SpaceXは、開発中の重量級再利用型宇宙船「Starship(スターシップ)」で現行10番目の試験機体となる「SN10」を打ち上げた。SpaceXが開発施設を置くテキサス州ボカチカから離陸したStarship SN10は、約10kmの高さまで上昇した後、摩擦を利用した着陸降下に向けてマヌーバを行い、体勢を立て直した。
この高度を飛んだ過去2台のStarship試験機体とは異なり、約6分間の飛行は火の玉になって終了することはなかった。SN10は意図したとおり、着陸に向けた姿勢転換マヌーバを完了させ、落下速度を減速させて軟着陸した。ロケットは垂直姿勢を保ったまま、無傷のままだ(更新:とはいえ、ロケットは着陸してから数分後に着陸パッド上で静止している間に爆発したのだが、これは潜在的に漏れが原因であった可能性がある)。
これはすばらしい結果であり、SpaceXのライブストリームによると、すべて「計画どおり」とのことだ。しかし、前回と前々回の爆発後、どうしてすぐにここまで来れたのだろうか?それはこのロケットの開発方法によるところが大きい。すべてのロケット開発には予期せぬ出来事や最良ではない結果が付き物だが、SpaceXの仕事にはいくつか平均的な宇宙船メーカーと異なる点がある
まず、この開発をオープンに行っていることだ。ボカチカの施設は、基本的にはいくつかの小さな建物、コンクリートのパッド、貯蔵タンク、足場があるだけだ。公道に非常に近く(テスト中は閉鎖され、周辺地域は避難している)、人々はクルマで近くまでやって来てカメラを構え、そこで行われていることを撮影することができる。これは、従来のロケットメーカーの一般的なやり方とはまったく違う。
そして2番目、SpaceXの創業者でCEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏が、SpaceXが迅速にStarshipの試作機を製造して試験を繰り返す開発戦略を追求することに対して、一切ブレないことだ。つまり、一般的なロケットメーカーのように、各テストを行った後に一度引き下がって、数カ月に及ぶ長期的な分析を行ってから別の仕様のロケットを製作して飛ばすのではなく、SpaceXでは少しずつ改良を加えた複数の試作機を、同時進行で製造・組み上げていることを意味する。
この日、最初の打ち上げの試みは、短いエンジン点火の後に中断された。ロケットの計器が、マスク氏のいう「保守的」に反するわずかに高い推力値を示したからだ。これに対し、実際にSpaceXが考案した修正策は、試験中止を回避するため、限界値を高く調整することだった。
同社が飛行と着陸に成功した後に起こった爆発の原因について、これから調査を行うことは間違いない。だが、開発のこの段階において、SpaceXにとって最も重要な事項が、すべて成功したことに変わりはない。Starshipの次なる課題は、テスト飛行の高度をさらに上げることだろう。もちろん最終的には軌道に到達することが目標だが、その前にSpaceXは大気圏内に留まりながらも、今回の試験飛行をはるかに上回る打ち上げを、何度か試すことになるだろう。
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カテゴリー:宇宙
タグ:SpaceX、StarShip、ロケット
画像クレジット:SpaceX
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(文:Darrell Etherington、翻訳:Hirokazu Kusakabe)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2021/03/04/2021-03-03-spacexs-starship-prototype-flies-to-32000-feet-and-sticks-the-landing-in-third-flight-test/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Darrell Etherington,Hirokazu Kusakabe
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