時計を手にするきっかけなんて、いろいろあっていいじゃない! カルチャーな腕時計たち Vol.19 フランク・シナトラとブローバ

“フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン(Fly Me To The Moon)”や“マイ・ウェイ(My Way)”をはじめとする数々のヒット曲を生み出し、多くの映画にも出演したフランク・シナトラ。1998年にこの世を去ってからもなお、多くの人に愛され続けている、アメリカを代表するエンターテイナーだ。そんな彼にオマージュを捧げた時計がリリースされた。

コレクションを手がけたのは、同じくアメリカを代表するブローバ

ブローバの創業は1875年。ジョセフ・ブローバがニューヨーク・マンハッタンのメイデン・レーンに宝飾店「J.ブローバ」を開業したのが、その始まりだ。このジョセフ・ブローバ、熟練の技術者であり発明家でもあったという。そんな彼に時計製造を提案したのが、1909年に従業員となったジョン・バラード。この提案によって1911年に時計の製造を本格始動させ、翌1912年にはスイス・ビエンヌに工場を設立。「量より品質、生産より完璧性」をフィロソフィーとし、安定した製品クオリティの維持に努めたことで、ブローバは急成長を遂げていく。

1919年に男性用宝飾時計のフルラインを発表して以降、1927年にチャールズ・A・リンドバーグの大西洋単独無着陸飛行を讃えた「ローン・イーグル」、翌1928年には世界初のクロックラジオをリリース。第二次世界大戦時には米軍に軍用時計を納入するなど、時計メーカーとして数々の実績を積み上げていくが、なかでもブローバを代表するのが、1960年に発表された世界初の音叉式電子時計「アキュトロン」だ。ちなみに2020年には、この画期的な時計を生み出したブローバのDNAを受け継いだ新ブランド、アキュトロンから、静電誘導技術を用いた「アキュトロン スペースビュー 2020」が発表されたが、その詳細についてはこちらの記事を参照してほしい。

1960年に発表されたブローバの名作「アキュトロン」。内蔵された音叉が約360Hzで振動し続け、この振動を積算することで時計を動かす画期的な技術が用いられていた。

シナトラの歌声を想起させる優雅なデザイン

さて、このブローバ、時計の製造技術もさることながら、プロモーションにも長けていた。1926年、アメリカで時計メーカー初となるラジオCMを展開し、1941年には世界初のテレビCMを放送。そして1950年代、当時アメリカで絶大な人気を誇っていたテレビ番組「フランク・シナトラ・アワー」のスポンサーをも務めていたのだ。また現在、ブローバは、ザ・レコーディング・アカデミーやレコーディング芸術科学ラテン・アカデミーといった組織とパートナーシップを締結している。こうした、音楽カルチャーとの関係も含めて実現したのが「フランク・シナトラ コレクション」だ。

ブローバ
フランク・シナトラ コレクション “Young At Heart”
各8万1400円

イエローゴールドPVDが施されたステンレススチールケースにサンレイダイアルを組み合わせた、エレガントなトノー型のシリーズ。フェデラーハットをレイアウトした12時のインデックスがアクセントに。自動巻き。SSケース(イエローゴールドPVD)、3気圧防水、ケースサイズ縦45×横33.5mm。

同コレクションは、2シリーズ計5モデルがラインナップされ、いずれもシナトラの代表曲からシリーズ名が付けられている。ひとつが「Young At Heart(ヤング・アット・ハート)」で、これはジョニー・リチャーズ作曲、キャロリン・レイ作詞による1953年のミリオンセラー・ナンバー(翌1954年にはビルボードのチャートで2位を獲得)からネーミングされたモデル。イエローゴールドPVDを施したエレガントなトノー型ケースを採用し、このバラードの雰囲気に合うデザインに仕上げている。

もうひとつが「The Best Is Yet To Come(ベスト・イズ・イェット・トゥ・カム)」。サイ・コールマン作曲、キャロリン・レイ作詞によるジャズ・ナンバーで、1964年発表のアルバム『It Might as Well Be Swing』に収録されている。このタイトルが付けられた時計は直径40mmのラウンドケースを採用し、ダイアルには二重線による格子模様を施した洒落たデザイン。ちなみにこのナンバーはシナトラが公の場で歌った最後の曲で、“The Best Is Yet To Come(=最高のときはこれから)”の言葉は、彼の墓石にも刻まれている。

ブローバ
フランク・シナトラ コレクション “The Best is Yet To Come”
各10万7800円(左・中)
11万4400円(右)

ダイアル6時位置にフェデラーハットのシルエットとシナトラのサインを配したシンプルなラウンドモデル。ダイアルに施された格子模様が、シナトラ コレクションにふさわしい。自動巻き。SSケース(右のみイエローゴールドPVD)、3気圧防水、ケース径40mm。

コレクションに共通しているのは、ダイアルに配されたシナトラのトレードマークであるフェデラーハットのシルエットと彼のサイン。いずれのモデルも、シンプルななかにさりげないアクセントが施され、上品な歌声と数々の美しいナンバーを遺したシナトラにふさわしい仕上がりとなっている。


すべてのモデルには、シナトラのレコードアルバム・ボックスセットから着想を得たスペシャルBOXが付属。

問 ブローバ相談室●0570-03-1390
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