ロケット開発スタートアップから株式公開企業となったAstra Space(アストラ・スペース)は、米国時間11月19日の夜、同社初の軌道打ち上げに成功。11月22日朝に株式市場が開くと、株価が42%も急上昇した。しかし、本当の仕事が始まるのはこれからだ。商業運行の開始を目指す同社は、2022年の飛行試験に向けて新しい仕様のロケットを準備している。
アラスカ州コディアックのPacific Spaceport Complex(パシフィック・スペースポート・コンプレックス)から打ち上げられた「Rocket 3.3(ロケット3.3)」または「LV0007」ロケットは、米国宇宙軍の宇宙試験プログラムの一環であるペイロード輸送に成功した。これはAstraにとって、軌道に到達したごく少数の民間企業の仲間入りを果たす大きな躍進だ。
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「これは本当に難しく、1つ間違えるだけですべてが上手くいきません」と、Chris Kemp(クリス・ケンプ)CEOは、米国時間11月22日の会見で記者たちに語った。
Astraでは、機敏かつ反復的なアプローチでテストを行っており、打ち上げ用ロケット(シリアルナンバーによる命名規則がある)を迅速に製造し、比較的短期間で試験飛行を実施している。その結果、最近の「LV0006」の飛行試験では、エンジンの異常により高度約50kmに到達する前にロケットが横に流れてしまうなどの失敗も経験している。
「多くのことは、実際に飛行している状態でないとテストするのが非常に難しいのです」と、ケンプ氏は説明する。「この反復アプローチにより、私たちは記録的な速さで(軌道打ち上げを)達成できました。他の方法では、このスケジュールで達成できなかったと思います」。
今回の打ち上げに向けて、Astraではフライトシミュレーションからではなく、同社が打ち上げ施設を構えるアラスカ州コディアックの氷点下の自然環境から、多くの有益なデータを得たと、チーフエンジニアのBenjamin Lyon(ベンジャミン・ライオン)氏は語っている。
「このような氷点下の環境で運用したことは、今まで一度もありませんでした」と、ケンプ氏は付け加えた。
2人の幹部は、次のRocket 3.3である「LV0008」が打ち上げ可能な状態に近づいていることを認めたが、打ち上げを行う日時や場所などの詳細については、今後発表すると述べるに留まった。
しかし、LV0007の打ち上げが支障なく行われたため、今後の3.3バージョンの変更にはこれ以上あまり力を注がないだろうと、ケンプ氏は述べている。代わりに、Rocket 3.3で運べる50kgのペイロード容量よりも重いペイロードを搭載可能な新バージョン「Rocket 4.0」に集中するという。同社は2022年に、Rocket 4.0の試験飛行を開始する予定だ。
Astraが目指しているのは、この小型ロケットシステムを使って、ゆくゆくは毎日宇宙への打ち上げを行うことである。この目標が最終的に達成できるかどうかはまだわからないが、ケンプ氏によると打ち上げの需要は時が経つに連れて増す一方であるという。
「Astraが上場して以来、宇宙技術企業と呼ばれる会社が10社以上も上場しています」と、ケンプ氏は語る。「これによって各社は、宇宙船や衛星のさらなる開発や反復設計を行うためのリソースが得られます。ここ2、3年で見てきたように、需要は今後も増え続けることが予想されます。そこでAstraは間違いなく、正確なスケジュールで正確な軌道にペイロードを届けることができるようになる立場にあると思います」。
Orbit. Astra successfully completed its first commercial orbital launch for the @SpaceForceDoD late Friday night, November 19, 2021, PST: https://t.co/FakPzAvfxI #AdAstra pic.twitter.com/icWXvAKjAn
— Astra (@Astra) November 22, 2021
軌道到達。Astraは、太平洋標準時2021年11月19日(金)深夜、米国宇宙軍のための最初の商業軌道打ち上げを成功させました。
画像クレジット:John Kraus / Astra
[原文へ]
(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2021/11/25/2021-11-22-astra-moves-full-steam-ahead-after-successful-orbital-launch-looks-to-test-rocket-4-0-next-year/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Aria Alamalhodaei,Hirokazu Kusakabe
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