東南アジアでライブコマースのためのコミュニティ主導型ディスカバリーアプリを構築するUpmesh

Upmesh(アップメッシュ)の創業者らは、Twitch(ツイッチ)のAPIでゲームを作っていたときに、別のライブストリーマーのグループについてあることに気づいた。東南アジアでは何年も前から、Facebookライブでの販売が人気を博しているが、多くの業者は未だに、終了後のコメントから注文を集めるためにペンと紙を使っていたのだ。Upmeshは、チェックアウトプロセスの自動化のために創業された。最終的にはWhatnotのように、さまざまなソーシャルメディアプラットフォームで新しいライブコマースの販売業者を見つけられるようなプラットフォームを作りたいと考えている。

関連記事:コレクター向けのライブストリーミングショッピングアプリWhatnotが約165億円を調達、ユニコーン企業に

Upmeshは現地時間10月8日、300万ドル(約3億3600万円)のシードラウンドを完了したと発表した。このラウンドはLeo Capitalがリードし、Beenext、iSeed、Goto Financialのマーチャントファイナンシャルサービス部門長のJonathan Barki(ジョナサン・バーキ)氏、BukuWarungの創業者であるAbhinay Peddisetty(アブヒナリー)氏とChinmay Chauhan(チンメイ・チョーハン)氏、Zopimの創業者であるRoyston Tay(ロイストン・タイ)とKwok Yang Bin(クウォク・ヤン・ビン)氏が参加した。

Upmeshは、Wong Zi Yang(ウォン・ジー・ヤン)氏、Soh Jan(ソー・ジャン)氏、Nhat Vu(ナット・ブー)氏、Shawn Teow(ショーン・テオ)氏の4人が9カ月前に立ち上げた会社だ。現在、シンガポール、マレーシア、フィリピンの約300社のライブコマース事業者に利用されている。同社によると、流通取引総額は年間4000万ドル(約45億円)に上るという。

このプラットフォームのツールは、ライブストリームのコメントでの発注(例えば「white top +1」)を自動的に捕捉し、販売業者の在庫の中から適切な商品を探し出し、顧客にチェックアウトリンクを送信する電子商取引機能を提供する。Upmeshは現在、Facebook Liveに対応しているが、今後は他のプラットフォームも追加し、プラットフォームを問わないサービスを目指している。

ライブコマース用の受注ツールを提供する企業には、CommentSold、Dibsly、Soldie、Buy It Liveなどがある。Upmeshの創業者らは、最も重要な差別化要因の1つとして、東南アジアのさまざまな国の販売業者と顧客の期待に応えるため、プラットフォームを個別に調整している点を挙げた。

「東南アジアのライブ販売の状況を見ると、国ごとに注文の集め方が大きく異なります」とCEOのウォン氏は話す。「シンガポールとフィリピンでは、在庫入力をライブ前後のどちらで行うのか、また在庫数を管理するのかについて、やり方がまったく異なります」。

Facebookライブのコメントで注文を取るUpmeshのツール(画像クレジット:Upmesh)

例えば、シンガポールでは、在庫の回転が非常に速いため、何千点もの商品を提供している販売者でも、短期間しか在庫を置いていないことが多いという。一方、フィリピンでは、多くの業者が、実店舗を補完するためにライブコマースを行う。在庫は店舗から持ち出し、手元にあるものを販売することが多い。「ソフトウェアの構造は、それぞれの市場に合わせてカスタマイズする必要があります」とウォン氏はいう。

Upmeshは今回調達した資金の一部を使い、少なくとも半年間はフィリピンとマレーシアに力を注ぐものの、インドネシア、タイ、ベトナムにも進出したいと考えている。また、従業員の増員、マーケティングキャンペーンの実施、販売業者向けの教育コンテンツの作成なども計画している。

ウォン氏は、新型コロナウイルスが電子商取引の導入を促進したのだとしても、それがライブコマースへの関心を生み出したわけではないと指摘する。同社の顧客の多くは、3年ほど前からライブストリーミングを行っている。「人々の電子商取引への関わり方は変化しています。関係性が重視されるようになってきています。売り手が買い手のファーストネームを知っているからこそ、ライブストリームで名前を呼ぶことができるのです」とウォン氏は語る。「中小企業にとっては、広告の代わりになっています」。

Upmeshのユーザー獲得は、これまでほとんどが口コミによるものだった。ファッション系のライブ販売業者が多いのは、彼らが密接なコミュニティを形成しているからだとウォン氏は話す。

同社は、そうしたコミュニティを新しい収益獲得の手段にすることを計画している。売り手と買い手が互いに交流し、さまざまなソーシャルメディアプラットフォームでライブコマースの動画を見つけられるようなプラットフォームを作るのだ。

「比較して興味深いのは、米国にはWhatnotのようなライブコマースのプラットフォームがあることです。しかし、Whatnotはコレクターズアイテムやヴィンテージアイテムなど、非常に厚い二次的な再販市場があるものに力を入れています」とウォン氏はいう。「米国では、分野ごとにだいたいコミュニティがあり、人々はeBayやYouTube上で、あるいはオフラインで交流しています。そうしたコミュニティが彼らに家を与えたのです」。

Upmeshのライブコマース販売者用ダッシュボード(画像クレジット:Upmesh)

一方、東南アジアでは、コレクターズアイテムのような市場はないが、ファッションや生鮮食品など、さまざまな種類の商品にコミュニティが形成されている。Upmeshはそういった商品ごとにプラットフォームを作りたいと考えている。

「ライブコマースの最終目標は、買い手がさまざまな売り手を見つけて交流し、気に入った売り手を見つけたら、さらに先へ進むことができるといったことです」とウォン氏は話す。「私たちは、商品がどこにあるかにユーザーの注意を向けます。私たちはすべての売り手の在庫を持っているので、もしあなたが赤いドレスが欲しいなら、どの売り手が赤いドレスの在庫を持っているかお知らせすることができます」。

画像クレジット:nikom1234 / Getty Images

原文へ

(文:Catherine Shu、翻訳:Nariko Mizoguchi


Amazonベストセラー

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA