世界一のスピードで「高齢社会」が進行する日本。そのなかでも危機に直面しているのは、全国の農家だ。「人と協働する」ロボットが、その解決策になるかもしれない。
東京貿易マシナリー株式会社(TBM)、山口県農林総合技術センター、山口東京理科大学は、産学公連携により「スマート農機を活用した梨の生産」の共同研究を開始した。
農家が直面する課題
誰もが「農家は高齢化が進行している」というイメージを持っているだろう。それでも、この現状は驚きではないだろうか。現在、全国の農業従事者のじつに8割は65歳以上が占める。さらに、4人に3人は70歳以上という状態である。
「平均年齢トップ」の山口県は、農業従事者の平均年齢が72歳で、まさに「超高齢農業県」だ。同県は、瀬戸内海や日本海の沿岸部から中国山地まで変化に富んだ地形をしており、さまざまな種類の農産地が生産される。
そのなかでも「梨」は山口県の隠れた名産だ。県内外におけるブランド力と人気が高く、今後ますます力を入れていきたい農産物だという。一方で、肝心の梨の生産者は年々減少・高齢化傾向にあり、県にとって大きな課題のひとつとなっている。
今回の産学公の共同研究では、山口県の梨生産の現場で、運搬支援ロボットCoRoCo(コロコ)を活用することで、収穫・集荷作業の負担の軽減を目指すという。
運搬支援ロボットCoRoCoとは?
TBMが開発を進めてきた「CoRoCo」は、運搬作業に特化して人と一緒に働くロボット。
「手押し台車では重くて運ぶのが辛い」「けど、フォークリフトを使うほどもでもない」。しかし「無人搬送機や自律走行搬送ロボットなどのハイスペックな機器の導入は現実的ではない」。
このような現場の「リアルな声」に応えて開発されたのが「CoRoCo」で、最大100kgのモノを上に乗せて運ぶことができる。無人搬送機などとは異なり、CoRoCoは自動で動くことはできない。しかし電源を入れて、人がテザーハンドルを持って歩き出すと、ロボットが後ろをついてくるという仕組みだ。
最先端技術で高性能なロボットは、高度なこと・人間では難しいことが可能になるが、そのぶん高価だったり使いこなすのに時間がかかったりと、現場に導入しスタッフが実際に使いこなすのにはハードルが大きい場合もある。
一方でCoRoCoは、人がちょっと困った時に手助けをするという、まさに「痒い所に手が届く」ロボットだ。TBMによると、本研究を通じて、農園など不整地で働く人たちがより使いやすくなるものをつくっていくという。
- Original:https://techable.jp/archives/146105
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:takeuchi
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