リモートワークが長期化し、運動不足が続く日々ーー。
「このままではいけない!」と思ったとき、健康管理の手始めに体重を測る……という人が多いのではないでしょうか。一方で、「体重がすべてではない」という声も最近よく耳にするようになってきました。体の形やサイズを重視する、という考え方です。
Bodygram Japan株式会社は、「体の形やサイズ」を健康管理の指標にすることを提唱。AIによる身体採寸技術を搭載したアプリ「Bodygram(ボディグラム)」を提供しています。
今回は、同社COOのRei Aiba氏にお話を伺ってきました。
体の形やサイズから自分を知る
ーー御社は「体重」ではなく「体の形やサイズ」を指標とした健康管理を推奨していますよね。なぜでしょうか?
Rei:健康管理において重要なのは、自分の体に潜んでいるリスクを自覚することだと思います。
例えば、フィラデルフィアの学術センターから公開されている記事には、「人間は5つの体型に分類することができ、その体型ごとに異なる健康リスクを抱えている」と記されています。
つまり、特定の健康リスクと体型には関連性があるんです。体型によって、メタボリックシンドロームになる可能性が高かったり、糖尿病になる可能性が高かったり……。
これは、体重を指標とした健康管理では、見つけられません。
ーー自分の体型がどの分類に当てはまるかを知ることで、リスクの予防につながっていくんですね。そしてそれを可視化するツールが、Bodygramであると。
Rei:はい。自分の体の形を可視化することで、自分がかかりやすい病気や、健康を維持するためにはどうしたらいいのか、考えたり知識を深めたりしていくことができます。
Bodygramはサイズ推定以外にも、体脂肪率や骨格筋量の推定、姿勢分析などができます。これらの情報をすべて考慮した上で「自分が健康的に生きるためにはどうしたらいいのか」を考えるきっかけにしてもらいたいです。また、「健康的に生きていこう」と思った人に行動を促すきっかけになったら嬉しいですね。
ーーそもそもBodygramを開発しようと思ったきっかけはなんでしょうか?
Rei:私たちは、「自分の体の情報は自分で持つべき」だと考えています。では、どのように自分の体の情報を知るのか……。
3Dスキャナーを利用すれば、精密な採寸データが取れます。ただ、機械が大きいので場所を取られたり、そもそもスキャナー本体の価格が高かったりと、そこまでして採寸したいかという話になりますよね。
かと言って、メジャーなどを使って自分で採寸すると、正確さに欠けてしまいます。私たちは、これを解決したいと思ったんです。
数字ではなく3Dアバターが教えてくれる体の形
ーー「自分の体の情報は自分で持つべき」ですか……。
Rei:はい。ボディデータは、個人の大切なデータだと認識しています。ただ、今まで自分で手軽に計測する手段がありませんでした。
そこで、スマホひとつで簡単に自分のボディデータを計測できるシステムとして、Bodygramを開発しました。私たちは、いつでも自分の体のデータにアクセスできるようにしたいという思いがあるので、全機能を無料で提供しています。
ーーなるほど。実際にBodygramのアプリを使ってみたのですが、3Dアバターが自分の体の形を再現してくれますよね! ボディデータをアバターで把握できると、体の形やサイズを意識した健康管理がしやすくなりそうです。
Rei:そうなんです。もともと、Bodygramは数字だけの表示だったんですが、数字だけ見せられても、そこから何をどうしたらいいのかというのは、わからないですよね。なので、数字以外でボディデータを見えるようにする方法を考えていたんです。
ユーザーからも同じような要望があって、3Dアバターの研究開発を進めていくことになりました。ただ、とても苦労しまして……。
ーーというと?
