離婚は修羅場でストレスをともなう。費用がかかるために法律専門家のサポートを受けることができなければなおさらだ。オンライン離婚のスタートアップHello Divorce(ヘローディボース)はこのプロセスをよりリーズナブルな費用で、そして迅速なものにするプラットフォームを開発している。
目的を達成するためにカリフォルニア州オークランド拠点のHello Divorceは米国時間7月29日に200万ドル(約2億2000万円)のシードラウンドを発表した。本ラウンドはCEASがリードし、Lightbank、Northwestern Mutual Future Ventures、Gaingels、そしてClioのCEOであるJack Newton(ジャック・ニュートン)氏やWRGのLisa Stone(リサ・ストーン)氏、Equity ESQを率いるEd Diab(エド・ディアブ)氏ら個人投資家も参加した。
統計によると、米国の離婚件数は年平均75万件で、離婚にかかる平均費用は居住する州にもよるが8400〜1万7500ドル(約92万〜192万円)の間だ。複数の情報ソースは、離婚業界は年500億ドル(約5兆5000億円)としている。
家族法を専門とする弁護士のErin Levine(エリン・レヴィン)氏は、離婚するカップルが「手頃価格の有意義な法律相談」とオンライン上のもの以外のリソースにアクセスできるよう、2018年にHello Divorceを創業した。時間単位で請求が発生する弁護士のためのモデルは、離婚に向けた簡単でクリーンな手続きを求めている消費者にとって「時代遅れのプロセス」だとレヴィン氏はTechCrunchに語った。
「現在、弁護士は情報の管理人であり、クライアントは離婚手続きが完了するまで費用を支払い続けています」とレヴィン氏は話す。「離婚は形式以上のものです。困難を伴い、大方の人はサポートを必要とし、サポートを求めます。そこにはテクノロジーの使用という点で大きな欠落があり、カップルに主導権を握らせて諍いのレベルを下げるために費用を見直しました」。
今回のシード資金でHello Divorceは、法的手続きのオプションの全米での急速展開、画期的なプロダクトの改良、消費者が離婚のプロセスについてよく情報を提供され、かつコントロールできていると感じる必要がある、これまで以上のコンテンツとサービスを提供する計画だ。
Hello Divorceはソフトウェアと利用できる法律サービスをDIYオプションで99ドル(約1万1000円)からの価格で提供し、離婚手続きを3分の1の時間で、そして完全リモートで終わらせるための法律サポートを平均2000ドル(約22万円)で提供している。
レヴィン氏は、大半の人が離婚するのに2〜5年かかり、その間、費用を賄えないのではと怯え、そしてもし子どもがいる人なら子どもを失うことも恐れる、と話す。そして80%の人が弁護士にアクセスできない。
Hello Divorceはすでに黒字だが、インフラを構築し、CEASやLightbankのEric Ong(エリック・オン)氏のような投資家が「何を知っていて、何を知らないのかは明らかです」と言いつつアイデアなどを出すガイダンスを得るためにベンチャー資金を求めた。
オン氏は、今回のラウンドの共同投資家を通じてレヴィン氏と知りあった。その共同投資家はオン氏に、Hello Divorceは共感するものだと語った。Lightbankはカテゴリーステージの企業に投資していて、オン氏はレヴィン氏とレヴィン氏のチームが手がけていることにひきつけられた。
「彼らは専門性と、既成概念にとらわれない考え方の両方を備えています」とオン氏は話す。「80%の人が有意義な代理人を得ていません。我々は顧客バリュープロポジションを提供するテクノロジーを求めましたが、Hello Divorceが登場するまではそうしたものはありませんでした」。
Hello Divorceはシード資金を、法的手続きオプションの全米での急速展開、プロダクト開発、Hello Divorceのウェブサイトにやってくる人々を教育するための新たなコンテンツとサービスに注ぐ計画だ。
Hello Divorceのサービスはカリフォルニア、コロラド、テキサス、ユタの4州で利用できる。最初にサービスの展開を始めたこれらの州の選択は戦略的なものだった、とレヴィン氏は話した。同氏はカリフォルニア州の法律に精通していて、一方でコロラド州は離婚のシステムが複雑だ。テキサス州は同性婚カップルが離婚するための簡素化された方法がなく、これは取り組みたかったものだったと同氏は話した。そしてユタ州には新しい規制スキームがある。同氏は次にニューヨーク州とフロリダ州にサービスを広げ、そこではバイリンガル・フォーマットで展開する。
2018年以来、Hello Divorceは前年比100%成長を続けており、プラットフォームでの処理を開始してからの離婚成功率は95%だ。2020年に同社は、離婚と共同養育を考えながらのロックダウン中の隔離生活に関連する2000件もの問い合わせを受けた。
「とどまるか、それとも出て行くべきか、そして離婚がどのようなものになるか、という問い合わせが増えました。パンデミックが離婚にどう影響を及ぼしたのか、全体像を把握するにはもうしばらくかかるでしょう」とレヴィン氏は述べた。
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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Hello Divorce、離婚、資金調達、弁護士
画像クレジット:Hello Divorce
[原文へ]
(文:Christine Hall、翻訳:Nariko Mizoguchi)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2021/07/31/2021-07-29-hello-divorce-raises-2m-so-that-couples-can-say-good-bye-easier/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Christine Hall,Nariko Mizoguchi
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