ソニーが6.1インチの縦長ディスプレイを搭載する「Xperia 5 III」の国内発売を発表しました。11月中旬以降の発売で、ドコモ、au、ソフトバンクが取り扱います。
Xperiaは「1」「5」「10」といった数字がグレードを表しており、Xperia 5 IIIは、今夏に発売されたフラッグシップ「Xperia 1 III」の下に位置づけられます。しかし、Snapdragon 888という高性能チップを搭載し、可変式望遠レンズを含むトリプルレンズカメラを備えるなど、多くの仕様はXperia 1 IIIと共通しています。Xperia 1 IIIが “超ハンエンド” で、Xperia 5 IIIが “ハンエンド” といった印象です。
いち早く実機に触れる機会を得たので、Xperia 1 IIIとの比較を交えつつ、Xperia 5 IIIの特徴を紹介しましょう。
■ディスプレイ性能は1 IIIに劣るが、片手での操作性は抜群!
Xperia 5 IIIは縦横比が21:9で、6.1インチの有機ELディスプレイを搭載。上位モデルのXperia 1 IIIは6.5インチで解像度は4Kですが、Xperia 5 IIIはフルHDです。Xperia 1 IIIのディスプレイは、4Kの映像コンテンツそのままの解像度で表示できることが利点ですが、Xperia 5 IIIのディスプレイも一般的なスマホに比べると高画質。リフレッシュレートは最大120Hzで、HDR表示にも対応しています。
▲左がXperia 1 IIIで、右がXperia 5 III。保護ガラスにXperia 1 IIIは薄くて頑強なGorilla Glass Victusを、Xperia 5 IIIは1世代前のGorilla Galass 6を採用しているという違いがある
Xperia 5 IIIは画面がひと回り小さい分、本体もコンパクト。横幅が68mmで、片手でも操作しやすいことが利点。6.5インチ画面のXperia 1 IIIも横幅が71mmに抑えられていて比較的スリムですが、縦に長いこともあり片手での操作性はXperia 5 IIIには劣ります。
▲Xperia 5 IIIのサイズは157×68×8.2mmで、重さは168g。片手で楽に操作できるサイズ感だ
右側面に音量キー、指紋センサーを兼ねる電源キー、アシスタントキー、カメラキーを搭載。これはXperia 1 IIIと共通ですが、Xperia 5 IIIのほうがコンパクトなので、やや窮屈に並んでいる印象を受けます。ワンタッチでカメラを起動して、シャッターとして使えるカメラキーは便利ですが、すぐ横にあるGoogleアシスタントキーを必要と感じるか否かはユーザーの好みが分かれるでしょう。
▲右側面はボタンが多すぎる印象
▲左側面にはnanoSIMとmicroSD(最大1TB)のスロットを搭載
▲上部にはイヤホンジャック
▲底部にUSB Type-Cポート
■Xperia 1 IIIと同じく、可変望遠レンズを含むトリプルカメラを搭載
Xperiaの大きなセールスポイントになっているカメラは、前モデルから引き続き、超広角+広角+望遠で、それぞれが12メガピクセルのトリプルカメラを搭載。より画素数が多いセンサーを採用するメーカーが多い中、画素の大きさを重視し、画質や読み出し速度を優先していることが、ソニーのこだわりのようです。
▲アウトカメラは超広角(16mm/F2.2)+広角(24mm/F1.7)+望遠(70mm/F2.3 - 105mm/F2.8)という構成
▲画素サイズが大きく、読み出し速度が速いことが利点
フラッグシップのXperia 1 IIIは、望遠カメラに焦点距離が切り替わる可変式望遠レンズが搭載されて話題を集めましたが、Xperia 5 IIIにも同じように搭載されています。カメラのスペックはXperia 1 IIIと共通で、最大60回/秒のAF/AE演算、AI超解像ズーム、リアルタイム瞳AFなどに対応。
▲右がXperia 5 IIIで、左がXperia 1 III。1 IIIには被写界深度をスピーディーに測定する3D iToFセンサーが搭載されている
▲カメラアプリのUIも共通。シンプルな「BASIC」モードに加えて、デジタル一眼カメラのように細かい設定もできる「Photography Pro」を搭載
