日本でも売ってほしい!日本メーカーが海外で販売するピックアップトラック6選

現在、国内でピックアップトラックを発売している日本車メーカーはトヨタのみです。トヨタが販売するハイラックスは2017年9月に日本に2グレードが導入されました。搭載エンジンは2.4Lディーゼルターボで、トランスミッションは6AT、駆動方式はパートタイム4WDになります。

かつてはトヨタ以外にも日産、マツダ、三菱などがピックアップトラックを国内で販売していましたが、軒並み廃番に。理由はただひとつ。ピックアップトラックがニッチな製品のため、販売台数が伸びなかったからです。

一方、ニッチゆえにピックアップトラックを愛用しているごく少数の人、中でも仕事で使っている人は代わりとなるモデルが存在しないという問題が発生。2004年に先代ハイラックスが販売終了となった後は、なんとか整備をしながら10年以上乗り続け、それも限界になってきたのでトヨタの人に「頼むから新しいピックアップを出してくれ!」と懇願していたと言います。

日本ではマイナーなピックアップトラックですが、海外では多くの人が選ぶ超人気モデルで、アメリカでは年間販売台数の上位をピックアップトラックが占めているのはみなさんご存じの通り。そしてタイをはじめ、アジアでもピックアップトラックは人気です。

そのため、実は日本の多くの自動車メーカーが海外ではピックアップトラックを生産しています。日本ではめったに見ない、海外での超人気モデルであるピックアップトラック。あなたはいくつ知っていますか?

 

1. トヨタ タンドラ

アメリカのビッグスリーに対抗するため、トヨタがT100に代わるフルサイズピックアップトラックのタンドラを投入したのは2000年のこと。ただ、初代タンドラはフォード F-150やシボレー シルバラードに比べるとボディサイズもエンジンもやや小さくなっていました。

トヨタが本気を出したのは2007年に発売された2代目から。ビッグスリーに負けない押し出し感のある外観と5.7Lという大排気量のV8エンジンを搭載。インテリアもアメリカ人が好むラグジュアリー性を高めた装備が惜しみなく搭載されました。

そんなタンドラは2012年にとてつもないチャレンジに挑みます。2011年に引退したスペースシャトル・エンデバー号をロサンゼルス国際空港からカリフォルニア科学センターまで移動させる際、途中にある橋がシャトルを牽引する大型の台車の荷重に耐えられないことがわかりました。この橋を渡るためには軽いクルマと台車で牽引する必要がある。その大役をタンドラが担ったのです。

スペースシャトルと言えばアメリカを象徴するもの。もし何かあったら、袋叩きくらいではすまなかったでしょう。関係者と多くの観衆が見守る中、シャトルをつないだタンドラはゆっくりと動き出し、上り勾配で力尽きることなく橋を渡りきりました。このミッションを完遂したことで、タンドラは“アメリカンピックアップトラック”として多くの人に認められたのです。

2021年9月には2022年モデルとして、3代目となる新型タンドラが初公開されました。

高強度を誇るボックス型のラダーフレームとアルミニウム強化複合材を多用した新開発のシャシー、刷新されたマルチリンク式リアサスペンションにより乗り心地や安定性が向上。

パワートレインは標準モデルが最高出力389ps、最大トルク479lb-ftを発揮する3.5L V6ツインターボに。さらにモーターシステム「i-FORCE MAX」を組み合わせて最高出力437ps、最大トルク583lb.ft.を発揮するモデルも用意されます。これらにより最大牽引力は1万2000ポンド、最大積載量は1940ポンドを達成しました。

インテリアもラグジュアリー性が高められた上、最新のマルチメディアシステムを採用。バーチャルインテリジェントアシスタントによりさまざまな機能をクルマと会話するような音声操作で動かせるようになりました。

 

2. トヨタ タコマ

タンドラよりひと回り小さなミドルサイズのピックアップトラックがタコマ。1995年に初代が登場し、現行型は2016年から販売されている3代目となります。

2021年6月にはタコマの上級グレードであるSR5をベースにフロントとリアをリフトアップし悪路走破性を高めたトレイルエディションを設定。ボディカラーは日本でも人気が高いアースカラーが用意されています。

トレイルエディションに搭載される3.5L V6エンジンは最高出力278ps、最大トルク265lb-ftを発揮。トラックでもToyota Safety Sense Pをはじめ、数々の先進安全装備が搭載されています。

また、TRDのチューニングによってトレイルエディション以上にオフロード性能が高められたTRD Proも用意されました。

リフトアップはフロントが1.5インチ、リアが0.5インチ。これによりアプローチアングルは36.4度、デパーチャーアングルは24.7度に。

搭載エンジンはトレイルエディションと同様で、トランスミッションは6ATと6MTが選べます。

ラグジュアリーさを楽しむならフルサイズのタンドラ、オフロードをスポーティに走るならミドルサイズのタコマ。アメリカではピックアップトラックでもこのような棲み分けができているのです。

