日本カー・オブ・ザ・イヤー2020-2021をチェックすると、33のノミネート車のうちなんと20モデルが広義の意味でSUVに(1エントリーで複数車種がある中にSUVが含まれるものもカウント)。
ニューモデルの半数以上がクロスオーバーモデルを含んだSUVという時代。これは、日本はもちろん世界中で多くの支持を集めているという証。街を見渡しても大小さまざまなSUVを見かけます。
ただ、あまりにも増えすぎてしまったために、SUVには食傷気味…という人も増えてきているように感じます。
そんな人にもう一度注目してほしいのがステーションワゴン。
何度かSUVを所有した人からは「やっぱりワゴンのほうが運転しやすい」「実は荷物が積みやすいのは最低地上高が低いワゴン」という話を聞くことが増えてきました。
国産車は新車のラインナップからステーションワゴンが消滅したメーカーもありますが、中古車ならまだまだ探すことが可能です。今でもワゴンをラインナップしている輸入車も、少し前のモデルが適度にヤレ感が出ていい味を出しています。
コロナ禍以降、スポーツカーの中古車相場は軒並み上昇。しかしステーションワゴンはまだその影響がほとんど出ていないので、低予算で購入することも可能です。
あえて今、ゆるい雰囲気の懐かしいワゴンを楽しんでみませんか?
1. 日産 ステージア(2代目)
90年代にスバル レガシィツーリングワゴンが築き上げ、一大ムーヴメントとなった日本のステーションワゴンカルチャー。多くの国産車メーカーが打倒レガシィを掲げて、さまざまなステーションワゴンを市場に投入しました。
そんな中、日産はレガシィよりも上のクラスとなるLサイズワゴンを開発。それが1996年に登場したステージアです。
プレステージツーリングワゴンを開発コンセプトにした初代ステージアは、2L直6、2.5L直6、そして2.5L直6ターボをラインナップ。駆動方式はFRとシンクロモード付きアテーサE-TSを搭載した4WDが用意されました。
1997年10月にはオーテックがR33GT-RのRB26DETTエンジンを移植し、電動スーパーハイキャスやブレンボブレーキが奢られた260RSを発売します。
そして今、密かに熱いのは2代目ステージア。スポーツ性を全面に押し出した初代からイメージを変え、プレステージ性を全面に押し出したデザインに。「We Will Rock You」のカバー曲にのせて雨の中、落ち葉の中、雪の中を走るCMを覚えている人も多いでしょう。
初代にも共通するステージアの大きな特徴は、ボディ後端までやや傾斜させながらもルーフをほぼ水平に伸ばし、広大なラゲッジスペースが与えられたこと。これは当時のボルボが用いていた手法です。
ステーションワゴンらしいグランドツーリング性能は初代から継承。荷物がたくさん積めてロングドライブも快適に楽しめるステーションワゴンは現在の国産ワゴンにはありません。
2代目ステージアは今年がデビュー20周年となる年。中古車の流通量も100台以下となっているので、当時憧れた人は今が購入のラストチャンスとなりそうです。価格帯は20万〜140万円。現在は比較的走行距離が少なめのものが流通していますよ。
2. スバルレガシィツーリングワゴン(BH型)
北米市場からの強い要望によりボディサイズを拡大し続けたレガシィ。2014年に登場した6代目ではあまりにも大きくなりすぎたため日本市場には合わないとステーションワゴンがラインナップから外れ、代わりにレヴォーグがデビューしたのはみなさんもご存じのとおり。
ファンの間では4代目レガシィツーリングワゴン(BP型)の人気が現在でも高くなっています。ボディ剛性の高さ、等長等爆化されたエキゾースト、後期型で初搭載されたSI-ドライブなど、BPレガシィには見どころがたくさんあります。しかしちょい古ワゴンを推す今回の企画ではあえてその一つ前の世代、BH型ツーリングワゴンに注目したいと思います。
BH型はレガシィシリーズ最後の5ナンバーサイズとなるモデル。初代から続いた5ナンバーサイズならではの利点を磨き上げるとともに、デザインも進化。とくに2001年5月のマイナーチェンジ以降の後期型は5ナンバーレガシィの完成系と言いたくなるまとまり感があります。
ヘッドライトの輪郭をブラックにして陰影を強調。上下2段の4灯式ライトと丸型ウインカーレンズが調和し、ボクシーな表情を作り上げています。
BH型の後期モデルはフロントグリルにつくエンブレムが6連星になっているのも、スバルのこだわりを感じる部分です。
パワートレインは2L NA、2Lターボ、2.5L、そして2002年には水平対向6気筒を搭載するGT30も追加されました。
BH型レガシィの中古車はまだ130台ほど残っていて、価格帯は20万〜130万円。低価格帯は走り込んだものが多いですが、高価格帯には状態の良さそうなノーマル車も見つかります。
流線型のクロスオーバーSUVとは違うモデルを探している人はもちろん、往年のスバルサウンドを楽しみたい人もぜひ手に入れてほしいモデルです。
3. ボルボ850エステート
昨今の旧車ブームで、240をはじめとするFR時代のエステートが人気です。ただ、とくに240は中古車相場がかなり高くなっているのが現状。
