2020年秋、Amazon(アマゾン)が新しい生体認証デバイス「Amazon One(アマゾン・ワン)」を導入したことで、Amazon Goの店舗では手のひらを使って支払いができるようになった。
同社は米国時間2月1日、この装置をシアトルにある他のAmazonの店舗にも導入すると発表した。これにより、Amazon Go(アマゾン・ゴー)のコンビニエンスストア、Amazon Go Grocery(アマゾン・ゴー・グローサリー)、Amazon Books(アマゾン・ブックス)、Amazon 4-star(アマゾン4スター) を含む、合計8つのAmazonの実店舗でこのシステムを利用できるようになる。
同日より、シアトルのマディソン&マイナーにあるAmazon Goの店舗で、Amazon Oneシステムが入店時オプションとして追加される。今後数週間のうちに、5th&MarionとTerry&Stewartにある2つのAmazon Goストアにも展開される予定だと同社は述べている。これでシアトルの8店舗にこのシステムが導入されることになり、今後数カ月の間には米国の他の都市への拡大も期待される。
説明されているように、Amazon Oneシステムは、コンピュータビジョン技術を使用して、顧客ごとに固有の掌紋を読み取るもので、これをアマゾンは初期設定時に顧客が挿入したクレジットカードと関連づける。顧客はAmazonアカウントを持っていなくてもサービスを利用できるが、アカウント情報を関連づけると、Amazonのウェブサイトで買い物の履歴を見ることができるようになる。
Amazonによると、掌紋の画像は暗号化されてクラウド上で保管され、顧客の手のひらによる署名が作成されるという。手のひらの画像だけでは顧客の身元を特定できないため、掌紋は他の本人確認の方法よりもプライベートな生体認証の形式であると、このシステムの発表時にAmazonは主張していた。
しかし、もちろんAmazonは単に手のひらの画像を保存しているだけではない。手のひらの画像を顧客のアカウントやクレジットカードと照合し、効果的に顧客の生体認証データベースを構築しているのだ。また、そこから収集した買い物履歴などのデータを利用して、後に顧客の買い物傾向に合ったおすすめ商品を紹介したり、キャンペーンなどを提供することができる。
このシステムは、Amazonのより大きな計画に対する疑問も提起する。過去に同社の生体認証の使用は、かなり物議を醸してきたからだ。Amazonは、米国の法執行機関に顔認証サービスを販売していたが、同社の顔認識技術はプライバシー侵犯で訴訟の対象となった。Amazon傘下のセキュリティカメラ会社Ring(リング)は、警察との提携を続けている。ユーザーデータのプライバシーに関しても、Amazonは慎重ではない。たとえばユーザーが音声ファイルを削除しても、Alexaの音声データを保存し続けるといった具合だ。
しかもAmazonは、Amazon Oneを単なる自社店舗への入店手段として想定しているわけではない。これらはあくまでもテスト市場に過ぎない。そのうちAmazonは、スタジアムやオフィスビル、Amazon以外の小売業者など、サードパーティでもこの技術を利用できるようにしたいと考えている。
新型コロナウイルス感染流行の真っ只中というAmazon Oneが発表されたタイミングは、顧客の利用に拍車をかけた。クレジットカードとその後の買い物を非接触で関連づけることができるためだ。店舗に再び来店した際には、リーダーの上に手をかざすだけで再度スキャンされ、入店することができる。
しかしこれらのシステムは、現金による支払いを好む社会経済的地位の低い層にとって、不利になる可能性がある。キャッシュレスやチェックアウトフリーの店舗では、店員を呼んで手続きしてもらうまで待たされることになるからだ。
Amazonによると、このシステムは今後もさらに多くの店舗に展開していくという。
関連記事:アマゾンが手のひらをかざして入店・決済できるスキャナー「Amazon One」をシアトルの2店舗に導入
カテゴリー:ハードウェア
タグ:Amazon、Amazon One
画像クレジット:Amazon
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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2021/02/03/2021-02-01-amazon-expands-its-biometric-based-amazon-one-palm-reader-system-to-more-retail-stores/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Sarah Perez,Hirokazu Kusakabe
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