2020年躍進したバイク業界を象徴する注目のニューモデル5選

【2020年注目ジャンル総まとめ】

いろいろあった2020年でしたが、バイク好きにとっては心躍るニューモデルが続々と登場した1年でした。業界的にも、密を避ける通勤手段として選ぶ人が増えたため、販売台数が昨年よりも伸びた年でもありました。特に需要が高いのが排気量125cc未満の原付二種で、保険料などの維持費が安く、原付一種に比べて制限速度や二段階右折などの制約を受けないことが人気のポイントのようです。6月に発売されたホンダの「ハンターカブ・CT125」もこの流れに拍車をかけているといえるでしょう。

スポーツタイプでもガチでレースでの勝利を目指したホンダ「CBR1000RR-R」や、約20年ぶりに復活した250cc 4気筒のスーパースポーツ・カワサキ「Ninja ZX-25R」など、レーサーレプリカ世代にはたまらない車種も登場しました。「ハンターカブ・CT125」にしても「Ninja ZX-25R」も大人気で年間の販売予定台数を早々に売り切り、納車待ちの状況が続いているようです。

 

1. 乗るとますます欲しくなるホンダ「ハンターカブ・CT125」

2020年に発売されたモデルの中で、バイクファン以外からも大きな注目を集めたのが「ハンターカブ・CT125」(44万円)でしょう。1981年に発売された「CT110」にルーツを持つモデルですが、当時のデザインを上手に継承したスタイリングで登場しました。デザインもさることながら、大型のキャリアを装備し、キャンプツーリングなどに出掛けたくなる車体の作りも、アウトドアブームが盛り上がる中で人気を集めたポイントでしょう。

走行性能に目を向けても、「スーパーカブ・C125」ゆずりの125ccエンジンは「クロスカブ110」などに比べて発進加速に余裕があり、街乗りでも交通の流れをリードできます。強化されたフレームや、トップブリッジマウントとされたフロントフォークなどの恩恵もあり、乗り味はスーパーカブシリーズの気楽さを受け継ぎつつも、確実に「バイクを操っている」という愉しみが味わえるもの。44万円という価格がお買い得に感じられるほどの完成度です。

 

2. ホンダの本気がビシビシ伝わる「CBR1000RR-R」

ホンダのスポーツ系マシンのフラッグシップである「CBR1000RR-R」(242万円~)は、同社が本気でレースでの勝ちを狙ったマシン。このモデルから、モデル名の「R」が1つ増えたことからも、その本気度の高さがうかがえます。実は「CBR1000RR」はマイナーチェンジはされていたものの、フルモデルチェンジされたのは2008年以来のこと。レースの現場で設計の古さが言われるようになったことを受けて、エンジンからフレームまで完全新設計とされました。

ホンダが本気で開発しただけあり、最高出力は218馬力と一昔前のMotoGPマシン並。同社のMotoGPマシン「RCV213V」と同じボア×ストローク値であったり、チタン製のコンロッドを採用していたりと、メカ好きにもグッとくるポイントが多々あります。

中でも一番の注目ポイントはマフラー。アクラポビッチと共同開発されたマフラーは、5000回転を超えるとバタフライバルブが開き、本物のレーシングマシンのようなサウンドが耳に届くのです。トラクションコントロールやウイリーコントロール、クイックシフターなどの電子制御技術も多用され、レーシングスペックでありながら公道でも乗りやすいマシンに仕上がっています。問題は標準モデルで242万円、SPモデルで278万3000円という価格くらいでしょうか。

 

3. かつてのレプリカ小僧の胸を熱くさせるカワサキ「Ninja ZX-25R」

1980〜90年代に“レーサーレプリカ”と呼ばれるモデルが市場を席巻した時代がありました。そのままサーキットに持ち込めるようなスペックを持ったマシンが毎年のようにモデルチェンジを繰り返していた時代、250ccでも4気筒のエンジンが当たり前でした。しかし、近年のこのクラスは単気筒や2気筒のマシンが主流。当時を知る世代は、やっぱり4気筒でなきゃ…という思いを抱え続けていました。そんな思いに応えるように登場したのが「Ninja ZX-25R」(82万5000円~)。カワサキの250cc 4気筒スポーツモデルは、1999年に生産を終了した「ZXR250」以来になります。

