アップル、プライバシー保護の懸念を受けて児童性的虐待コンテンツへの言及をひっそり取り止め

Apple(アップル)は、iOS 15とmacOS Montereyにその新しい技術が組み込まれることを発表してから数カ月後、ウェブサイトから児童性的虐待スキャン機能に関するすべての言及を静かに削除した。

8月にAppleは、CSAMとして知られる児童性的虐待コンテンツを同社が検出し、法執行機関に報告することを可能にする機能を導入すると発表した。当時Appleは、すでに違法となりうるコンテンツをチェックするための包括的なスキャンを提供しているクラウドプロバイダとは異なり、画像やデバイスを取得することなく、またその内容を知らなくてもユーザーのデバイス上のCSAMを特定できる技術なので、ユーザーのプライバシーを保護しながら違法画像を検出することができると主張していた。

関連記事
アップルがiCloud上の児童虐待画像を検出する新技術「NeuralHash」導入へ
また批判を浴びるアップルの児童虐待検出技術

これに対し、Appleは大きな反発を受けた。セキュリティの専門家やプライバシー擁護団体は、このシステムが政府のような高度なリソースを持つアクターによって悪用され、無実の被害者を巻き込んだり、システムを操作されたりする可能性があると懸念を表明した。また、児童の性的虐待の画像を特定するのに効果的でないと揶揄する人もいた。このため、数十の市民の自由団体がAppleに対してこの論争の的となっている機能を展開する計画を放棄するよう求めた。

恐怖を和らげるための広報活動を行ったにもかかわらず、Appleは譲歩し、CSAMスキャン機能の展開の延期を発表した。同社は「顧客、支援団体、研究者などからのフィードバックに基づいて、今後数カ月間、さらに時間をかけて意見を集約し、これらの極めて重要なチャイルドセーフティ機能をリリースする前に改善を行うことにしました」と述べた。

関連記事:アップルが次期iOS15での児童性的虐待コンテンツ検出技術導入を延期

現在、この機能は完全に廃止された可能性があるようだ。

MacRumoursは、AppleのチャイルドセーフティのウェブページからCSAMに関するすべての言及がひっそりと削除されていることに最初に気づいた。12月10日まで、このページにはCSAM検出の詳細な概要と、この物議を醸す機能が「iOS 15、iPadOS 15、watchOS 8、macOS Montereyのアップデートで2021年後半に登場」するとの約束が含まれていた。更新されたバージョンのページでは、CSAM検出に関するセクションが削除されただけでなく、この技術に関するすべての言及と、CSAMプロセスを説明し評価する文書へのリンクを提供するセクションが削られている。現在、Appleのチャイルドセーフティページには、今週初めにiOS 15でデビューしたメッセージのコミュニケーションセーフティへの言及とSiri、Spotlight、Safari検索への拡張ガイダンスのみが含まれている。

関連記事
アップル、iOS 15.2開発者ベータ第2弾で「メッセージ」アプリに子供向け新安全機能を搭載
アップルが次期iOS15での児童性的虐待コンテンツ検出技術導入を延期

Appleの広報担当者Shane Bauer(シェーン・バウアー)氏はTechCrunchに対し、9月に発表した同機能の遅延に関する声明について「何も変わっていない」と述べたが、CSAM機能への言及が削除された理由については言及しないとしている。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

原文へ

(文:Carly Page、翻訳:Yuta Kaminishi)


Amazonベストセラー

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA