キリンら、宇宙でレタス栽培の実証実施! 月で農作物を育てる未来に向け前進

キリンホールディングス株式会社、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)、株式会社竹中工務店、国立大学法人千葉大学、東京理科大学は、国際宇宙ステーション(ISS)「きぼう」日本実験棟内にて、「袋型培養槽技術」を活用したレタス栽培の実証実験を実施しました。

小さな袋の中で育つレタス

今回、レタス栽培に活用された「袋型培養槽技術」は、キリン独自の増殖技術。密閉した小型の袋の内部で水を循環させながら植物を増殖させるため、雑菌の混入を防ぎ、臭気発生がなく、土壌栽培よりも水を有効利用できるというのが大きな特徴でしょう。また、コンパクトかつ簡易的なシステムで、メンテナンスのしやすさや省エネルギー性に優れ、小型の袋を用いた小ロット生産で人数に合わせた数量調整が容易なこともポイントです。

同実験は、2021年8月27日~10月13日までの48日間で実施。期間中に培養液の供給および空気交換を行い、生育を促進しました。9月10日にはレタスの本葉を確認し、その後も順調な生育を続け、収穫に至ったとのことです。

今後は、生育したレタスと培養液、生育の様子を撮影した記録を回収し、宇宙での適用可能性や本栽培方式の優位性を評価します。また、レタスに食品衛生上の問題がないかの確認や、栽培後の培養液を分析し環境制御・生命維持システム(ISSでクリーンな空気および水を供給するシステム)で再利用処理が可能かについての確認も実施する予定です。

同実験の背景

近年、宇宙開発の機運が高まり、世界各国で宇宙空間での長期滞在技術の開発が進行中。国内での取り組みのひとつに、JAXAが国立研究開発法人科学技術振興機構から受託した「イノベーションハブ構築支援事業」における「袋培養技術を活用した病害虫フリーでかつ緊急時バックアップも可能な農場システムの研究」があります。

この研究に乗り出したのが、キリンら5社。同研究の目的は、月面に農場を設営し、地球からの補給に頼らず、長期滞在のための食料を安定的に生産するということにあります。これを実現するには、病害虫防止と緊急時食料のバックアップの対応が必要に。また、地球からの輸送にあたり栽培システムの積載重量低減も求められます。

こういった条件を満たすのが今回のシステム。実証実験用に開発した栽培装置は大きさと重量を抑えつつも、3袋の栽培ができるよう設計されました。また、内部には、 ISSの飲料水から培養液を作成・無菌化して各培養袋へ供給できる給液システムと、生育状況を定期的に自動撮影できるシステムを搭載しています。

PR TIMES
キリンホールディングス株式会社

(文・Higuchi)


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