ただし、ひとつだけ違いがあり、Xperia 1 IIIに搭載されている「3D iToFセンサー」が、Xperia 5 IIIにはありません。これにより、動く被写体にピントを合わせ続ける性能に差が出るとのこと。Xperia 1 IIIには「リアルタイムトラッキング」機能がありますが、Xperia 5 IIIでは「オブジェクトトラッキング」という名称になっています。
▲Xperia 5 IIIには3D iToFセンサーはないが、トラッキング精度が若干落ちる程度で「オブジェクトトラッキング」には対応している
■パフォーマンスは上位モデルと同等。ただし5Gミリ波には非対応
プロセッサーは、両モデルともにハイエンド向けのSnapdragon 888。メモリは、Xperia 1 IIIがRAM 12GB、ROM 256GBであるの対して、Xperia 5 IIIはRAM 8GB、ROM 128GBと、若干控えめの仕様になっています。
バッテリー容量はXperia 1 IIIと同じく4500mAh。ディスプレイが小さい分、Xperia 5 IIIのほうが、より長い電池持ちを期待できそうです。ただし、Xperia 5 IIIはワイヤレス充電には対応していません。
▲電池が劣化しにくいことも特徴
スペックを重視する人には、大きな違いとなりそうなのが5Gの通信性能。5Gの高速通信には、6GHz未満の周波数帯を使う「Sub6」と28GHz以上の高い周波数帯を用いる「ミリ波」があり、Xperia 1 IIIは両方に対応しています。しかし、Xperia 5 IIIはSub6のみの対応。ただし、ミリ波につながるエリアはまだまだ限定的。動画を観たり、オンラインゲームを楽しんだりするにはSub6の速度で十分だったりもします。
■スピーカー音質も満足必至
オーディオのスペックは、ほとんど変わらないものの、内蔵のステレオスピーカーの性能はXperia 1 IIIに比べると若干劣るとのこと。新製品の体験会で、Xperia 5 IIIのスピーカーとヘッドフォンからの音を聴かせてもらったのですが、どちらも十分すぎるくらいクリアな音質。Xpria 1 IIIが1 IIからスピーカーを改良したのに対して、Xperia 5 IIIは、ハードウェアとしては5 IIのスピーカーを踏襲しているものの、音のチューニングを見直して、背面パネルの振動による音の歪みなどを改良。よりバランスよく明瞭な音質へと進化していました。Xperia 1 IIIとの明確な差分としては、音量がやや小さいといったことくらいでしょう。
▲ソニーならではの高音質化機能も搭載
カラバリはグリーン、ピンク、フロストシルバー、フロストブラックの4色。グリーンとピンクはグローバル向けモデルと同じで光沢仕上げ。磨りガラス調のフロストシルバーとフロストブラックは日本限定カラーです。
▲ドコモとauは全4色を取り扱い、ソフトバンクはピンクを除く3色を販売
▲専用のスタンド付きの専用ケースも発売される
■持ちやすさとコスパを重視するなら、Xperia 5 IIIがベストバイ
細かい部分までを比べると、いくつか差分はあるものの、用途によっては気にならない程度の違いです。むしろ、Xperia 5 IIIの持ちやすさや操作のしやすさを大きなアドバンテージと感じる人もいるでは?
▲リッチな質感は実機に確認すべし
Xperia 5 IIIの価格はまだ発表されていませんが、Xperia 1 III(ドコモ版は15万4400円)よりも安くなることは確実。片手で使いやすく、かっこいいハイエンドスマホを求めている人は11月まで待つべきでしょう。
>> Xperia
<取材・文/村元正剛(ゴーズ)>
村元正剛|iモードが始まった1999年からモバイル業界を取材し、さまざまな雑誌やWebメディアに記事を寄稿。2005年に編集プロダクション「ゴーズ」を設立。スマホ関連の書籍・ムックの編集にも携わっている。
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- Original:https://www.goodspress.jp/news/402711/
- Source:&GP
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