AWSは米国時間11月30日、年次カンファレンス「re:Invent」において、自動車業界向けの2つの新しいイニシアティブを発表した。1つは新製品の「AWS FleetWise」で、自動車メーカーが保有する車両フリートからセンサーやテレメトリデータを簡単に収集・取得できるようにする新サービスだ。もう1つは、AWS for IndustrialなどのAWSの他の業界向けソリューションと同様に、同社の様々な製品を1つの傘の下にまとめた、より広範で業界に特化した取り組みである「AWS Automotive」だ。
センサーデータを収集することは、自動車メーカーにとって必ずしも新しいことではない。しかし、FleetWiseは、自動車メーカーに多くの柔軟性を与えるエンドツーエンドのソリューションを提供することを約束する。企業によって、クラウドに転送するデータ量を減らすために、車上でデータをスマートにフィルタリングしたり、エンジン温度などの特定のセンサーからのデータだけを取り込んだり、あるいは、本当にすべてのデータを取得したいのかもしれない。どのようなデータが必要かは、各自動車メーカーの判断に委ねられる。
AWSのオートモーティブIoT部門のゼネラルマネージャーであるMike Tzamaloukas(マイク・ツァマロウカス)氏によると、どのようなデータを使用するにしても、FleetWiseを使い始めるためには、メーカーはまず、多くの自動車メーカーがすでに採用しているオープンソースのVehicle Signal Specification(VSS)を使用して、車両とそのセンサーを記述し、モデル化する必要があるという。
その後AWSは、FleetWiseと連携してデータを収集するためのソースコードを自動車メーカーに提供する。自動車メーカーの開発者は、このコードを必要に応じて変更し、車両ゲートウェイに組み込むことができる。また、メーカーのエンジニアは、実際の車両からデータを収集するためのデータ収集キャンペーンを開始することができる。
「データ収集キャンペーンの可能性は無限大です。当社は、データ収集キャンペーンを単なる時間ベース、イベントベースではなく、フリート全体でのインテリジェントなデータフィルタリングにするという点で、限界に挑戦しています」とツァマロウカス氏は説明している。「これにより、自動車メーカーに対して、あらゆる種類の車両から生成されるテラバイト級のデータを、より高いS/N比で取り込む能力を提供したいと考えています」。
ツァマロウカス氏は、FleetWiseが2022年に一般発売され、2024年頃にはFleetWiseを搭載した車が販売されるようになると予想している。これらのデータの多くは自動車メーカーのバックエンドに残るかもしれないが、その一部をドライバーにも提供できるようにし、より詳細な月次の車両ヘルスレポートの形で提供できるようになるかもしれないと、同氏は述べている。
AWS for Automotiveについては、同イニシアティブの責任者であるDean Phillips(ディーン・フィリップス)氏が、自動車業界向けにAWSの機能を明確にするための手段と考えていると話してくれた。「AWS for Automotiveには非常に期待しています。なぜならば、AWSが提供する様々なソリューションをお客様に明確に伝える助けになるからです」と彼は語った。これらのソリューションには、自動車メーカーが必要に応じて採用できる様々なソリューション領域が含まれており、最先端の自律型モビリティサービスから、製品エンジニアリングサポート、サプライチェーントラッキング、デジタルカスタマーエンゲージメントソリューションまで多岐にわたっている。
画像クレジット:TechCrunch
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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Aya Nakazato)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2021/12/02/2021-11-30-aws-launches-new-services-for-the-automotive-industry/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Frederic Lardinois,Aya Nakazato
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