつながりのあった丸太建築のプロ、ログビルダーにその方法を教わることにしたのだという。

「丸太の加工はチェンソーでやるんです。最初はちょっと怖かったんですが、すぐ慣れました。そうやって使える道具が増えると、それだけできることも広がります。昔の人が手道具だけで何でも作っていたのを考えると電動工具って革命的。今でも最新の工具を手にすると作業性の高さに感動しますよ。手に取った瞬間から違いを感じられますから。それくらい最近の工具の進歩はすごいです」

▲軽トラから外したあおりを渡した 棚。趣味が高じてプロ仕様のチェンソーや電動工具が並ぶ

ホームセンターで手に入る材料だけではなく、身の回りのあらゆるものを利用できるのもDIYの面白さだという。ガレージの壁は柱の間に渡した枝に輪切りにした丸太を挟んだユニークなもの。棚には使わなくなった軽トラのあおりを利用している。

DIYって自由。プロじゃないんだし、こうしなくちゃいけないってことは何もない。センスよく作りたいとは思うけど、それも自己満足でいいんですから」

移住から間もなく10年になるという和田さん。求めていた手作りの暮らしは、古民家を改修し始めたときからずっと続いている。

▲小さな部品や金物はガレージの壁にピンで留めてある。使いたいときにすぐ見つかるので便利

▲ツールボックスは、DIYしたアンティーク風の小引き出し。取っ手には自然木を使っている

▲実はオートバイで世界一周もしている和田さん。そのときの愛車やヘルメット、写真などが飾られている

■電動工具を安全かつ快適に使うためのポイント

1. 作業場は常に整理整頓せよ。
2. 決して作業を急いではいけない。
3. 常に危険性を予測しながら使用せよ。
4. 切断工具は必ずガイドを使え。
5. いい工具は作品の完成度を高める。

電動工具は便利な反面、使い方を間違えると危険を伴うので、それを十分理解する必要がある。特に丸ノコやディスクグラインダーなどの回転工具は、無理な力が加わると作業者側に跳ね返ってきて大ケガにつながるケースもある(キックバック)。作業場の環境を整え、常に危険を予測しながら、丁寧に作業することでそうした事故は防げる。

■ガレージ完成までの道のり

4月1日(日)
・庭に積まれた材料の丸太を眺めて、どんなガレージを作るか考える。

4月7日(土)
・水盛遣方でガレージを建てる場所を決め、スコップやツルハシで整地する。

4月8日(日)
・コンクリートブロックで基礎をつくる。

4月14日(土)
・材料にする丸太(10本程度)の皮をむく。結構大変な作業。ドローナイフという刃の両端に取っ手がついた道具を使う。

4月15日(日)
・墨坪と水平器を駆使して丸太に寸法を記す。

4月21〜22、28〜29日(土日×2)
・丸太をチェンソーで必要なサイズにカットし、ホゾを刻む。概ね材料がそろう。

5月5〜6日(土日)
・屋根の下地となる垂木をスライド丸ノコで必要なサイズにカットし、桁と棟木に渡す。

5月12日(土)
・屋根の下地となる垂木をスライド丸ノコで必要なサイズにカットし、桁と棟木に渡す。

5月13日(日)
・垂木にトタンを張って屋根が完成。

5月19日(土)
・土台に大引きと根太を渡し、野地板を張って床が完成。

5月20日(日)
・柱の間に枝を渡して、その間に輪切りにした丸太を挟み込んで壁にする。

5月26日(土)~
その後の週末×3で、半割にした丸太でウッドデッキをつくる。

>> 【特集】グッとくる工具2020冬

※2020年11月6日発売「GoodsPress」12月号掲載記事をもとに構成しています

(文/石岡一郎 写真/阪口克)

 

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