最高出力は45馬力(ラムエア加圧時は46馬力)。レッドゾーンが始まるのは1万7000回転からと、レーサーレプリカ世代も文句なしのスペックで登場したこのモデル。価格も標準モデルが82万5000円、クイックシフターなどを装備した上位グレードでも91万3000円と、予想を下回るもので、ヒットするのも当然でしょう。

乗ってみて感じたのは、思ったよりライディングポジションがキツくないということ。そして、1万回転以上での官能的なサウンドを愉しみながらも、1000ccモデルのようにスピードが出ないので、反応速度に自信がなくなってきたオジサン世代でも身構えずに乗れるということです。カワサキ系のショップではレンタルバイクとしても用意されているので、気になる人は一度乗ってみることをオススメします。

 

4. 冒険心を掻き立てるヤマハ「Ténéré700」

近年、世界的に人気が高まっているのが、未舗装路の走行も視野に入れたアドベンチャーマシンと呼ばれる長距離ツーリングに対応したモデル。ただ、このクラスの主力は1000ccオーバーのマシンで、日本国内のツーリングや林道走行では性能を持て余してしまうのが正直なところです。そこに登場したのがヤマハの「Ténéré(テネレ)700」(126万5000円)。人気モデル「MT-07」の688cc 2気筒エンジンを搭載し、オフロードも走れる扱いやすさを備えたマシンです。

排気量を抑えたこともあり、車重は205kgとこのカテゴリーでは軽量。足回りは前21インチ、後18インチのホイールにストロークが長いサスペンションを備え、本気のオフロード走行にも対応できるスペックです。最高出力は72馬力と特筆するほど高くはありませんが、270度クランクのエンジンは路面に駆動力を伝えるトラクション特性に優れ、慣れない人でも安心してオフロード走行が楽しめます。シート高が875mmと高いのがネックでしたが、これを837mmまで下げたローダウンモデルもスタンダードと同価格で用意されているので、気になる人はまたがってみてはいかがでしょうか。

 

5. クラシカルな見た目のモンスターマシンBMW MOTORRAD「R18」

▲左が「R18」

輸入車で今年一番のインパクトを残したのは、間違いなくBMWの「R18」(254万7000円)でしょう。1936年に発表された「R5」など、往年の名車をイメージしたスタイリングで、伝統の水平対向2気筒エンジンを搭載していますが、排気量はなんと1802cc。最近のダウンサイジングが進むクルマより大きなエンジンを積んでいます。最高出力は91馬力ですが、発生回転数は4750rpm。最大トルクは158Nmを3000rpmで発生させるので、余裕を持ったクルージングが楽しめそうです。

ホイールベースは1725mmでシート高は690mmと、ロー&ロングなクルーザーの王道を行く車体レイアウト。BMWのバイクといえば、疲れ知らずで長距離を走れる特性には定評あるので、余裕のあるトルクフルなエンジンと相まって、どこまでも走って行けそうです。価格もクルマ並ですが、高速道路のSAなどでは同価格のクルマより注目を集めることは間違いないですよ。

 

■ 2021年期待の電動バイク! ハーレー・ダビッドソン「LiveWire」

最後に、今年発表され、来年に国内発売予定の注目モデルを。ハーレー・ダビッドソンの「LiveWire」という電動バイクです。ハーレーといえば、圧倒的な鼓動感のあるV型2気筒エンジンがアイコンですが、これはなんと電動モーターで走ります。15.5kWhの大容量バッテリーを搭載し、航続距離はおよそ235km。ハーレーらしい迫力あるスタイリングで、走りの能力も高いとか。価格は349万3600円とのことですが、バイクらしさを感じさせる電動マシンとして期待が高まりますね。

>> [特集]2020年注目ジャンル総まとめ

<取材・文/増谷茂樹

増谷茂樹|編集プロダクションやモノ系雑誌の編集部などを経て、フリーランスのライターに。クルマ、バイク、自転車など、タイヤの付いている乗り物が好物。専門的な情報をできるだけ分かりやすく書くことを信条に、さまざまな雑誌やWebメディアに寄稿している。

 

 

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