コロナ禍の影響で、我々はみんな好むと好まざるとにかかわらず、以前よりもずっとリモートワークに慣れた。しかし新型コロナ以前からあるSlackやTrello、Zoom、Asana、そして他にもたくさんのリモートツールは、認めたくはないが我々の生産性を上げるために本当に必要なことの表面をかろうじてかすっている程度にすぎない。幸いなことにリモートワークツールの新時代が早くも到来しつつある。筆者が先日ツイートしたように、長い目で見てリモートワークをもっと生産的に(そして健康的に!)したいなら、我々は非同期という観点でもっとしっかり考えなくてはならない。
以前からあるツールにも非同期のコラボレーション機能は備わっているが、新しいツールの波がやってきている。例えばLoomは「見せて伝える」ための一方向ビデオのツールで、2億360万ドル(約224億円)を調達した。しかしLoomには欠点がある。コラボレーションの機能が少ないのだ。
そこでヨーロッパの新しいスタートアップがこの問題を解決しようとしている。
Claapは動画とコラボレーションの機能を備えた非同期ミーティングプラットフォームで、同社は問題解決の一助になるのではないかと考えている。2021年6月中にプライベートベータを公開する予定だ。
Claapはプレシードラウンドで300万ドル(約3億3000万円)を調達した。投資したのはLocalGlobe、Headline、E.Ventures、Kima Ventures、そしてFront共同創業者のMathilde Collin(マチルデ・コリン)氏、Oyster共同創業者のTony Jamous(トニー・ジャマス)氏、NestとGoCardlessを創業したMatt Robinson(マット・ロビンソン)氏、Automatticのプロダクト責任者であるAadil Mamujee(アーディル・マムジー)氏などのエンジェルだ。他にSongkickのIan Hogarth(イアン・ホガース)氏、StripeのOlivier Godemen(オリビエ・ゴドメン)氏、Station FのRoxanne Varza(ロクサーヌ・バルザ)氏、FirstBaseのChris Herd(クリス・ハード)氏、KimaのXavier Niel(ザビエ・ニエール)氏、Remoteに投資したShane Mac(シェイン・マック)氏など30人のエンジェルも参加した。
以前はちょっとした情報交換で済んだものが今では30分のZoom会議になっていて無駄だと、我々はみんな気づいている。「非同期ミーティング」はこの状況を改善するかもしれない。
Claapの製品を使うと、従業員はあるトピックに関する最新情報の短い動画を録画し、他の人が気になった箇所にコメントを付けられるようにして、チームメンバーに対応してもらう期限を設定できる。その後、同僚は時間のあるときにその動画を見て対応する。Claapはリモートワークにおける「廊下でのちょっとした情報交換」に相当するものを開発している。TrelloやJiraといった他のワークスペースツールを統合できるので、プロジェクトに関して何か決定をする際にチーム全員が確認し振り返りができるように記録が残る。チームの規模に応じてスケールするサブスクリプションモデルが計画されている。
リアルタイムでのやりとりを必要としないため、全員がミーティングに参加できる時間を見つけなくて済む。「会ってミーティングをする」のではなくなるわけだ。その代わりに、このプラットフォームはフィードバックと反復の場を提供する。
創業者のRobin Bonduelle(ロビン・ボンデュエル)氏とPierre Touzeau(ピエール・トゥゾー)氏は、Automatticなどの企業やGitLabがすでに採用しているソリューションに着目した。トゥゾー氏は以前に360Learningに在籍していたが、同社ではミーティングに厳密な制限がかけられていた。ボンデュエル氏はプロダクト担当VPだったOguryの他、Rocket Internetなどさまざまなスタートアップやスケールアップで10年にわたるプロダクトマネジメントの経験がある。ボンデュエル氏は4つの異なる国と時間帯にまたがる50人のスタッフをマネジメントするうちに、非同期コミュニケーションが習慣となった。トゥゾー氏はL’Orealや360Learningなどに勤務し、360Learningではマーケティング担当VPだった。
非同期コミュニケーションが常に完璧というわけではない。メールやSlackのメッセージが読み落とされてしまうことがあるのはご存じの通りだ。動画はその解決策になるかもしれない。
Claapの共同創業者でCEOのボンデュエル氏は次のように説明する。「リモートで働くようになって1年が経ち、人々はオフィスで仕事をしないメリットを認識するようになっていますが、同時に最悪の成り行きと格闘しています。次から次へと実施されるビデオミーティングです。オフィスにいれば5分で解決する問い合わせに少なくとも30分はかかるようになり、誰もがこの状況に疲れ切っています。Claapはこの問題を解決するために作られています。スタッフ同士がこのツールを使って連絡を取り合えますが、時間に縛られません。決定を迅速にするミーティングの新しい形です」。
トゥゾー氏は次のように語った。「ミーティングは仕事に必要なことではありますが、1日をすべてミーティングに費やす必要はありません。非同期ミーティングは、カレンダーの予定を空けながらも仕事をやり遂げ、締め切りに間に合わせるための重要な手段です。我々は、人々があらゆる場所から仕事をするのに役立つClaapの可能性にわくわくしています」。
LocalGlobeのゼネラルパートナーであるGeorge Henry(ジョージ・ヘンリー)氏は「ロビンとピエールのビジョン、そしてプロジェクトに関わる従業員が必要なときにつながりどこからでも業務を遂行できるようにするClaapの可能性に魅力を感じました」と述べた。
HeadlineのパートナーであるJonathan Userovici(ジョナサン・ユーザーヴィッチ)氏は「Zoomはこの1年で企業がまずは使うアプリになったかもしれませんが、現在は多くの企業がリモートファーストになりつつあり、チームが連絡を取り合い業務を遂行するにはビデオ会議だけでは不十分です。ClaapはZoom疲れを終わらせようとするツールです」と述べた。
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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Claap、ビデオ会議、コラボレーション、資金調達、非同期ミーティング、リモートワーク
[原文へ]
(文:Mike Butcher、翻訳:Kaori Koyama)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2021/06/15/2021-06-14-could-claap-an-asynchronous-video-meetings-platform-end-the-tyranny-of-zoom-calls/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Mike Butcher,Kaori Koyama
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