理研の数理創造プログラム(理研iTHEMS)が発足させた新プロジェクト「Useless Prototyping Studio」は、一見役に立たないけれど、人の心をインスパイアするプロトタイプを生むデザインスタジオだ。
理研iTHEMSはこれまでも、国際研究拠点として、科学への「好奇心」を軸に分野横断的な議論・研究を続けてきた。今回の新プロジェクト立ち上げには、一体どのような背景があったのだろうか。
好奇心が新たなアイデアを生む
およそ100年前にアインシュタインが発表した相対性理論は現在、GPSのズレを補正する技術に応用されている。しかし、彼が自身の理論を初めて公に披露したとき、それが何に役立つのか誰もわからなかった。
科学は課題解決の為に存在していると思われがちだが、純粋に好奇心を原動力とした研究が、思わぬ形で世の役に立つことがある。未来の不透明さが特に増している昨今の現状を踏まえ、そうしたメソッドに改めて注目が集まっている。
第1段は「未来の記録デバイス」
そこで理研iTHEMSが提唱するメソッドは、科学者の「未知への好奇心」から導き出された科学的理論・仮説をもとに、それらが未来を一変させる可能性を空想し、プロトタイプとして具現化するというもの。仮説・空想・具現の3ステップにより、科学がもつ未来へのポテンシャルを可視化するとしている。
ティザーサイトでは早速、プロトタイプの第1弾として、「ブラックホールは、未来の大容量情報ストレージ?」が公開された。
蒸発するブラックホールの内部に情報が蓄えられる仕組みを記述した最新論文を元に、未来の記録デバイスを空想、具現化していくという。プロトタイプ第1弾の発表は、2021年3月初旬を予定している。
なお、プロジェクトにはクリエイティブ・ブティックの「SCHEMA」「addict」も参画。理研iTHEMSと共同で新たなプロトタイピングの実現に臨む。
(文・九条ハル)
- Original:https://techable.jp/archives/144456
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:九条ハル
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