Ketchは、オンラインのプライバシー規則とデータのコンプライアンスが複雑さを増す世界に対処しようとする企業を支援するスタートアップだ。同社はシリーズAで2300万ドル(約25億円)を調達したと発表した。
また、同社はステルスから正式に姿を現した。筆者は2020年に同社のPrivacyGraderツールについて記事を書いたが、ここにきて同社はさらに大きなビジョンや有料の製品を公表した。
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Ketchを創業したのはCEOのTom Chavez(トム・チャベス)氏とCTOのVivek Vaidya(ヴィヴェーク・ヴァイディヤ)氏だ。2人は以前にデータ管理プラットフォームのKruxを創業し、2016年にSalesforceに買収された。ヴァイディヤ氏は筆者に対し、Ketchは自らに対する問いかけの答えだと語った。「どのようなインフラストラクチャを作れば、以前の自分たちはより良くなるだろうか?」。
チャベス氏は、Ketchは訪問者や顧客がどこにいても企業が常にデータ規則を遵守するためのプロセスを自動化できるように設計されていると語る。同氏は、ヨーロッパのGDPRのような地域ごとの規則があると最も厳しいルールにグローバルで従おうと考えてしまいがちだが、それは必要ではなく望ましくもないという。
「データを使って成長し、規則に従うことは可能です。我々のある顧客は、規則を守るためにデジタルマーケティングを完全に止めてしまいました。このような事態は防がなくてはなりません。【略】この顧客は責任感がたいへん強いのですが、複雑さに対処するツールを知らなかったのです」とチャベス氏は語る。
創業者の2人は、物事は考えているよりもさらに複雑だとも指摘する。真のコンプライアンスは「ハリウッドの正面入口」のようなプライバシーのバナーだけにはとどまらず、複数のプラットフォームにわたって顧客のリクエストを本当に実行することが求められるからだ。ヴァイディヤ氏は例として、誰かがメーリングリストを解除する際には「メールが今後確実に送られないように、そしてタイムリーに顧客の選択に応えるために必要な、複雑なワークフロー」が存在すると説明する。
チャベス氏は「顧客から『私のデータを削除して欲しい』と言われたのにマーケティングのメールやターゲティング広告がまだ顧客に届くとしたら、『弊社の社内では対応しました、それはマーケティングやメールのパートナー企業の問題です』と説明しても顧客は満足しないでしょう」と補足した。
同氏は、Ketchは既存のマーケティングや顧客データツールに代わるものではなく「企業が事業を運営している管轄区域に応じて規則に遵守するための設定をするもの」と説明する。資金調達の発表の中で、Patreonの法律顧問代理であるPriya Sanger(プリヤ・サンガー)氏はKetchについて「最短のエンジニアリング時間で我々のシステムに統合」し「同意管理とオーケストレーションシステムを簡単に設定し国際的に展開できた」と述べている。
シリーズAではCRV、super{set}(チャベス氏とヴァイディヤ氏が設立したスタートアップスタジオ)、Ridge Ventures、Acrew Capital、Silicon Valley Bankが支援した。CRVのIzhar Armony(イザール・アーモニー)氏とAcrewのTheresia Gouw(テレジア・ゴウ)氏がKetchの経営陣に加わる。
カテゴリー:ネットサービス
タグ:Ketch、資金調達、プライバシー、PrivacyGrader、コンプライアンス
画像クレジット:Ketch
[原文へ]
(文:Anthony Ha、翻訳:Kaori Koyama)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2021/03/25/2021-03-24-ketch-series-a/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Anthony Ha,Kaori Koyama
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