これで誰でもディズニープリンセス、ARアプリへの捧げ物はあなたの生体情報!?

先週末、あなたのお友達は、次々とみんなをピクサーのアニメーションキャラクターに変身しましたとさ。これは熱にうなされて見た夢ではなく、あなただけに起こったわけでもない。

Snapchatは米国時間6月10日、ARを使ってあなたを「アナ雪」のサブキャラクターのように見せる「Cartoon 3D Style Lens」をリリースした。Snapchat(スナップチャット)では、2億1500万人以上のユーザーが「Cartoon 3D」レンズを利用し、17億回以上再生されている。TikTok(ティックトック)独自のARアニメーション効果はSnapchatほど説得力があるわけではないが、人々はTikTokを利用して、自分がディズニープリンセスになっている動画を共有している。プリンセスになったのだから、当然の流れだ。

ディズニー風のARトレンドがバイラルに広まったのは今回が初めてではない。2020年8月、Snapchatの新規インストール数は2850万で、4120万だった2019年5月以来のヒット月となった。2020年8月初旬にSnapchatが「Cartoon Face」レンズをリリースし、ペットを「Disneyfy(ディズニーキャラ化)」するのにそれを使えるとユーザーが気づいたのは偶然の一致ではないかもしれない。TikTokでは「#disneydog」というタグがプラットフォーム間で4090万回再生された。その後Snapchatは同年12月に「Cartoon」レンズをリリースすることで、再びバイラルの金を掘り当てた。このレンズでは、以前よりも人間の顔がよりリアルに表現されるようになった。

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Sensor Towerによると、Snapchatの世界的なインストール数は2020年の残りの期間を通じて前月比で上昇し続けていたが、12月にはインストール数がわずかに減少した。それでも、同月のSnapchatのダウンロード数は3600万だった。現在、最新の「Cartoon Style 3D」レンズが再びバイラルになった後、SnapchatはApp Storeの無料アプリチャートで6位となった(TikTokは2位)。しかし、2021年5月のSnapchatのダウンロード数は3200万で、4月の3400万から減少している。一方、TikTokの2021年5月のインストール数は8030万で、4月の5930万から増加している。

画像クレジット:Snapchat(TechCrunchによるスクリーンショット)

しかし1位の枠には、先週末のアニメの爆発的ヒットにも影響を与えた新しいアプリがある。
2021年3月にリリースされた「Voilà AI Artist」は、私たちをアニメバージョンに変えるこれまた別のプラットフォームだ。SnapchatやTikTokのARを使ったエフェクトとは異なり、Voilàはフォトエディターだ。ユーザーはセルフィーをアップロードし、広告(広告なしバージョンは週3ドル、約330円)を見た後、自分がアニメの登場人物になったような姿を見られる。

「Voilà AI Artist」は、2021年3月には世界で400回しかダウンロードされなかった。それが5月には100万ダウンロードを突破し、今月の最初の2週間だけで1050万回以上ダウンロードされているとのこと。

ここでもまた「Disneyfy」トレンドで繰り返されたイテレーションと同様、Voilàのようなアプリは新しいものではない。2019年に流行した「FaceApp」は、自分が年老いて白髪やシワになったときの姿を人々に見せるものだった。同アプリは、AIでセルフィーを編集するためにユーザーの写真をクラウドにアップロードしていたため、プライバシー論争の中心となった。FaceAppは「パフォーマンスとトラフィック上の理由」から「更新された写真をクラウドに保存することがある」が「ほとんどの画像」は「48時間以内」に削除されると声明を出した。しかし、これらの曖昧な表現は私たちの頭の中で警鐘を鳴らし、60年後の自分の姿を見ることの裏にひょっとしたら悪意が潜んでいるのでは、と考えさせられた。その2年前にFaceAppは、ユーザーの肌の色を明るくする「hotness」フィルターを発表し、人種差別的なAIを使用したことを謝罪した。カナダのWemagine.AI LLPが所有するVoilàも、そのAIがヨーロッパ中心主義であると批判されている。これらのアプリは人気が高まるにつれ、私たちの文化が持つ最も有害な類のバイアスを支持することにもなりかねない。

画像クレジット:Voilà

FaceAppと同様、Voilàもインターネットへの接続を必要とする。また、Voilàの規約では、ユーザーはVoilàに対して「アップロードされたコンテンツおよび生成されたコンテンツをホスト、保存、任意の方法で使用、表示、複製、変更、適応、編集、公開、配布するための、非独占的、世界的、ロイヤリティフリー、サブライセンス可能、および譲渡可能なライセンス」を付与することになっている。基本的には、あなたが画像をプラットフォームにアップロードした場合、Voilàはその画像を使用する権利を得るが、所有権はないということだ。このようなアプリでは、珍しいことではない。例えば私たちがInstagram(インスタグラム)に写真をアップロードすると、その画像を使用する権利を同社に与えることになる。

それでも、Voilàのようなアプリは、私たちはかわいいディズニープリンセスになれるという知識と引き換えに、いったい何を放棄しているのか考えさせてくれるのでそれは良いことだと思う。2021年6月初め、TikTokは米国でのプライバシーポリシーを更新し、同アプリがユーザーのコンテンツから「バイオメトリック識別子および生体情報を収集することがある」と規定した。これには「faceprints and voiceprints(顔の記録と声紋)」が含まれているが、TikTokはこれらの用語を定義していない。TechCrunchはTiktokにコメントを求めたが、なぜ今になってバイオメトリックデータの自動収集を可能にするように規約が変更されたのかは確認できなかった。バイオメトリックデータとは私たちを識別する身体の特徴、測定値、特性を指し、それには指紋も含まれる。

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VoilàがApp StoreでNo.1の座に上り詰めたとき、SnapchatがピクサーにインスパイアされたARレンズを再発表したのも不思議ではない。Facebook(フェイスブック)のARプラットフォーム「Spark(スパーク)」も新機能を搭載し、先週のWWDCではApple(アップル)がARソフトウェア「RealityKit」の大幅なアップデートを発表した。しかし、これらのトレンドは、私たちがディズニーを懐かしんでいるというよりも、顔を変えるARに慣れてきていることを示している。

【更新】米国時間6月14日東部標準時午後3時40分にSnapchatの「Cartoon 3D」レンズの使用統計を追加した。

カテゴリー:VR / AR / MR
タグ:Snapchat拡張現実生体情報

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Aya Nakazato)


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