みんなの銀行は1月14日、5月下旬予定のサービス提供開始に向けて、事業方針に関する発表会を開催した。同行は、2020年12月22日に銀行業の営業免許を取得、また2021年1月4日は国内初のデジタルバンクとして銀行システムの稼働を開始している。
みんなの銀行は、デジタル起点で発想し、ゼロベースで設計された次世代のデジタルバンク(チャレンジャーバンク)という。口座開設からATM入出金、振込など、全サービスがスマートフォン上で完結できる新しい銀行となっている。
ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)傘下のiBankマーケティングが提供するスマートフォン向け銀行公式アプリ「Wallet+」は、提供開始から4年間で130万ダウンロードを突破し、9つの地域金融機関とのアライアンスを実現。DXの加速・実現に向けたノウハウ・知見の蓄積が進んでいるという。
これらの経験を元にみんなの銀行は、シンプルかつデジタルに「銀行」そのものを「Re-Design」(再デザイン)、「Re-Define」(再定義)することで、国内初のデジタルバンクとしてのポジション確立を目指す。BaaS(Banking as a Service)による事業パートナーとのエコシステ
ム連携を通じて、「銀行」の枠組みを超えた新たな価値共創を目指していく。
みんなの銀行では、FFG傘下のシステム開発子会社ゼロバンク・デザインファクトリー(ZDF)が構築した次世代バンキングシステム「Zerobank Core Solution」(ZCS)を利活用した事業運営を行う。
ZCSは、アクセンチュアを開発パートナーとして、国内の金融機関としては初めてGoogle Cloudが提供するGoogle Cloud Platform(GCP)を勘定系システムの構築基盤として採用。最新テクノロジーの活用を通じて構築されており、従来の銀行システムでは実現できない軽量かつ柔軟な次世代バンキングシステム、またクラウドネイティブに適したものとなっているという。
ZCSはフルスクラッチで構築しており、「自動化前提のプロセス/行員オペレーション」「顧客データ中心のサービス・エコシステム」「マイクロサービス&APIアーキテクチャ」など従来型バンキングシステムとは一線を画す6つの特徴を採用。ZCS利活用によるシステム運用コストの最適化とともに、柔軟かつ迅速な商品サービスの開発・提供や、高度なセキュリティの下で様々なエコシステムとの柔軟な連携を進めることが可能。同行のミッション「みんなに価値あるつながりを。」のもと新たな価値提供を実現するとしている。
また、デジタルネイティブ世代が抱える課題・ニーズを解決するため、「みんなの『声』がカタチになる」「みんなの『いちばん』を届ける」「みんなの『暮らし』に溶け込む(BaaS事業)」といった3点のサービスコンセプトを掲示。
個人向け金融サービスの提供(B2C事業)を軸に「B2B2X事業」「バンキングシステム提供事業」の計3つの事業ドメインを段階的に展開。各事業の詳細は、今後の提供開始などのタイミングに合わせて改めて発表する予定。また個人・法人のニーズを満たすために、自行サービスのみならず、FinTech企業などとのサービス・機能連携も検討しているとした。
事業ドメイン
- B2C事業:全国のデジタルネイティブ世代をターゲットに、スマートフォンで完結する金融サービスを提供
- B2B2X(BaaS)事業:みんなの銀行の金融機能・サービスを、APIを介して事業パートナー(主に法人)に提供
- バンキングシステム提供事業:システム開発/運用業務の内製化を進め、システム・機能自体を提供/販売
B2C事業では、従来より銀行が提供してきた「バンキング機能」に加え、日常のお金のやり取りや管理をスマートフォンで手軽にできる「デジタルウォレット」アプリに一体化させた新しいモバイル専業銀行を目指す。
普段使いのWallet(普通預金)機能とBox(貯蓄預金)機能を用意するほか、バーチャルデビットカードにより、チャージレスで口座直結の買物が可能。Record(アカウントアグリゲーション)機能では、他行口座やカード情報などを登録することで、お金まわりの情報を一元管理を行える。
口座開設についても、来店不要かつ24時間365日いつでもスマホだけで完結できるようにしており、印鑑レス・郵送レス・カードレスで、アプリを財布代わりに利用できるという。
また、サービスコンセプトのひとつ「みんなの『暮らし』に溶け込む」は、BaaS(Banking as a Service)事業を指すという。金融機能・サービスをAPIを通じて提供することで、事業パートナーの金融事業への参入を容易にし、事業パートナーが保有するチャネルなどを通じて、金融機能・サービスをオンデマンド型で提供することを可能にするとした。
これにより、例えば企業が従業員向けに金融サービスを搭載した「Wallet」を提供するなどが可能になる。各業種/各企業が抱える課題・ニーズに合わせたサービス連携により、事業パートナー企業は「顧客体験の向上」「収集したデータの利活用」「金融サービス提供による新たな収益源の獲得」といった大きく3つのメリット(ベネフィット)を享受できるとした。
画像提供:みんなの銀行、撮影:菊地英二
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カテゴリー:フィンテック
タグ:銀行(用語)、日本(国・地域)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2021/01/15/2021-01-15-minna-no-ginko/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Takashi Higa
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