キャンプにも街乗りにも!ジープ新型「コンパス」のキャビンは驚くほど上質です

ジープブランドが展開するコンパクトなクロスオーバーSUV「コンパス」が、先頃マイナーチェンジ。

エンジンや駆動系といった定評あるメカを継承しながら、新型はキャビンの質感と快適性を徹底追求。2クラス上のモデルにも負けない上質な空間をカタチにした。キャンプ場への往復や街乗りにおいて快適な移動を約束する、新型コンパスの魅力に迫る。

■コックピットの質感が格段に向上した新型コンパス

ジープブランドといえば、その主役はなんといって、ブランドのルーツでもある「ラングラー」だ。昨今は冒険心あふれる“らしさ”がウケていて、日本市場でも同ブランドで最多の販売台数を誇る。次いで2番目に売れているジープは、ラインナップで最もコンパクトな「レネゲード」。ジープらしい個性を備えたアクティブなスタイルと、約300万円〜という手の届きやすい価格も人気の理由となっている。

先頃マイナーチェンジした新型コンパスは、レネゲードに次ぐ比較的コンパクトなジープである。全長4420mm、全幅1810mmで、日本のコンパクトSUVと比べると、ホンダ「ヴェゼル」よりひと回り大きく、マツダ「CX-30」とほぼ同等。日本の都市部でも気兼ねなく運転できる。

そんなマイナーチェンジ後のコンパスに乗って驚いた。コックピットに一体何が起きたというのだろう? 新型コンパスはインパネ周辺がごっそり刷新されていたのである。

とはいえ、それだけなら他のクルマのマイナーチェンジでも時々起こり得ること。筆者がビックリした理由は、もはや2クラス上のクルマかというくらい、質感が大幅にレベルアップしていたからだ。乗り込んだ瞬間、思わず「最近のジープはスゴいな」とうなってしまった。

新型のコックピットが上質に感じられるのには、いくつかの理由がある。ひとつは仕上げの良さだ。インパネのアッパー部と、ハンドルの横から助手席前までをつなぐ中段部分がステッチの入ったソフトパッドで覆われていて、特に中段部分は、表面がレザーのように上質なのに加え、指触りが柔らかくなめらかなプレミアムな仕立て。1000万円級のハイエンドSUVならこの上級感も当たり前だと思えるが、コンパクトクラス、しかも、プレミアムブランドではない400万円前後の輸入車でここまでクオリティを高めているのはスゴいことだ。

そうしたステッチ入りのソフトパッドを飾るのが、クロームやシルバーのアクセントだ。例えばクロームのモールは、ソフトパッドを覆うように大胆に添えられていて実にきらびやか。10.1インチ(「スポーツ」グレードは8.4インチ)のタッチパネルモニターの周囲や、シフトレバーの回りにもクロームがあしらわれていて、まるでプレミアムセダンのようである。

また、スイッチの作り込みも緻細で、ちょっと前のアメ車では考えられなかった水準に到達。この辺りは、日本車だとレクサスやマツダが頑張っているが、それに劣らないレベルにまで達している。正直なところ、「本当にこれがあのジープなの?」と思わずにはいられない領域にある。

そして最後がインパネ回りのデザインだ。新型は驚くほどデザインがすっきりしていて、雑多な印象が徹底して排除されている。その一例がエアコンの吹き出し口で、パッと見ただけではそれがどこにあるのか分からないくらい、造形がスマートなのだ。

ちなみにメーターは、先進性を感じさせる全面液晶タイプ。「スポーツ」グレードは7インチ、その他のグレードは10.25インチを採用している。

新型コンパスのコックピットの上質感は、上級モデルのそれをしのぎ、今、日本で売られているジープ車の中でも断トツの出来栄えだ。ジープは先頃、最高級モデルである「グランドチェロキー」の新型を本国で発表済みで、そう遠くないうちに日本へも上陸すると見られている。新型グランドチェロキーはインテリアの仕立てにおいて、コンパスのそれを超えてくることは容易に推測できるが、現時点に限っては、コンパスのインテリアはジープの中でトップの出来栄えだと断言できる。

■リアシートの居住性の良さも特筆もの

新型コンパスには、コックピット以外にも新たな発見があった。

ひとつはキャビン、特にリアシートの居住性だ。フロアとシート座面の高低差が絶妙で、とてもリラックスした乗車姿勢を得られる。その上、センターコンソールにはエアコンの吹き出し口が備えられていて、暑い季節のドライブも快適。また、フロントシートだけでなくリアシートにも充電用のUSBアウトレットが用意され、さらに、家電品(大電力のものは除く)を使える115Wのコンセントまで備わるなど、おもてなしが充実している。キャンプなどのレジャードライブにも、またファミリーカーとしても、とても魅力的な選択肢といえるだろう。

そして今回のマイナーチェンジで最新のシステムへとアップグレードされたのが、先進安全機能を始めとする運転補助デバイスだ。従来モデルからある衝突被害軽減ブレーキに加えて、隣の車線を走る車両との接触を防ぐべくハンドル操作を補正する“アクティブ・レーン・マネジメントシステム”を全グレードに標準装備。これはジープとしては初採用となるシステムだ。

ジープ初といえば、最上級グレードの「リミテッド」には、車両の周囲360度の様子をモニターに表示する“サラウンドビューカメラ”や、足のアクションで開閉可能な“ハンズフリーパワーリフトゲート”などを標準装備している。ジープ初採用のアイテムが多数おごられていることからも、今回はかなり力の入ったマイナーチェンジだったことが伝わってくる。

■イマドキのエンジンとしてはかなり高回転型

新型コンパスのエンジンは、全グレード共通の2.4リッター4気筒自然吸気ガソリンだ。昨今のダウンサイジングターボエンジンと比べると、低回転域でのトルクが薄い感じがあるが、その一方、最高出力の発生回転数は6400回転と、イマドキのエンジンとしてはかなり高回転型。エンジンを回す歓びや、回転が高まるにつれて力強さが盛り上がる感覚は、クルマ好きにとっても魅力的だろう。

駆動方式は、「スポーツ」と「ロンジチュード」の2グレードが前輪駆動で、「リミテッド」のみが4WDとなる。トランスミッションは、「スポーツ」と「ロンジチュード」が6速、「リミテッド」は9速のATを組み合わせている。

新型コンパスをオススメしたいのは、コンパクトSUVが欲しいものの、ボディサイズの小さなレネゲードではリアシートの居住性やラゲッジスペースに物足りなさを覚えるという人。さらに、上質でコンパクトなジープを求める人にも強くオススメしたい。

なお新型コンパスのプライスタグは、ベーシックグレードの「スポーツ」で346万円、ミドルグレード「ロンジチュード」が385万円、そして、4WDを採用した最上級グレード「リミテッド」で435万円。ヨーロッパメーカーの同クラスSUVに比べると、かなり買い得だ。興味を覚えた人は、まずは実車に触れてインテリアの上質感に驚いて欲しい。

<SPECIFICATIONS>
☆リミテッド
ボディサイズ:L4420×W1810×H1640mm
車重:1600kg
駆動方式:4WD
エンジン:2359cc 直列4気筒 SOHC(マルチエア)
トランスミッション:9速AT
最高出力:175馬力/6400回転
最大トルク:23.4kgf-m/3900回転
価格:435万円

>>ジープ「コンパス」

文/工藤貴宏

工藤貴宏|自動車専門誌の編集部員として活動後、フリーランスの自動車ライターとして独立。使い勝手やバイヤーズガイドを軸とする新車の紹介・解説を得意とし、『&GP』を始め、幅広いWebメディアや雑誌に寄稿している。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

 

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