 

3. 日産 タイタン

日産がアメリカで販売しているフルサイズピックアップトラックがタイタン。現行型は2代目で2015年にデビューしました。

タイタンはガソリンエンジン搭載のフルサイズピックアップトラックでクラス最高レベルのパワーを発揮する5.6L V8を搭載。最高出力は400ps、最大トルク413lb-ftに達します。トランスミッションは9AT。

上級グレードのPRO-4Xにはヒルディセントコントロール、ヒルスタート・アシスト、ブレーキリミテッドスリップディファレンシャル、電子制御式リアディファレンシャルなどの電子制御もふんだんに搭載されました。

注目はファーストクラス並みの豪華なインテリア。タッチスクリーンは標準装備で8インチ、オプションで9インチを選ぶこともできます。このシステムは最新のコネクティビティシステムを搭載したほか、Wi-Fiルーターを内蔵していて最大7台のデバイスを接続できます。そしてレストランの予約やモーニングコールも依頼できる日産コネクトが標準装備に。

オーディオはフェンダーのシステムを搭載し、クルーキャブには12個、キングキャブには10個のスピーカーを搭載。そして日本で販売される日産車にも搭載されるゼログラビティシート(背中から骨盤まで連続的に支持することで疲れにくくしたシート)が設置されています。

エクステリアのギラギラ感はトヨタ車以上! フロントフェイスは戦士のマスクからインスパイアされているそう。派手なモデルが好きな人にはたまらないはずです!

 

4. ホンダ リッジライン

ホンダが2005年から製造しているミドルサイズのスポーツユーティリティトラックがリッジライン。現行型は2016年にデビューしました。

ピックアップトラックはFRベースの4WDが多い中、リッジラインはFFベースの4WDに。さらに他モデルとの差別化を図るためにFFも用意されています。

リッジラインはシャープでスポーティなエクステリアが特徴。これを強調するためにHonda Performance Development(HPD)とコラボレーションしたHPDパッケージというグレードも用意されています。

インテリアはシンプルで、乗用車ライクなデザインです。

 

5. 三菱 トライトン

2006年9月に日本でも販売がスタートした三菱のピックアップトラック、トライトン。初代トライトンは2011年8月に日本での販売が終了しましたが、海外では2014年まで販売。トライトンは世界の約150カ国で販売される三菱の主要モデルなのです。

2014年11月には2代目へとフルモデルチェンジ。ライトやグリル周りに初代のイメージを残しながら、快適性を高めたピックアップトラックに生まれ変わりました。

そして2018年11月にイメージを一新する大規模なマイナーチェンジを実施。アウトランダーやデリカD:5などが採用した三菱のデザインアイデンティティ“ダイナミックシールド”を取り入れた精悍な顔つきになります。この顔が力強いピックアップスタイルにぴったりハマり、他のモデルとは異なる雰囲気を醸し出しています。

ボディは4ドアのダブルキャブ、リアに観音開きのドアを設置したクラブキャブ、2ドアのシングルキャブが用意されます。

4WDシステムは2WDと4WDの切り替えが簡単にできるイージーセレクト4WDと、2H(後輪駆動)、4H(フルタイム4WD)、4HLc(直結4WD)、4LLc(ローギヤ直結4WD)の4つの走行モードを用意するスーパーセレクト4WD-IIの2種類を設定。後者には4つのオフロードモードを搭載しています。エンジンは2.4Lのガソリンとディーゼルターボからセレクトできます。

 

6. いすゞ D-MAX

日本では2002年9月末をもって乗用車部門から完全撤退したいすゞですが、海外では現在もSUVやピックアップトラックを販売しています。

D-MAXは2002年5月に登場したピックアップトラックで、現行型は2019年から販売されている通算3代目のモデルです。

タイでは4ドアのダブルキャブ、シングルキャブ、クラブキャブのほか、オフロード性能を高めたV-クロス 4×4や、レーシーなXシリーズもラインナップ。Xシリーズはスピードとハイランダーという2種類のデザインが用意されます。

ディーゼルエンジンは1.9L直4と3L直4、トランスミッションは6MTと6AT、駆動方式は4WDとFRがあり、用途に応じて選ぶことができます。

 

<文/高橋 満(ブリッジマン)

高橋 満|求人誌、中古車雑誌の編集部を経て、1999年からフリーの編集者/ライターとして活動。自動車、音楽、アウトドアなどジャンルを問わず執筆。人物インタビューも得意としている。コンテンツ制作会社「ブリッジマン」の代表として、さまざまな企業のPRも担当。

 

 

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