世界のスマホ市場で年々存在感を高めている中国メーカー。出荷台数のシェアでは、依然としてサムスンとアップルがトップ2をキープしていますが、そこに食い込むべく中国メーカーが台頭してきています。
一時はアップルを抜く勢いだったファーウェイは、米中摩擦問題からグーグルアプリが使えない状況にあり、厳しい戦いを強いられていますが、他のメーカーは逆に勢いを増している印象。2018年に日本市場に参入したOPPO(オッポ)、2019年に参入したXiaomi(シャオミ)も世界市場ではトップ5に入っています。日本未参入のVivo(ヴィーヴォ)もトップ5入りをしたことがあり、先述の3メーカーに加えて “中国4強” と言っていいでしょう。
中国メーカーの強さは技術力と価格。GalaxyやiPhoneと同等のスペックを備えた機種が半額程度で買えたりします。例えば、シャオミが2月に発売した5Gスマホ「Redmi Note 9T」は6.53インチの大画面やメインが4800万画素のトリプルカメラなどを搭載しつつ、2万1600円。日本市場だけの戦略的な価格かと思いきや、海外でも同等の価格のようです。
そんな中、新たな中国メーカーが日本市場に参入しました。アジア地域を中心に急成長を遂げている「realme(リアルミー)」というブランドです。
■若いユーザーに支持されて急成長
realmeは2018年8月に設立された新進のメーカー。筆者が見聞きしたことに間違いがなければ、もともとはOPPOのサブブランドとしてスタートしたはずで、現在はOPPOから独立して事業を展開しています。
2019年から本格的なグローバル展開を開始し、2020年の始めに「スマートフォン+IoT」という戦略的エコシステムを発表。2020年11月には世界でスマートフォン販売台数5000万台を達成し、2020年の第3四半期には出荷台数シェア7位になっています。わずか3年足らずで、日本メーカーを含む多くのメーカーをごぼう抜きにしたと言っていいでしょう。
▲スマホの出荷台数では世界7位となり、最も急成長しているスマホブランドと評価されている
2021年4月現在、アジア、ヨーロッパ、オセアニア、アフリカなど、世界61の国と地域に進出。そのうち13地域ではスマホシェアのトップ5入りを果たしているそうです。
▲フィリピンとマレーシアではトップ3入りを果たしている
realme躍進の理由は、徹底したブランド戦略にあるようです。メインターゲットである若年層にアピールすべく、デザインに注力。自社のデザインスタジオを設立し、世界的に著名なデザイナーも起用。その中には、日本を代表するプロダクトデザイナーの深澤直人氏も含まれます。
▲左からブランドビジュアルデザインを手がけるエディー・オパラ氏、プロダクションデザイナーの深澤直人氏、realmeデザインスタジオのアートディレクターを務めるジョゼ・レヴィ氏
▲エディー・オパラ氏のデザインによるrealmeブランドアイテム
▲深澤直人氏は特別仕様のスマホのデザインを手掛けている
▲ジョゼ・レヴィ氏がデザインしたワイヤレスイヤホンは日本でも発売される
realmeは、ブランドスローガンとして「Dare to Leap」を掲げています。「勢いよく、躊躇なく、飛び越える」という意味だそう。若いユーザーに向けて新しい価値を提供していくことに注力し、同じ価格帯で最も競争力のある製品を作ることを目指しているとのことです。
▲realmeのブランドスローガンは「Dare to Leap」。ターゲットは流行に敏感な若年層
■日本参入第1弾はスマートデバイス5製品
Realmeが日本市場第1弾として発売するのは、スマホではなくスマートデバイス。ワイヤレスイヤホン3機種、スマートウォッチ、モバイルバッテリーの計5製品です。いずれも競合メーカーが多く、レッドオーシャンと呼ぶべき市場ですが、スペックのわりには手頃な価格という印象です。
▼realme Buds Air Pro
業界トップクラスの最大35dBのノイズキャンセリング機能を搭載したワイヤレスイヤホン。10mmのダイナミックドライバーを内蔵し、とくに高音域をクリアに再生できることが特徴。最大25時間の再生が可能で、カラバリはホワイトとブラックが用意されます。
▲4月15日発売予定で価格は1万3800円