Rei:特にこだわったのが、3Dアバターを、リアルに作るのか、それともアニメーションっぽく作るのかという部分です。個人情報やプライバシー面への配慮も必要なので、いろんな可能性を考えていったんです。エンジニアが作成したアバターを、社内チームが確認して、また作り直すという作業を、何度も繰り返し行いました。
ときには、すごく怖いアバターが生まれたり、リアルすぎて気持ち悪いアバターが生まれたりもしたんですよ(笑)。試行錯誤の結果、ようやく今のアバターに落ち着いたんです。
3Dアニメーションみたいな感じではなく、ゴッツゴツのガッチガチな描写でもなく、エンターテイメント性を持たせて、どこかしら憎めないかわいいやつみたいな感じを意識して。
SNSにアップロードされたユーザーの投稿を見ていると、3Dアバターに愛着を持ってくれているようで、開発に苦労した結果が出たのかなと感じています。
Bodygramを健康管理の“パートナー”として
ーー自分の体型を3Dアバターで可視化することが「怖い」と感じたり、「見たくない」と抵抗感を持ったりする人もいるかもしれませんが、その点についてはいかがでしょうか。
Rei:そうですね。ただ「見たくない」というよりも「自信がない」というのが多い気がしますね。
体重を測ったり、サイズを知ったりするのが怖くても、少しでも考えているということは、何かしらのアクションを起こしたいという気持ちはあるということだと思うんです。
なので、「今日はこれをちょっとだけ見てみよう」という気持ちで、少しずつ前に進みながら、自分自身を知ってもらえたら嬉しいですね。自分を知るということを一度経験すれば、自分についての情報の価値も感じられるようになると思います。
ーー3Dアバターと向き合うことで、自分を変えるきっかけになるんですね。自分の体型を可視化することで健康面だけではなく、心理面ではどのような効果が得られますか。
Rei:心理的なメリットはたくさんあると思いますが、やっぱり一番はモチベーションの維持につながるところですね。
「変わりたい」と思っていても、変化がわからないと、筋トレにしろ、ダイエットにしろ、継続する力が止まってしまいますよね。
毎日、自分の体をしっかり観察していないと、わずかな変化に気がつけないものです。本当は変化しているのに、それに気がつかず行動が止まってしまうのはもったいない……。
Bodygramの3Dアバターは、日を追うごとの体の変化がわかりやすいので、「これだけ変わったからもっと続けたい」「もっと健康維持をしていきたい」という気持ちにさせてくれます。
ーーBodygramを使うと、体の変化を成功体験として経験できるということですね!
Rei:そうですね。結果だけでなく、自分を改善していくプロセスをトラッキングできるのも、とっても楽しいですよ。実際に、私は毎日Bodygramを使ってワークアウトしているんですが、アバターの形がコロコロ変わるんですよね!
先日、ニューヨークに行ったとき、コロナの隔離が14日間あって。毎日ピザを食べたりビールを飲んだりしていたのですが、太っていく様子が3Dアバターでわかったんです(笑)。日本に帰ってきてからの14日間、今度は筋トレをして食生活を改善したら、3Dアバターもどんどん変化していくんですよ!
その変化がとてもわかりやすくて、トラッキングしやすいので、毎日測ることが楽しいですね。「今日はどんな感じで変化しているかな」というのが気になってしまうので(笑)。
自分をコントロールするモチベーションにしたり、現状を維持するために活用したり、いろんな使い方があると思いますけど、Bodygramとしては、自分の現状に気づいて、何かしら行動を促すきっかけになりたいと思っています。
ーーReiさんはBodygramを使っていて、どのように感じていますか。
Rei:私はもともとアスリートとして育ったので、エクササイズのやり方や重要性、その後の結果がどういうものかというのは知っているんです。ただ、何をすべきかを知っていても、それが結果に必ずしもつながるわけではないんですよね。
やっぱりその前に、「自分の体がどんな状態なのか」を知らないと、果たしてこのプログラムが自分に合っているのか、自分の今やっていることが体にとっていいのか、が判断できないと思います。
Bodygramを使い出してからは、体の状態や変化が見られるようになったので、今では私のパートナーだと認識しています。私の体の変化に対してサポートをしてくれますし、体の変化に対して責任を持つきっかけを作ってくれます。Bodygramによって、自分が望むライフスタイルを手に入れることができました。
なので、Bodygramを、「健康管理をサポートするシステム」というふうには言いたくないんですよね。ただのシステムやアプリと捉えず、「自分のそばで健康管理をサポートしてくれるパートナー」として認識してもらいたいです。
Bodygramが、みなさんのパートナーとして、なりたい姿や、送りたい生活、やりたいことの実現に貢献できたら嬉しいです。
- Original:https://techable.jp/archives/167092
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:amano
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