今回はそれよりもう少し新しい、駆動方式がFFになってからの850エステートやV70を推したいと思います。
FF化された850は1992年6月にセダンが日本デビュー。ワゴンモデルの850エステートは1993年10月に追加されました。
当時のボルボの伝統であるスクエアなラインで構成されたフォルムを継承。ルーフをボディ後端まで伸ばしたボルボならではのスタイルによりラゲッジも広大なスペースが確保されました。
また、1995年には限定モデルとして直列5気筒ターボで最高出力240psを発揮するT-5Rも登場。そしてボルボはエステートモデルで英国ツーリングカー選手権(BTCC)に参戦。かつて240エステートで欧州ツーリングカー選手権に参戦し「Flying Brick」(空飛ぶレンガ)と呼ばれた時代を知る人はその勇姿に興奮したはず。
850は1997年2月にビッグマイナーチェンジを敢行し、車名がV70に変わりました。そして2000年3月まで日本で発売され、その後2代目V70へとバトンタッチします。
850と初代V70の中古車は40台ほど流通していて、価格帯は50万〜270万円。高価格帯はT-5RやV70に設定されたR AWDになります。ハイパワー車で遊ぶのも悪くないですし、今なら逆に素の850でのんびり走るのも気持ちいいはずです。
4. フォルクスワーゲンパサートワゴン
フォルクスワーゲンはワゴンモデルに「ヴァリアント」という名称を付けています。しかし1998年4月から2006年3月まで日本で発売されたパサートのワゴンモデルはパサートワゴンという名称でした。
2006年4月にパサートヴァリアントという名称になって以降、エクステリアにはメッキが多く使われゴージャスなイメージが強調されていきます。一方、パサートワゴンはシンプルなデザインなので、今見ても適度にチープで味のある雰囲気を醸し出しています。
そして広い室内と大きなラゲッジはのんびり移動するのにぴったり。
現在ではあえて鉄ホイールを履かせたりルーフキャリアなどでユルい感じにカスタムするベース車両としても注目されています。
流通している中古車は10台程度と少なく、グレードはV6や4L W8などが中心。価格帯は30万〜70万円に。W8は当時話題になりましたが、デビューから20年前後経った今選ぶなら、なるべく素のグレードを探すのがおすすめです。
5. MINI ミニクラブマン(初代)
今回紹介する中ではもっとも新しいモデルとなる初代クラブマン。2代目となる3ドアハッチのミニをベースにホイールベースを80mm延ばし、全長を240mm長くしたシューティングブレークで、2007年10月に日本デビューしました。
2代目となる現行型は4ドア化され利便性が増したことで大ヒット。街中でもよく見かけるモデルです。一方の初代クラブマンは右側の前席ドア後方に観音開きの小さなドアを備えたモデルになります。
BMWが開発したミニは左ハンドルがデフォルトで、右側通行の道で歩道側からリアシートへのアクセスを高めるためにこの小さなドアが右側に設置されました。左側通行となる日本では車道側にこのドアがついているため利便性はやや低くなるのは致し方ないところ。
バックドアは現行型と同じ観音開きに。これこそがミニカントリーマンやミニトラベラーのイメージを現代に甦らせた、ほかのワゴンにはないクラブマンの魅力です。
初代クラブマンの中古車は450台ほど流通していて、価格帯は30万〜230万円。ミニの中古車は好きなカラーや仕様を探すのも楽しいもの。特別仕様車にこだわってみるのも面白いと思います。
■パーツ供給状況を確認した上で、信頼できるショップでの購入を
今回紹介した5モデルのうち、4モデルはそこそこ古いモデルになるため中古車の流通量も少なくなっています。
このようなクルマを購入する場合、気になるのはもしトラブルがあった際に修理が可能なのかということ。
トラブルの部位によっては部品を探すのに時間がかかる可能性もあり、中にはワンオフでパーツを製作する必要が出てくるケースも考えられます。
今はネットを使って世界中からパーツを探せるようになったとはいえ、探すにもテクニックやコネクションが必要になります。
その意味でも、購入前にはスタッフさんとしっかり話し、信頼できるショップから購入することをおすすめします。
<文/高橋 満(ブリッジマン)>
高橋 満|求人誌、中古車雑誌の編集部を経て、1999年からフリーの編集者/ライターとして活動。自動車、音楽、アウトドアなどジャンルを問わず執筆。人物インタビューも得意としている。コンテンツ制作会社「ブリッジマン」の代表として、さまざまな企業のPRも担当。
【関連記事】
◆車中泊向きの純正アクセサリーが用意されているクルマ5選
◆90年代はもはやクラシック!? 状態極上のヘリテージ中古車5選
◆盛り上がりを見せる「カスタムプロボックス」注目の2モデル
- Original:https://www.goodspress.jp/features/384402/
- Source:&GP
- Author:&GP
Amazonベストセラー
Now loading...