ここ数年、テクノロジー、イノベーション、電子政府、働きやすさ、といった文脈で注目される北欧・バルト地域。
この地域にはフィンランドやエストニアなど、規模は小さいながらもスタートアップが活発な国が多くあります。この地域は日本企業にとってどんな意味があるのでしょうか。
北欧と日本のスタートアップエコシステムを繋ぐイノベーション・ラボ・アジアでインベストメントアドバイザーを務めるオリバー・ホール氏、同 主任コンサルタント ユリアン・森江・原・ニルセン氏、北欧・バルト地域で投資活動を行うベンチャーキャピタル、NordicNinjaでマネージング・パートナーを務める宗原智策氏が解説します。
北欧はビジネス環境として優れているのか?
ホール氏は「ここ数年、日本企業から北欧企業への投資が目立つようになってきている」と話します。その理由は「北欧にはユニコーン企業を生み出すためのフレームワークがあり、ビジネスに関わる多くのランキングで上位に位置しているから」だそうです。
ホール氏は「北欧はグリーンテクノロジーが発達した地域であるため、こうした結果が出ている」と言います。
「デジタルの競争力を見てみましょう。欧州委員会発表の『The Digital Economy and Society Index 』では、各国のコネクティビティ、人的資本、インターネットサービスの活用、デジタル技術の統合、デジタル公共サービスを評価しています。ここでは1位フィンランド、2位スウェーデン、3位デンマークとなっています」と、北欧もデジタルの強さも強調します。
北欧・バルト地域は国連発表の『E-Government Survey 2020』でも好成績を残しています。結果は1位デンマーク、3位エストニア、4位フィンランド、6位スウェーデンです。
「北欧市民は行政と福祉国家に信頼を寄せています。国連が発表する世界幸福度ランキングで北欧諸国が数多く登場するのも、そうした背景があるからでしょう」。
ここ数年の北欧投資ブーム
ニルセン氏は「現在、北欧はイノベーションのアイコンとして注目されています」と言います。
このランキングでは3位デンマーク、4位フィンランド、6位スウェーデン、11位ノルウェーと、北欧諸国が目立ちます。
押さえておきたい北欧ビジネストレンド
NardicNinjaはフィンランド、エストニア、スウェーデンに拠点を持ち、北欧・バルト地域8カ国で活動するベンチャーキャピタルです。同社の宗原氏は北欧・バルト地域のスタートアップの特徴を「自国の小さな人口・小さなマーケットを認識し、外部のマーケットを常に意識していること」と話します。
同氏は、北欧・バルト地域のビジネスを考える上で3つのキーワードが重要だと考えています。「デジタル化」「サステナビリティ」「インパクト投資」です。
北欧・バルト地域のデジタル化で特に注目すべきなのがMaaS(Mobility as a Service)です。
サステナビリティで注目すべきはThe Upright Project。このスタートアップはさまざまな企業のデータを集め、その企業が社会にどう影響するのかを可視化します。
宗原氏は「北欧スタートアップに対する投資の3分の1がインパクト投資です。インパクト投資の潮流が世界的に主流になっていく中で、『インパクト投資の方向性を見ておく』という意味でも、北欧に注目すると良いでしょう」と締めくくりました。
(本記事は、イベント「今が旬!北欧エコシステムを検討するべき理由」を編集・再構成したものです)
(文・佐藤友理)
- Original:https://techable.jp/archives/157982
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:Techable編集部