▼realme Buds Q
格安モデルながら、世界的に著名なデザイナーでrealmeデザインセンターのアートディレクターを務めるジョゼ・レヴィ氏がデザイン。川辺の丸石をモチーフにしており、軽くて手に馴染む充電ケースが特徴。10mmダイナミックドライバーを内蔵し、AACコーディングにも対応しています。
▲片耳が約3.6gという軽さも魅力。4月15日発売予定で価格は3480円
▼realme Buds Wireless Pro
ブランドカラーであるイエローとブラックでデザインされたネックバンド型のワイヤレスイヤホン。13.6mmのダイナミックドライバーを搭載し、LDACコーディングにも対応。最大35dBのノイズキャンセリング機能があり、リモコンのボタンを押してスムーズにオン・オフ操作ができます。
▲5月以降発売予定で価格は9980円
▼realme watch S
スマホの通知や健康管理など、スマートウォッチとして必要十分な機能を備えつつ、昨今需要が高まっている血中酸素レベル測定機能も搭載。最長で15日間使い続けられるスタミナも魅力です。
▲4月15日発売予定で価格は1万1800円
▼realme 20000mAh Power Bank 2
最大3台のデバイスを同時に充電できる、20000mAhの大容量モバイルバッテリー。色はイエローとブラックから選べます。
▲5月以降発売予定で価格は4980円
いずれの製品も取り扱いはECサイトのみで、realme 公式楽天市場、Amazon、ひかりTVショピングで購入できます。実際に手に取って確認できないのは残念ですが、それによってコストダウンを図り、オンラインでのユーザーのコミュニケーションを活性化させるという狙いもあるようです。
■realmeが日本で成功する可能性は?
海外ではエントリーからハイエンドまで、スマホのラインナップも広げつつあるrealme。日本でもスマホを発売するのかどうかは気になるところ。日本市場への参入に先駆けて、メディア向けに説明会が開催されましたが、realmeの日本法人である株式会社シンガ・ジャパンの取締役社長・賀 梦瀟(カ・ムショウ)氏は「まずは、スマートデバイスを発売して、日本のお客様の反応を見たい」と話し、スマホ発売については「グローバルで多くのデバイスを提供しており、日本での展開はこれから検討していきたい」と、明確な回答は避けていました。
▲海外ではすでにハイスペックモデルも展開。これも深澤直人氏がデザインしたモデル
▲5Gモデルもリリースしている
第1弾の商品群は、ブランドの知名度を上げるためのものとしては弱い印象もあります。主力商品ではあるスマホの発売も視野に入れているのは間違いないでしょう。OPPOもシャオミも日本上陸当初は、iPhoneが圧倒的なシェアを持つ日本市場で成功するのか? と不安視する人も多かったように記憶しています。しかし、両社ともに日本の大手キャリアとの協業も開始し、日本でのファンも増やしつつあります。近い将来、realmeのスマホが日本のお店に並ぶ可能性は十分にあるでしょう。
▲日本で発売される製品の一部。パッケージも統一されたブランドイメージでデザインされている
中国には他にも、先述のVivoや、そのサブブランドであるiQOO(アイクー)、OPPO傘下でデザイン性に優れた端末を展開するOnePlus(ワンプラス)など、多くのブランドがあります。新たなブランドが日本に参入することも期待できそうです。
>> realme
<取材・文/村元正剛(ゴーズ)>
村元正剛|iモードが始まった1999年からモバイル業界を取材し、さまざまな雑誌やWebメディアに記事を寄稿。2005年に編集プロダクション「ゴーズ」を設立。スマホ関連の書籍・ムックの編集にも携わっている。
【関連記事】
◆Xiaomiが本気を見せた! 4眼スマホ2機種を激安価格でリリース!
◆OPPO初のスマートウォッチは当然ハイコスパ!
◆いつもの靴をスマートシューズに! 「HUAWEI Band 4e」でランニングをデータ化!
- Original:https://www.goodspress.jp/news/364912/
- Source:&GP
- Author:&GP
Amazonベストセラー
Now loading...