あなたが住宅ローンを申し込んだことがあるなら、それが最も苦痛をともなう手続きの1つであることは知っているはずだ。ローンの間、遅延することなく支払いし、顧客サービスに対応することはいずれもピクニックのようなものではない。
なのでこのプロセスをより簡単なものに、そしてデジタル化して透明性のあるものにするという目標の下に、この分野に大金が注ぎ込まれるのは驚きではない。
そのためにテックを駆使した住宅ローンサービスのValon Mortgage(バロン・モーゲッジ)は米国時間2月2日にシリーズAラウンドで5000万ドル(約52億5000万円)を調達したと発表した。今日の基準においてこのステージでの規模としては大きい。
以前Peach Streetという社名だったニューヨーク拠点のValonの本ラウンドはAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ、a16z)がリードした。既存投資家の中からJefferies Financial Group、Fortress Investment Group LLC傘下のNew Residential Investment Corporation 、166 2nd LLC(WeWorkの共同創業者Adam Neumann[アダム・ニューマン]氏のファミリーオフィス)もラウンドに参加した。
Valonはこれまでに連続起業家Kevin Ryan(ケビン・ライアン)氏のAlley Corp、Soros、Kairos、Zigg Capitalといったシード投資家から320万ドル(約3億4000万円)を調達していている。
Andrew Wang(アンドリュー・ワン)氏、Eric Chiang(エリック・チャン)氏、Jon Hsu(ジョン・スー)氏は、米国の住宅ローンの半分以上を支配している「最大のローンサービスソフトウェア企業」による「マーケットの寡占」なるものを打破しようと、2019年6月にValonを創業した。
「我々は、2008年に匹敵する住宅ローン差し押さえ危機の境界線にいます。そしてローンの支払いに苦しんでいる住宅所有者の大半は、自身が持つ選択肢に気づいていません」とValonのCEOであるワン氏は話した。「この締め付けは過去10年で250%近くのサービスコストアップにつながりました。そして手数料は直接借り手に跳ね返ってきます」。
資金調達と時期を同じくして、 Valonは最近、Fannie Mae(ファニーメイ、連邦住宅抵当公庫)から政府支援の住宅ローン扱いの許可を受けた(知らない人のために説明すると、ローンの提供は貸し手に代わって支払いを回収するようなことを意味する)。ワン氏によると、許可はValonが引き続き急成長するのに貢献する。
「1年で契約ゼロから100億ドル(約1兆500億円)の住宅ローンを扱うまでに成長しました」とワン氏はTechCrunchに話した。
Valonは49州でサービスを提供しており、2021年ニュヨークにも進出する。
住宅ローンサービス業界の元投資家として、ワン氏は他のローン回収業者が提供する「サービスの欠如」が不満だった。そして同氏はValonを立ち上げるために、Google(グーグル)、Twilio(トゥイリオ)でプロダクトとエンジニアリングの経験があったチャン氏、スー氏とチームを組んだ。
Valonのクラウドネイティブのプラットフォームは借り手志向のエクスペリエンスと表するものを提供するのが目的だ。貸し手もまた借り手のパフォーマンスを閲覧したりトランザクションデータを照合したりするのにリアルタイムのAPIデータフィードへのアクセスを要望できる。
借り手に金を貸すローン原債権者と異なり、ローン回収業者は15年から30年の間となるローン期間について借り手と話し合う。
「貸し手の代理としてのローン回収、そしてストレスのかかるときに借り手へのサポートとガイダンスの提供のようなものも含まれます」とワン氏は述べた。「従来の住宅ローン回収業者は時代遅れのテクノロジーを使っていて、借り手にそれほど良くないサービスを提供しています。Valonは住宅所有者に透明性とフルサービス能力を提供することでその点を大幅に変えようとしています」。
同社のテクノロジーは全プロセスの垂直統合によりローンサービスコストを最大50%削減する可能性がある、と同社は主張する。同社のプラットフォームは、暗号のデフォルトや侵入感知などの機能を備えるなどセキュリティを「第一原則」としてGoogle Cloud上で構築されている、と同社は述べた。
何百万という米国人が2020年に新型コロナウイルスパンデミックの経済負担のために住宅ローン支払いを停止した。これは支払猶予の要望と抵当物件差し押さえの一時停止につながった。
「パンデミックはマーケットにあるストレスを際立たせ、新時代のローン回収業者の必要性を大幅に加速させました」とワン氏は述べた。「住宅所有者はかなりの経済ストレスに直面し、正しい選択と既存サービスからのサポートを得るのに苦労しました。既存サービスの時代遅れのテクノロジーとリクエスト処理能力のなさのためです。2021年に支払猶予と差し押さえ免除が終わると、ニーズはより差し迫ったものになります」。
2020年半ばにValonの役員会に加わったAndreessen HorowitzのゼネラルパートナーであるAngela Strange(アンジェラ・ストランジ)氏は、Valonがモバイルファーストのローン回収サービスをゼロから立ち上げたと話す。
「住宅所有者は騒々しいウェブサイト、コールセンター、そして往々にして誤情報に直面します。Valonはクリアで透明性のある法規制に則った情報を提供できるソフトウェア駆動の信頼できるアドバイザーを抱えています。電話をかける必要はありません」と同氏は声明文で述べた。
ファニーメイの許可は、Valonが構築したプラットフォームにお墨付きを与えた、と同氏は付け加えた。
Valonは調達した資金を従業員の増加にあて、年末までに3倍の100人にするつもりだ。また、より多くのサービシング権利(MSR)契約を獲得するのにも資金を注入する。
カテゴリー:フィンテック
タグ:Valon Mortgage、住宅、ローン、資金調達
画像クレジット:Valon Mortgage
[原文へ]
(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nariko Mizoguchi)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2021/02/03/2021-02-02-valon-closes-on-50m-a16z-led-series-a-to-grow-mobile-first-mortgage-servicing-platform/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Mary Ann Azevedo,Nariko Mizoguchi
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