家族信託サービス「ファミトラ」を提供するファミトラは1月12日、第三者割当増資による2.2億円の資金調達を発表した。引受先は、Coral Capital、SMBCベンチャーキャピタル、みずほキャピタルの3社。調達した資金により、開発体制強化による効果的な支援の実現、銀行その他との連携を強め、一般の方にも広く使える家族信託ならびに関連サービスの提供を進める。
従来、一般的に家族信託を組成するには資産規模に応じて100万円超の高額な費用がかかるため、富裕層向けサービスとされてきたという。
同社は、2025年には認知症者数が700万人、2030年には認知症者の総資産額が200兆円を超えるとされる中、認知症に関連するお金のトラブルは今後増大していく一方と見られ社会課題となっていくと指摘。
そのため、家族信託を誰にでも手が届く老後の準備のスタンダードとするために、テクノロジーによるオペレーション効率化により、信託財産評価額が1億円未満の場合初期費用税抜4万9800円+年額費用税抜2万9800円から家族信託を始められるようにした。
自身や家族が認知症になった際、「意思能力がない」とみなされるとあらゆる契約が行えなくなる場合があるという。老後の資金が必要になっても、自宅や保有株式の売却が行えなくなり、場合によっては、銀行口座が凍結されてしまうなど、認知症に関連した様々なお金のトラブルが発生してしまうことになる。
これを回避するための制度として成年後見制度があるものの、成年後見制度には「一度後見人が選任されると本人が亡くなるまで解任できない」「毎月数万円の費用がかかる」「資産管理において柔軟性に欠ける」「資産の管理を家族以外の手に委ねることになる」といった課題があるという。
同社は、その解決方法として、家族に自身の資産を委託する仕組み「家族信託」があるとしている。認知症になる前に家族間で信託を行うことで、認知症に関連するお金のトラブル回避、遺言などと同様の機能の達成など、老後の資産問題対策として利用できるという。
ファミトラは、教育系スタートアップ「manabo」を創業し2018年に駿台グループからのM&Aを受けた連続起業家の三橋克仁氏、高齢者に関心を持ちつつAIやブロックチェーンなど先端領域を専門とする早川裕太氏が創業。日本において「AgeTech」を推進しつつ、信託法に精通した弁護士も所属するなど、信託分野をはじめとする専門性の高い企業となっているとしている。
AgeTechとは、高齢者を支援する様々なテクノロジーの総称。IT先進国であるアメリカでも高齢化が問題となり、ヘルスケア産業の進展と共に注目を浴びている。
関連記事
・レーダー用いた高齢者見守りデバイスの米Tellusが7.3億円を調達、日本出荷とともに高齢者施設への普及目指す
・英国で最大の遺言書作成者となったオンライン遺言・火葬サービスのFarewillが約27億円調達
・死亡時に自動で遺族に情報共有する個人向け資産管理サービス「Kubera」
・遺書、生命保険、遺産分けなど死後の準備を簡単にしてくれるアプリFabric
・デジタル遺言のススメ
・認知症リモート診断の米スタートアップがみずほ情報総研と提携、高齢者ケアを年内にも事業展開へ
・AI駆使で要介護者見守りや在宅透析治療管理、学生スタートアップが8000万円調達
・駿台グループ、オンライン家庭教師サービス「manabo」を買収
・オンライン家庭教師サービスのマナボがZ会グループと資本業務提携、2.5億円を調達
・オンライン家庭教師サービスのmana.bo、ベネッセなどから3.3億円の資金調達
カテゴリー:フィンテック
タグ:資金調達(用語)、資産管理(用語)、認知症、ファミトラ、遺言、日本(国・地域)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2021/01/12/famitra-fundraising/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Takashi Higa
Amazonベストセラー
Now loading...