Jack Ma(ジャック・マー)氏と彼のフィンテック帝国にとって、なんと慌ただしい休日だったのだろうか。中国の中央銀行である中国人民銀行は米国時間12月26日、規制に関する話し合いのためにAnt Groupを呼び出し、フィンテック企業が規制違反を「是正」するための包括的な計画を発表した。
この会合は、中国の金融当局が規制遵守問題を理由に、記録的な新規株式公開(IPO)を突然中止してから2カ月も経たないうちに行われた。Alibaba(アリババ)のオンラインマーケットプレイスにおける決済処理会社として始まり、2011年にスピンアウトした同社は、健全なガバナンス体制を欠き、規制要件に反し、裁定取引を違法に行い、市場での優位性を利用して競合他社を排除し、消費者の権利を侵害したと、中国人民銀行は述べている。
同時に、ジャック・マー氏のeコマース大手であるアリババは、独占的行為の疑いで中国の市場規制当局から調査を受けている。
銀行当局は、億万長者であるアリババ創業者のジャック・マー氏が支配するよって管理されているAnt Groupに対して「フィンテック企業は決済の原点に立ち返り、取引の透明性を高めること」「クレジット事業に必要なライセンスを取得し、ユーザーデータのプライバシーを保護すること」「金融持株会社を設立し、十分な資本を確保すること」「法律に従ってクレジット、保険、資産運用などの金融事業を見直すこと」「証券業務のコンプライアンスを強化すること」という5つのコンプライアンスアジェンダを提示した。
非公開会議後、Ant Groupはすべての規制要件に取り組むための社内に「従業員調整」のチームを設置したと述べている。
この再編が完了するまでには数カ月かかる可能性があり、Ant Groupの評価額を下げる可能性もある(Reuters記事)。評価額は上場予定時期に3000億ドルを(約31兆円)を超えていた。たとえば政府は最近、消費者へのローンを提供するための基準を引き上げる計画(Reuters記事)。を発表していた。これはAnt Groupの年間収益の約35%を占める(未訳記事)セグメントだ。中国政府の債務リスク管理努力の一環として提案されているこの変更では、オンライン小口融資業者が銀行と共同で、融資する資金の少なくとも30%を提供することが新たな要件となり、Antのキャッシュフローを圧迫する可能性がある。
しかし、Ant Groupの将来について楽観的な意見もある「(Antは)多くの勝ちを生み出している。長い目で見れば、IPOの一時的な停止が同社のビジネスに与える影響は限定的だ」とクロスボーダー決済事業者であるXTransferの創業者であり、Antの元幹部であるBill Deng(ビル・デン)はTechCrunchに語っている。
「規制当局の観点から見ると、「(Antの)融資規模は非常に大きくなっており、従来の規制範囲を超えて拡大している。また、伝統的な金融関係者の核心的利益をある程度侵害している」とデン氏は付け加えた。
Ant Groupに対する取り締まりは、間違いなく業界全体に警告でもある。Antへの挑戦者であるJD.comのフィンテック部門は、驚くべき動きとして、元チーフコンプライアンスオフィサー(Caixin記事)を新たな最高経営責任者として同社の舵取りに任命している。
Tencentの海外フィンテック事業のパートナーの匿名希望者は、Tencentはフィンテック事業を拡大(未訳記事)しているが、このソーシャルとゲームの巨人はその推進に対して「Antほど積極的ではない」ためAnt Groupと同じレベルの調査を同社は受けていない可能性があると述べている。
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カテゴリー:フィンテック
タグ:Alibaba、Ant Group、ジャック・マー、中国
画像クレジット:Sean Gallup / Getty Images
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(翻訳:TechCrunch Japan)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2020/12/28/2020-12-27-ant-group-financial-clampdown/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Rita Liao
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