ダッソー・システムズ、シテ建築遺産博物館、ヌーヴェル=アキテーヌ地域圏文化問題局(DRAC)の三者は合同で、ラスコー洞窟を原寸大のスケール感で体験できる新しいバーチャルリアリティ空間を公開。
世界遺産のラスコー洞窟への立ち入りは現在、保全作業など、限られた目的のみに制限されていますが、バーチャルツインを使うことで学生や研究者など、幅広い人々がかつてないリアルさと没入感をもってラスコー洞窟を体験できるようになりました。
実物大のバーチャル空間
1940年9月にフランスの西南部ドルドーニュ県、ヴェゼール渓谷のモンティニャックの南東の丘の上で発見され、3ヵ月後に文化遺産として登録されたラスコー洞窟。その内部の壁画の完成度の高さ、脆さ、保存の難しさで、先史時代の洞窟壁画として一躍有名になりました。
ラスコー洞窟は1963年に一般公開が恒久的に中止されて以来、文化問題局は洞窟壁画の「最高傑作のデジタル化」に幾度となく取り組んできました。洞窟内は依然として絵画の保全には危機的な状態であるため、洞内に滞在できる時間は限られており、保護作業にあたるスタッフでさえ年間200時間までしか許されていません。
そこで提案されたのが、「洞窟のバーチャルツイン」です。バーチャルツインを作ることで、現実の世界では困難なことにも新たな解決法を見出すことができます。実物大のバーチャルリアリティ空間には一度に複数のユーザーが入ることができ、ユニークな探険や没入体験を再現できるだけでなく、2万年前に描かれた後期旧石器時代の最高傑作を間近で見ながら新たな視点を発見することも可能になります。
誰でも体験可能に
ソフトウェア会社のダッソー・システムズは今回、シテ建築遺産博物館の研究イノベーション・ラボ「Exaltemps」と研究開発した新しいツールを用いて、ラスコー洞窟のバーチャルツインである「La grotte de Lascaux 1/1 バーチャルツイン」を公開しました。
特別なスキルがなくても、複数のユーザーが同時に実物大のバーチャルリアリティを体験できる空間を簡単に構築でき、人々をラスコー洞窟へのバーチャルツアーへと連れていきます。
同社のイノベーション担当バイスプレジデントであるメディ・タイユービ氏は「このバーチャルツインは現実の世界のように、コントローラーは不要で、実物大の映像の中に入ることができます。こうした新しい創造的なツールにより、教育や研究の分野だけでなく、それを超えるさまざまな分野において、自然に文化遺産に関する新たな知識が広がっていきます」と話しています。
(文・Takeuchi)
- Original:https://techable.jp/archives/159238
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:takeuchi
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