ビートルズの「Abbey Road」50周年記念盤などのリミックスを担当した音楽プロデューサーのジャイルズ・マーティン氏が、音楽情報メディアRolling Stoneのインタビューで、Apple Musicの空間オーディオについて語っています。
ジャイルズ・マーティン氏は、ビートルズのほぼ全作品のプロデュースを担当し、英国王からナイトやサーの称号を贈られたジョージ・マーティン氏の息子です。
空間オーディオでクリエイターの可能性も広がる
ジャイルズ・マーティン氏は、6月に配信が開始されたApple Musicの空間オーディオについて「大好きなアーティストと同じ部屋で聴いているような感覚になる」と表現し、「クリエイターにとって可能性は無限大だ」と述べています。
マーティン氏は、自身がドルビーアトモス(Dolby Atmos)でのミキシングをした経験について「自分が音楽に沈み込んでいく感じ」「慣れ親しんだ作品でも、まったく新鮮に感じられる」と語り、「クリエイターとして、この素晴らしい体験をApple Musicを通じて共有できることは非常にエキサイティングだ」と語っています。
音に納得がいかず、非公開になっている作品も
Apple Musicでは、マーティン氏がエンジニアのサム・オケル氏とともにリミックスし、Apple Digital Masterでマスタリングされた「Abbey Road(2019 Mix)」を、空間オーディオとハイレゾロスレスの組み合わせで聴くことができます。
しかし、2017年にリミックスされた「Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band」が、自身がドルビーアトモスでのリミックスを手がけた最初のアルバムであることを明かしたマーティン氏は、意図したとおりの音に聴こえないため、現在同アルバムをApple Musicから取り下げている、と語っています。今後、変更したうえで再登録する予定だそうです。
なお、Apple Musicで空間オーディオ対応とされている一部のアルバムについてマーティン氏は、低音とその重みがやや不足していると指摘しています。
「ビニールレコードが溶けて、その中に落ちていく感じ」
マーティン氏は、空間オーディオのリミックスについて、没入感のあるサウンドはステレオの延長線上にあると語っているほか、「ビニールレコードが溶けて、その中に落ちていくような感じ」と、自身の好きな表現を用いて説明しています。
また、没入感のあるサウンドの特徴について、中心点が拡張されていくイメージと語り、トフィー(固いアーモンド入りキャンディー)をハンマーで砕いた破片が飛んでくる感じ、とたとえています。
「Revolver」や「Rubber Soul」の空間オーディオ対応に意欲
今後、音質に全く影響を与えないと確信を持てる音源分離ソフトウェアを使うことで、ビートルズの初期作品「Revolver」や「Rubber Soul」の空間オーディオ対応作品を追加したい、とも語っています。
マーティン氏のロングインタビューは、Rolling Stoneで全文を読むことができます。
Source:Rolling Stone via 9to5Mac
(hato)
- Original:https://iphone-mania.jp/news-386113/
- Source:iPhone Mania
- Author:iPhone Mania
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