【iPad Hacks_07】
iPadを初めて使うという場合、まずは標準搭載のアプリや、App Storeから無料でインストールできるアプリを使って、基本操作や「アプリを使う」という感覚を覚えていくのが良いと思います。しかし、ある程度使い慣れてきたのなら、「〜円で購入」という「買い切り」の有料アプリにも手を出してみることも重要です。
理由はシンプルで、有料アプリの中にはしっかりと作り込まれていて、機能的に優れているものがあるからです。もちろん、有料アプリだから全て優秀というわけではありませんが、人気の高い定番アプリについては、質の高さが目立ちます。アプリ内の広告表示などがないものも多く、使っている最中の煩わしさなどがないことも嬉しいポイントです。
そこで今回は、iPadの機能を拡張するうえで、検討してほしいおすすめの有料買い切りアプリを5つ紹介していきます。お金がかかるので、もしかすると最初は「怖い」と感じる人もいるかもしれませんが、そんな人もちょっと冒険して、iPadの可能性を広げてみてください。
※本稿で紹介する画面は、iPadOS 15.0.1のものです。
(1)GoodNotes 5
「Apple Pencilを使って、iPadでセミナーや講義の手書きノートをまとめたい」「仕事のPDFをノートアプリに取り込んで書き込みをしたい」といった作業にはノートアプリが必要です。
そして、その数あるノートアプリのなかでも“ド定番”と言えるのがこちらの「GoodNotes」シリーズ。ナンバリングがいくつかあるのですが、執筆現在堅実に使えた最新バージョンが「GoodNotes 5」になります。価格は980円です。
▲「いまさら説明する必要あるのか?」って思うくらい定番なアプリ。筆者は、GoodNotesだと、ウェブサイトのキャプチャを貼り付けて、書き込みをして、情報整理に使ったりすることが多い。ブラウザのタブのように、ノートを切り替えて使えるのが便利だ
とりあえずGoodNotes 5を使っておけば間違いないと言えるのは、直感的に使えるUIや書き心地の良さに尽きます。もちろん「録音だったり、付箋だったり、いろんな付加機能を使いこなしたい!」という人には、ほかのノートアプリの選択肢も勧めたいのですが、「標準の『メモ』アプリががちょっと合わないので、とにかくシンプルにノートアプリが欲しい」という人には、ぜひこちらを試してみてほしいです。
(2)LumaFusion
やはり「iPadで動画編集をしたい」という人には、まずAppleが提供している「iMovie」をおすすめしたいところ。しかし、「『iMovie』だけではやりたい編集が再現できない!」と気づいた“こだわり派”の皆さんに勧めたいのは、「LumaFusion」というアプリになります。価格は3680円とやや高めですが、長く使うことを考えれば、サブスクリプション式(毎月や毎年など定期的に支払いが必要)のサービスより安く上がります。
▲LumaFusionは、行える操作が豊富なので、やや上級者向け。旅行で撮りためたビデオに、オリジナルの編集を加えたい場合などにはぴったりだ
最大の特徴は、「キーフレーム」を使った編集が行えること。PCの動画編集ソフトに手を出したことがある人にはお馴染みの操作で、「3秒目から5秒目にかけてこの動きをじわっと変化させたい」といった細かい編集操作ができる、という意味です。この手の編集ができるiPad向けの動画編集アプリは限られる印象があります。
ただし、できることが複雑な分、使いこなすまではなかなか大変です。チュートリアルやWeb上に公開されているHow to情報をしっかり自分で調べて、使いこなす覚悟がある人にのみ、お勧めします。
(3)Affinity Designer
「アドビの『イラレ(Illustrator)』みたいに、パスを使ったデザインに挑戦してみたいんだけど、サブスク払うのはちょっと…」という人に試して欲しいのが「Affinity Designer」。Serif社が提供するベクターデータ対応のデザインソフトで、2014年から展開されている古株です。
▲筆者は年賀状用にベクターデータで素材を作ったりした。Adobe Illustoratorも使える環境になったので、最近は出番が減っているものの、何度も助けられたアプリのひとつ
機能が充実しているわりには、2700円の買い切りで使えるので、Adobe CCのライセンスを持っていないという人がデザインソフトを試すには狙い目。ただし、使いこなすにはしっかり機能を勉強しなくてはなりませんので、気軽にお絵描きしたいという人には不向きかと思います。
例えば、手書きのイラストだけではなくて、「タイポグラフィにチャレンジしたい」「オリジナルの年賀状やチラシを、本格的なツールを使ってデザインしてみたい」といった場合などに、チェックしてみると良いでしょう。
(4)Procreate
一方「本格的にフリーハンドのお絵描きがしたい」という人に勧めたいのが「Procreate」です。イラスト向けアプリは膨大な選択肢がありますが、Procreateはその中でもアナログに近い感覚で描けるので、「これまで鉛筆やペンでしか書いたことない」という人こそ試してみる価値のあるアプリだと思います。価格も1220円と手頃です。
▲ガツガツ描きたい人なら一度はチェックしてほしい「Procreate」。こちらも「いまさら説明する必要ある?」って思うくらいのド定番アプリ。使えるブラシも豊富だ。ただし、マンガを描きたい人には枠線機能がないからちょっと大変かも
さまざまな機能が搭載されていますが、面白いのが、描いている様子をタイムラプス動画のように残せる機能なども備わっていること。「デッサンの様子をSNSへ公開したい」といった需要でも重宝するかもしれません。
(5)Calzy
「iPadってもしかして電卓アプリ無いの?」と気づいたビジネスパーソン(と今知った皆さん)には、電卓アプリとして「Calzy」をお勧めします。価格は370円です。
▲電卓使いたくて悩んだら、ひとまず「Calzy」使ってみてほしい。デザインがかっこいいだけでなくて、使い勝手も優れている
シンプルな電卓アプリですが、ドラッグアンドドロップ操作や、Slide Over、Split Viewなどの複数ウィンドウ表示に対応していることがポイント。UI(ユーザーインターフェース)もスタイリッシュなので、気持ちよく使えると思います(ただし、筆者が検証した際には、消費税計算の%が変えられないなどに少しバグもあったので、その点はご了承ください)。
* * *
今回紹介したように、「少しこだわった機能を使いたい」「iPadで一歩先のことにチャレンジして、できることを広げたい」という場面では、有料アプリは重要な選択肢となります。ちなみに、「うっかり間違えて買っちゃった!」というミスに対しては、返金をリクエストできるようになっているので、サポートページの存在も知っておくと安心です。
<文/井上 晃>
井上 晃|スマートフォンやタブレットを軸に、最新ガジェットやITサービスについて取材。Webメディアや雑誌に、速報、レビュー、コラムなどを寄稿する。Twitter
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