【アウトドア銘品図鑑】
料理のおいしさは温度で左右されます。
冬キャンプでは熱々のカップラーメンがごちそうですし、A5ランクのステーキでも冷えて脂が固まっていたらおいしさが半減しちゃうんですから。外気温の影響をダイレクトに受けるアウトドアでの食事には、保冷力・保温力自慢のボトルや食器が大活躍します。
2009年にアメリカ・オレゴン州で生まれたステンレスボトルメーカー「ハイドロフラスク(Hydro Flask)」にも保冷力・保温力自慢のフードジャーがラインナップされていますが、2020年にアップデート。以前よりも使いやすくなったと評判なんです。
その名は「INSULATED FOOD JAR」。
12oz(354ml、4500円/税別)、20oz(591ml、5200円/税別)、28oz(828ml、5900円/税別)の3つの容量、4色展開(28ozのみ1色)となっています。
■新旧を比較してみる
アップデートしたフードジャー「INSULATED FOOD JAR」は、従来からある「FOOD FLASK」からどんな風に進化したんでしょうか? 比べてみました。
▲「FOOD FLASK」12oz
サイズはφ8.8×H14cm、315g。やや縦長で小さな手でも持ちやすいデザインです。表面はおなじみのパウダー加工を施しているので濡れた手でも滑りにくくなっています。
▲「INSULATED FOOD JAR」12oz
サイズはφ10.9×H8.6cm、318g。広口になって食器としてそのまま使いやすくなっています。従来品の「FOOD FLASK」は蓋の縁(黒い部分)が見えていますが、「INSULATED FOOD JAR」は蓋の縁ではなく本体のステンレスがラインとなってスタイリッシュに見せています。
約φ11cmなので小さな手ではつかむように持つのは大変なのですが、背が低くなったためお椀のように持てるので食事しやすくなっています。手でお椀を持って食べるのをマナーとする日本では自然に使えるデザインと言えるでしょう。本体表面はパウダー加工です。
「FOOD FLASK」は本体内側に溝が付いています。しっかり密閉できますが、ほかの食器に取り出すときに溝にスープがたまりやすいのが残念。
一方「INSULATED FOOD JAR」本体の内側はスッキリ。外側にねじ山が付いています。また、あくまでイメージですが、底の出っ張りもゆるやかになっています。蓋のパッキンにも注目。
蓋の裏をよく見ると「BPA FREE」と「Remove Seal Clean」の文字が刻まれています。赤いパッキンはしなやかで爪を差し込むと簡単に持ち上がり、取り外せます。これはうれしい進化ですね。ちなみに「FOOD FLASK」も「INSULATED FOOD JAR」も、ステンレスボトルにありがちな蓋を締めるときの嫌な音はありません。
保冷力は「FOOD FLASK」が3.8℃→6時間後10℃、「INSULATED FOOD JAR」12ozで3.8℃→6時間後12.7℃とわずかに落ちますが、内容量が多いほど温度変化が少なくなるので、20ozは3.8℃→6時間後10℃、28ozなら3.8℃→6時間後8.8℃。12ozの場合、「INSULATED FOOD JAR」は広口になったので開けたときに外気の影響を受けやすいのかもしれません。
底のくぼみはそのまま。バランス良く、指で支えやすいデザインです。
スタッキングできて、持ち運びで苦労しません。ポリプロピレン・TPE(熱可塑性エラストマー)の蓋は、フラットですが底の形に沿うように少しだけくぼみができています。だから重ねてもズレにくいんですね。これは優秀です。
■だいたいどのぐらい入るの?
容量は12oz、20oz、28ozの3種類です。それぞれ何を入れるといいのでしょうか?
ためしに米1合を入れてみました。
保温調理器のように直接ボトルを火にかけることはできませんが、3分ほど弱火で煮た米を「INSULATED FOOD JAR」に入れればご飯を炊けるし、よく吸水させた米を入れて熱湯を注げばお粥を作れます。
米1合150g、大さじ1だと12.5g。お茶碗1杯で0.4合(60g)程度なので、余裕を見て一人分は半合強(80g、大さじ6.5)。半合強の米を炊く場合、熱湯は130cc程度必要なので、一人分のごはんなら12oz、二人分なら20ozといったところでしょう。
用意する際に鍋を使うのでそのまま炊けばいいわけですが、燃料を節約したいときや移動時間を利用したいときに重宝する炊き方です。
20ozは、よくあるおでんのひとり用パックがぴったり。他の料理の量にもよりますが、具だくさんスープだとひとり分では多く、2人だとちょっと物足りない感じです。
28ozに、市販のスープカレーを2袋入れるとぴったり。12ozにコンビニで売っていた皮むきりんご80gとパイナップル115gを入れて、隙間に寒天ゼリー1/2個を詰めました。どちらも2人でシェアするのにちょうどいい容量です。
お弁当向きのL.L.ビーン「ボート・アンド・トートバッグ ミニ」に、20ozと12ozの「INSULATED FOOD JAR」、16oz「Wide Mouth」を入れてみました。
少しジャーの上部がトートバッグよりはみ出ますが持ち手には干渉しません。12ozを2つ重ねると「Wide Mouth」の高さとほぼ同じでトートバッグの縁とそろいます。スマホや財布、一口サイズのおやつなんかを入れるスペースがあるので日常のランチにも重宝します。
* * *
「INSULATED FOOD JAR」は、ふたをちゃんと蓋をすれば汁漏れすることがないので、ランチボックスとして料理を持ち運ぶだけで使うのはもったいない。下ごしらえをした食材の持ち運び、保温調理、料理をおいしく食べるための食器など1年を通してマルチに活躍します。
バーチ(明るいグレー)、オリーブ、ストーン(濃いグレー)、サンフラワーという落ち着きがありつつ料理を引き立てるカラバリになったのも好感が持てますね。
>> ハイドロフラスク
<取材・文/大森弘恵>
大森弘恵|フリーランスのライター、編集者。記事のテーマはアウトドア、旅行、ときどき料理。Twitter
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- Original:https://www.goodspress.jp/reports/341104/
- Source:&GP
- Author:&GP
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