Google(グーグル)は、ヨーロッパのスタートアップ企業から、総額200 万ドル(約2億2000万円)の黒人ファウンダー基金の対象となる30社を決定した。これらの企業は現金とGoogle関係者とのネットワークを獲得し、Googleの価値のあるクラウドサービスを利用できることになる。
2020年秋に発表されたこの基金は、助成金や新たなスポンサーシップと並んで「すべての人にとってより公平な未来を築く」ための全社的な取り組みの一環として行われたものだ。800社以上の企業が応募し、Googleはそのうちの100社と面接を行い、最終的に米国時間6月3日発表された30社に絞られた。
各企業には、最大10万ドル(約1100万円)の株式の希薄化を伴わない資金と、最大12万ドル(約1300万円)の広告助成金および10万ドル(約1100万円)のクラウド利用のクレジットが提供される(この資金がどのように分配されたのか、全額を受け取った企業があるのかどうかについて、Googleに詳細を問い合わせている。回答があれば記事を更新する)。
また、Googleの起業家ネットワークや技術サポートなど、数字には現れない資産も利用できるようになる。
そのうちの1人は、LINEDOCK(ラインドック) の共同設立者であるNancy de Fays(ナンシー・デ・フェイズ)である。LINEDOCKは、MacBook Pro用のクールなバッテリーとハブを組み合わせたガジェットを販売。このガジェットでたくさんのポートとバッテリーが追加され、見た目もスマートだ。展示会で彼女と話していると、多くのことを学ぶことができる。残念ながら筆者はほとんどの仕事をデスクトップで行っており、LINEDOCKのガジェットを使う機会がない。
黒人ファウンダー基金に選ばれたことを受けて、デ・フェイ氏はブログで、企業は社会変革のために力を尽くすべきであり、スタートアップ企業は多様性と公平性をリードしていかなければならない、と主張する。
私たちは、製品よりも価値や基準で選んで購入します。私たちは現実よりも理想の人生を購入します。大企業の発信力と、ブランドの価値やメッセージに対する消費者の受容性という2つのパラメータを方程式に入れると、このような社会変革を推進するためには、大企業が強いメッセージを発し、伝えていくべきだと私は思います。
創業者は、二次受傷に陥らずに多様性のあるチームを作る必要があります。共感と敬意を示し、最高の人材を採用しなければなりません。創業者は、自分たちの価値観を率直に語り、強力でグローバルな考え方を伝え、それを中心に組織を構築する必要があります。そして、その過程で多様性スコアが低いことに気づいたら、その理由を自問自答し、慈善事業ではなく行動に移すべきなのです。
最近よく聞く「企業はミッションに集中し、客観的であるべき」とは対極にある考え方だ。
Googleが支援する他の29社は以下のとおりだ(説明は各社のブログ記事から引用)。
- Afrocenchix(アフロセンシクス):アフロヘアやカーリーヘアのための安全で効果のある製品を開発、製造、販売
- AudioMob(オーディオモブ):モバイルゲームを邪魔しないオーディオ広告を提供
- Augmize(オーグマイズ):解釈可能な機械学習(interpretable machine learning)を用いて損害保険会社のリスクモデルを構築
- Axela Innovation(アクセライノベーション):複数の介護サービスをまとめ、介護を受ける人を中心にしたプロセスのスマートプラットフォームを作成
- Bosque(ボスク):ヨーロッパ初の技術を駆使した消費者直販の植物ブランド。在庫のデジタル管理、AR技術を備え、資格のある専門家へのオンデマンドアクセスを提供
- Circuit Mind Limited(サーキットマインドリミテッド):電子回路システムの設計を完全に自動化するインテリジェントなソフトウェアを開発
- Clustdoc(クラスタドック):クライアントのオンボーディングを自動化するソフトウェアを展開。世界中の組織やチームで使用されている
- Contingent(コンティンジェント):サプライヤーのリスクを積極的に予測、監視、管理するAIプラットフォームを展開
- Define(ディファイン):弁護士の契約書作成とレビューのプロセスを最適化するリーガルテクノロジー企業。世界最大規模の銀行やコンサルティング会社にサービスを提供
- Freyda(フレイダ):ファンドやサービスプロバイダーに極めて効率的な文書からのデータ収集手法を提供し、資産管理業界のデジタル化を進める。
- Heex Technologies(ヒーックステクノロジーズ):自律走行などのデータ集約型分野の開発チームに、AIを搭載したソフトウェアとウェブサービスを提供
- HomeHero(ホームヒーロー):住宅のためのオペレーションシステムを展開。住宅の管理をシンプルで簡単に
- Hutch Logistics(ハッチロジスティクス):eコマースブランド向けに取引の達成と運営のためのシステムを展開
- iknowa(イクノワ):不動産所有者や事業者のためのエンド・ツー・エンドの建築・リフォームプラットフォームを展開
- Kami(カミ):家族計画、妊娠、育児の過程にある両親をサポートし、難しい移行期を受け入れ、成長できるように支援
- Kwara(クワラ):新興国市場でアナログな信用組合の最新デジタル化を支援して、資産の形成をスムーズに
- Lalaland(ララランド):ファッションeコマースブランド向けにAIを利用した合成人間を作成し、小売業の多様性を向上
- Modularity Grid(モジュラリティグリッド):より効率的で弾力性のあるエネルギーシステムを実現するAIプラットフォームを展開
- Movemeback(ムーブミーバック) –「アフリカのLinkedin」とも称されるグローバルなソーシャル・プロフェッショナル・プラットフォームを展開。ユーザーをチャンスや情報、他のユーザーと結びつける
- Playbrush(プレイブラッシュ):口腔ケアのイノベーションリーダー。口と体の健康を促進するスマート歯ブラシのサブスクリプションを拡大
- Remote Coach(リモートコーチ):パーソナルトレーナーやフィットネスインフルエンサー向けのプラットフォームで、ビジネスをデジタル化して成長するためのテクノロジーを提供
- Robin AI(ロビンエーアイ):人間と人工知能を組み合わせて契約書を判読・編集する
- Scoodle(スクードル):教育関係のインフルエンサーのためのプラットフォームを展開。誰もが持つ、学びたいことや教えたいことを結びつける
- Suvera(スベラ):英国で持病を持つ患者のためのバーチャルケアクリニックを提供
- Syrona Health(シロナヘルス):慢性的な婦人科疾患を持つ人々に、症状の追跡、治療、管理のソリューションを提供するデジタルヘルス企業
- Tradein(トレードイン):企業の支払い行動と財務状況をリアルタイムでスコアリング・予測
- Vanilla Steel(バニラスチール):余剰鋼材のデジタルオークションプラットフォームで、売り手に余剰材のシンプルな在庫管理プロセスを提供
- Wild Radish(ワイルドラディッシュ):食と料理を愛する人々に、ミシュラン級のユニークな料理とダイニングの体験を自宅で提供
- Xtramile(エクストラマイル):オンラインでどこからでも適切な人材に適切な仕事を提供するデータ駆動型のプラットフォームを展開
Googleのスタートアッププログラムの詳細はこちら。続報をお楽しみに!
カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:Google、ヨーロッパ
画像クレジット:Google
[原文へ]
(文:Devin Coldewey、翻訳:Dragonfly)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2021/06/15/2021-06-03-google-shares-its-2m-black-founders-fund-among-30-european-startups/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Devin Coldewey,Dragonfly
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