Patreon(パトロン)の共同創業者でCEOのJack Conte(ジャック・コンテ)氏と最高プロダクト責任者のJulian Gutman(ジュリアン・ガットマン)氏は、現地時間10月28日に開催されたThe Informationの2021 Creator Economy Summitのパネルに登壇し、同社の会員制プラットフォームの暗号資産に関する計画について質問を受けた。
「暗号資産とNFTの分野で、明らかに壮大なイノベーションが起きています」とガットマン氏は話した。「私たちが目にするアート市場や貴重品市場では、狂気じみた価格がつきます。それがクリエイターエコノミー全体で持続可能なのか、明らかではありません。しかし、には、基本的な技術的要素というものがあり、オーディエンスに価値を売る方法として機能しています。クリエイターの活動が世の中で重要性を増すと、二次販売によってその価値を継続して享受することができます」。Patreonは9月、四半期ごとのCreator Policy Engagement Programのライブストリームに先立ち、クリエイターコミュニティに対し、クリエイターコインのアイデアを提示した。このライブストリームでは、クリエイターがプラットフォームのポリシー変更について意見を述べることができる。だが同社は、このテーマについてクリエイターと深く話し合うことができなかった。Mastercardのアダルトコンテンツに関する新基準に関連した、より緊急性の高い問題と一緒に提示されたためだ。
Patreonのポリシー責任者であるLaurent Crenshaw(ローレント・クレンショー)氏はPatreon Connectのライブストリームで「私たちは今、いかなるタイプのイニシャル・コイン・オファリング(ICO)の創設についても検討していません。明らかに、Patreonの現在のガイドラインでは認められていません」と話した。「しかし、多くのクリエイターから、彼らの支援者に対し、コインやトークンなどにより、限定的なメンバーシップや特典を提供することに興味があるという声を耳にしてきました。そうしたデジタルアイテムは、クリエイターのファンクラブの一員であることを示し、持ち続けることができます。そこで私たちは、少なくとも、そのような方法をガイドラインが認める可能性を探れるのではないかと考えました」。
Patreonでは、クリエイターが個人的な投資話やアドバイスをすることはできるが、現在のガイドラインでは、クリエイターやその支援者の直接的な金銭的利益を目的としたコインや、投資スキームの一部として提供されるコイン、暗号資産の購入や入手を促す明示的なインセンティブなどは禁止されている。しかし、クリエイターがクリエイターコインの提供に興味を示すなら、Patreonはポリシー変更を検討するという。
クリエイターコインとは、暗号ベースのソーシャル通貨の一種で、基本的には、ファンがクリエイターの成功に投資できるような仕組みだ。BitClout、Roll、Rallyなどの企業が個別のトークン作成に取り組んでいる。クリエイターのトークンを早期に購入し、その人がスーパースターになれば、自分も利益を得ることができる。
「Patreonが常に心がけていることの1つは、クリエイターにとって持続可能で長期的な道筋を作っていくことです。収益化が爆発的に進むことではありません」とガットマン氏はThe Informationのサミットで述べた。「ですから、NFTやその基盤となる技術が、クリエイターにとって持続可能で長期的な収益を生み出すためにどう役立つのかを検討し、理解することに興味があります。しかし、個々のアセットの販売を伸ばすことに関していえば、クリエイターにとって価値があると思えるなら、クリエイターが提供できる幅広いポートフォリオの一部として、クリエイターコインの提供を考えないわけではありません。しかし、私たちとしては、クリエイターにとって持続可能で継続する未来を築くにはどうすればよいかを真剣に考えているがために、暗号資産についても広く検討しているわけです」。
クリエイターに作品の所有権を与えることを目的とする暗号資産の取り組みもある。例えば、アーティストはNFTを販売するたびにロイヤルティを得ることができるが、通常のファインアーティストに同じことは当てはまらない。
「暗号資産やNFTに関する一般論として、私はクリエイターが自分のメディアやコンテンツを所有するという考えがとても気に入っています。クリエイターがレバレッジを効かせてコントロールするという考え方が好きなのです。プラットフォームではなく、クリエイターがオーディエンスのデータを所有するという考え方も好きです。基盤となる多くのインフラが、クリエイターに自立の力を与えてくれるというのはすばらしいことだと思います。権力を組織から個々のクリエイターに移すという考え方が好きです」とコンテ氏はイベントで語った。「私は、このテクノロジーの多くが目指しているのはそういうことだと思いますし、それが本当に深くエキサイティングなことだと思っています」。
しかし、Patreonが先月提案した、クリエイターが暗号資産に手を出せるようにするというPatreonのアイデアには、多くのクリエイターが抵抗を感じていた。ほとんどは環境コストが理由だ。
「暗号資産を加えるというアイデアは心配です。アーティストのコミュニティにおける暗号資産の評判は絶対的に悪いからです。表面的には有益であってもです。クリエイターの支援者がプラットフォームへの暗号資産導入に賛成しないことで、支援者を失ってしまうのではないかと心配しています」と、あるクリエイターはライブストリームの公開チャットに書き込んだ。
パネルの司会を務めたThe InformationのLaura Mandaro(ローラ・マンダーロ)氏は、コンテ氏に対し、Patreonには暗号資産に取り組むフルタイムの従業員がいるのかと尋ねた。
「それについてはノーコメントですが、検討はしています」とコンテ氏は答えた。
画像クレジット:Getty Images
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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2021/10/30/2021-10-29-patreon-confirms-its-exploring-crypto-as-a-way-for-creators-to-make-money/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Amanda Silberling,Nariko Mizoguchi
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