動画を活用したインフォームド・コンセント支援システム「MediOS」(メディオス)を提供するコントレア(Contrea)は11月16日、プレシリーズAラウンドにおいて、J-KISS型新株予約権発行による総額1億4000万円の資金調達を完了したと発表した。引受先はCoral Capital、千葉道場ファンド、個人投資家。調達した資金は、システムおよび動画コンテンツの開発強化、営業・マーケティング体制の強化にあて、2024年の医師の働き方改革に向けた医療現場のDXを推進する。
インフォームド・コンセント(医療従事者が患者に診療目的・内容を説明し患者の同意を得ること)の内容には、病気の概要や治療方法、合併症など前提となる知識を伝える「講義」の部分と、患者の気持ちのサポートや意思決定の支援、質疑応答などの「対話」の部分にわけられるという。医師はどちらも口頭で説明するものの、医療知識を有さない患者への説明では多くの時間を要するため、がんなどの場合では1時間以上かかることも少なくないそうだ。その結果、厚生労働省の調査では医師の時間外労働の発生原因の第3番目に「患者への説明対応」が挙がるなど、全国的な課題として顕在化している。
一方、患者側は時間をかけて説明を受けても、「講義」の部分は専門性が特に高く一度で理解することは容易ではない。「対話」の部分にたどり着く頃には頭が「パンク」していることがあり、その場では質問が浮かばずに帰宅してから聞きたいことが出てくることもある。コントレアは、インフォームド・コンセントにおいて、医師・患者の双方に課題があると指摘する。
同社のMediOSは、「講義」ではなく、患者との「対話」に注力できるようにするための、医師・患者間のコミュニケーション支援システムという。病気の概要や治療方法・合併症などの「講義」に該当する部分は患者個別性が少なく、医師にとっては標準的で繰り返しの説明となるため、MediOSが「講義」部分をアニメーションを用いた動画でサポートする。
医師は、患者の病状や治療法に応じて動画を組み合わせることで、患者ごとにカスタムされた動画を発行できる。また患者側は、医師から発行された動画を自分の都合のいい場所・時間に何度でも繰り返し視聴可能だ。さらに、システム内において事前に質問を登録できるため、医師への質問や疑問点の伝え忘れを防止できる。患者の自宅や病院内の待ち時間などでMediOSを利用することで、診察室を拡張可能としている。
患者の理解度が高まった状態で医師との対面の説明にのぞむことで、医師の「講義」の効率化、またより本質的な「対話」に注力できるようになり、信頼関係の強化にもつながるという。コントレアは、これまで人力に頼っていた領域にデジタルのエッセンスを加えることで、医療現場の効率化と患者エンゲージメント向上を両立できるプロダクトを目指しているとした。
MediOSは2021年1月にβ版をローンチし、大学病院を始めとした200~700床の病院で導入済みという。導入効果として医師の説明時間が患者1人あたり33%短縮された。また、高齢者が多い中にあっても7割以上の患者が自力で動画視聴を完了し、理解度も4.6点(5段階中)を取得するなど、医師および患者の双方に効果が出ているそうだ。
- Original:https://jp.techcrunch.com/2021/11/16/contrea-fundraising/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Takashi Higa
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