Johnson & Johnson(ジョンソン・エンド・ジョンソン)の子会社であるJanssen Pharmaceuticals(ヤンセン・ファーマシューティカルズ)が作った単回接種の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンを配布開始する準備がほぼ整った。同社は第Ⅲ相試験のデータに基づく有効性報告書を発表したばかりで、この新しいワクチンが新型コロナ感染症の中等度から重症化の予防には全体で66%、重症化の予防には85%の有効性があることを明らかにした。
これらの数字は、すでにFDA(米国食品医薬品局)の緊急使用承認を受けて配布が始まっているModerna(モデルナ)やPfizer(ファイザー) / BioNTech(ビオンテック)が開発したワクチンの報告されている数字(どちらも90%以上の有効性が報告されている)に比べると印象的ではない。しかし、ジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチンは、2回の接種が必要なく、1回の注射で済むため、はるかに簡単かつ早く配布することができるはずだ。このワクチンはまた、接種後28日目には、試験参加者の入院や死亡を100%防ぐ効果を示しており、これは新型コロナウイルスが保険資源に与える影響を考える上で重要な指標となる。有効性は地域によって異なるが、米国では中等度および重度の症例では72%の有効性が証明されたのに対し、世界全体では66%だった。
Johnson & Johnsonの第Ⅲ相試験が、英国や南アフリカで確認された変異種のように、より感染力の強い新種のウイルスが出現している中で行われていることも重要だ。ModernaやPfizer / BioNTechが試験データを発表した時点では、これらの変異種はまだ見つかっていなかった。
Johnson & Johnsonのワクチンは、改変した風邪ウイルスの一種(アデノウイルス)をベクター(運び手)として使用し、人の体に、SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)が人の細胞に付着するために使用するスパイクタンパク質の複製を構築する指示を出す遺伝子情報を送達する。この改変されたアデノウイルスは、人間の細胞内で複製することはできず(病気にならないという意味)、免疫反応が起こるだけで、これが後に新型コロナウイルスの感染を抑える抗体を作り出す。このアデノウイルス法は、現在使用されている他のワクチンが採用するmRNA法と比べると、人での使用という点では、はるかに実績がある。
つまり、ModernaやPfizerのデータと比較すると、数字の上では物足りないように見えるものの、ジョJohnson & Johnsonの報告は、実際には非常に勇気づけられるものであるということだ。同社によると、2021年2月にはFDAに緊急使用承認(EUA)の要求を提出する見込みで、翌月2021年3月には配布が可能になると予想されるという。世界的な感染と戦うための武器が、また1つ加わることになりそうだ。
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カテゴリー:バイオテック
タグ:Johnson & Johnson、新型コロナウイルス、ワクチン
画像クレジット:Thiago Prudêncio/SOPA Images/LightRocket / Getty Images
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(文:Darrell Etherington、翻訳:Hirokazu Kusakabe)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2021/01/30/2021-01-29-johnson-johnsons-covid-19-vaccine-is-85-effective-against-severe-cases-and-66-effective-overall-per-trial-data/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Darrell Etherington,Hirokazu Kusakabe
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