グーグルが7インチディスプレイの新型Nest Hub発表、Soliレーダーが睡眠トラッキング用途で復活

驚きの復活だ。Google(グーグル)は米国時間3月16日朝、第2世代となる新型「Nest Hub(ネストハブ)」の発売を発表した。2018年に「Google Home Hub(グーグル ホーム ハブ)」という名前で登場したこのスマートディスプレイは、2019年にリブランディングされたにもかかわらず、これまで大きな変更はあまり見られなかった。今回登場した第2世代モデルも、先代から大幅にアップグレードされたわけではないが、見覚えがある(そしてほとんど忘れられていた)機能が搭載されている。

2019年末にPixel 4(ピクセル4)の発表とともに導入された「Project Soli」という技術について、その後あまり耳にすることはなかった。動きを感知するこの小型のレーダー技術は、発表から約4年を経てようやくデバイスに搭載され、大きなセールスポイントとして位置づけられていた。だが、これを利用するアプリケーションは非常に少なく「Motion Sense(モーション センス)」と呼ばれるジェスチャー検知機能や、専用に作られた奇妙なポケモンアプリなどがあったくらいだ。

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そして、Soliは消えてしまった。2020年に発売されたPixel 5には、Motion Senseが搭載されていなかったのだ。家電製品では一度採用された機能が廃止されることは確かに珍しくないが、Googleが間違いなく時間とリソースを費やして開発した技術としては奇妙に思われた。

画像クレジット:Google

新型Nest HubでSoliが再登場したことは確かに予想外だったが、かつてモバイルアプリケーションで行った試みよりも、今度はようやくその意義が活かせるかもしれない。新型Nest HubにおけるSoliの主な用途は、初代Nest Hubからの最も大きな変更点である睡眠トラッキングだ。なぜSoliが使われたのかというと、Googleが既存の技術の新たな使い途を探していたからという理由だけではない(間違いなくそれもあるだろうが)。

新型Nest Hubには、初代と同様にカメラが搭載されていない。Googleがデバイスにカメラを搭載しないと決めたことは、新しいAmazon Echo(アマゾン エコー)が人の追跡機能を使って実際に部屋の中であなたの姿を追いかけるようになった今、この世界における一服の清涼剤のようにも感じられる。カメラが重要だと思うのであれば、これまでと同様に「Nest Hub Max(ネスト ハブ マックス)」を選択することもできる。しかしGoogleは、初代Nest Hubがベッドサイドに置かれることが多かった件に正しく言及している。

それはつまり、

1. ネットワークに接続されたデバイスにカメラを搭載することは、プライバシーに関する重大な懸念を生じさせる。

2. 睡眠トラッキングをするには理想的な場所である。

そこで考えたのが、

  1. カメラを使わずに睡眠トラッキングを行うにはどうすればいいのか?

それに対する簡単な答えは、ウェアラブルデバイスを使うことだ。Googleは、Fitbit(フィットビット)の買収を完了させたことで、その分野における足場をより強固なものにした。しかし、この買収が完全に定着するまでには、まだ時間がかかるだろう。また、筆者はこれまで多くのウェアラブルデバイスを試してきた者として、どんなに快適な製品であっても、手首に装着していない方がよく眠れると断言できる。睡眠トラッカーのせいで眠れないというのも確かに皮肉な話だが、だからといって気にしないようにすることも難しい。

Soli技術についての簡単な復習(Googleによる説明)

Soliは、超低電力の電波を発射し、対象となる場面から反射された信号を測定するFMCW(周波数連続変調)方式のミリ波レーダートランシーバーで構成されています。反射信号の周波数スペクトルには、場面内における物体の距離と速度が集約されています。この信号を処理することで、ユーザーの睡眠領域など特定の範囲を分離し、その領域内における大きな体の動作からセンチメートル以下の呼吸まで、幅広い動きを検出して特徴付けることができます。

画像クレジット:Google

つまり、基本的には、カメラによるセンシングをベッドサイドの小型レーダーと交換するという話だ。確かに、頭では理解しにくいかもしれない。ここで最も重要なことは、レーダーによるモーション・トラッキングでは、画像を収集するのではなく、動きに基づいたデータのみを収集しているということだ。

このSoliを使ったGoogleの「Sleep Sensing(スリーブ センシング)」システムは、10万時間以上の睡眠データを基に学習したもので、データの解析にはTensorFlow(テンソルフロー)が使われているという。これによって、最初の調整プロセスが完了した後は、シーリングファンのような人体以外の動きを排除することができる。睡眠トラッキングだけでなく、画面が徐々に明るくなるSunrise Alarm(目覚ましディスプレイ)やジェスチャーで目覚ましをスヌーズする機能など、従来のNest Hubにソフトウェアアップデートで展開された睡眠に関わるその他の機能も活用されている。

他にも、新しいスマートホームインターフェースなど、ソフトウェア面のアップデートが行われてる。しかし、全体的には、睡眠トラッキング以外の改善点は多くない。しかし、実際にはそれで全然構わない。初代Nest Hubは市場で最も優れたスマートディスプレイの1つだったからだ。

スピーカーは低音が向上するなどの改良が施されたというが、ほどんど変わっていない。画面サイズは初代と同じ7インチだが、デバイス全体のフットプリントは、スピーカーの改良に合わせて少し大きくなっている。また、本体の54%にポストコンシューマーリサイクル(消費者が製品を使用した後に回収された)プラスチックが使用されているという。

99ドル(約1万800円)という価格は、確かに適切だろう。Googleは初代Nest Hubから49ドル(約5350円)値下げした。米国では16日に予約受付が始まっており、30日に販売開始となる。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:GoogleGoogle Nestスマートディスプレイ睡眠

画像クレジット:Google

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)


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