プラモの達人も苦戦する!? 作りがいMAXな2021年発売の高難易度プラモ5選

【2021年人気アイテム総まとめ】

2021年を振り返ってみると、コロナ渦の影響もありホビー関連のイベントのほとんどが中止、あるいは延期となってしまいました。毎年5月に開催されている国内ホビーの一大イベント「静岡ホビーショー/静岡モデラーズ合同展示会」、10月の「全日本ホビーショー」は開催自粛。どちらもモデラーの交流の場でもあったことから、いちモデラーとしては寂しい1年でした。

しかし在宅勤務や外出の自粛などによるおうち時間の増加で、自宅で楽しめるホビー(プラモデル)が見直され、スケールモデルからキャラクターモデルまで幅広いジャンルで人気が再燃。「久しぶりにプラモデルを作ってみるか」といった“出戻りモデラー”が増えた1年でもあります。

ジャンルとしては、アニメ『ガールズ&パンツァー』によるAFV人気は相変わらずで、さらにアニメが起爆剤になって『スーパーカブ』のプラモデルなども人気を集めました。ただ、一部の人気アイテムで転売目的での買い占めがあり、品不足というネガティブな状態も続いています。

スケールモデル全体を見てみると、ミリタリーモデルは特定ジャンルがブームになるというより、AFV、飛行機モデル、艦船モデルとすべてのジャンルで、国内外ともに新製品は幅広く売れています。そんな中にあってF-4ファントムのニューキットラッシュは大いに話題を集めました。2022年もミリタリーモデルの人気は続きそうです。

またプラモデル製作に欠かせない塗料、ツールといったサポートアイテムも新製品が次々と発売され、ビギナーにもより広く間口が広くなっていると思います。

2022年もコロナ渦まだまだ予断は許さない状況ではあると思いますが、コロナ渦が落ち着くことで、ホビーショーをはじめ、展示会などホビー系のイベントも再開が予定されています。新たにプラモデルをはじめた人、出戻りでプラモデルを再開した人たちも、あらためてホビーもより深く楽しめるようになるでしょう。

では最後に2021年を振り返って、思わず「こりゃすごい」となった高難易度のキットを5つご紹介します。作りがいのあるキットを探している人は、ぜひチャレンジしてみてください。

 

1. 世界初の人工衛星はコレです

レッド・アイアン・モデルズ
「1/24 スプートニク1号」(ビーバーコーポレーション扱い:4070円)

「1957年にソ連が打ち上げた世界初の人工衛星のプラモデル(当然ながらロシアのメーカー)」ってのが、まずスゴいですよね。誰が買うんだろう(笑)。ペナペナのキャラメル箱に入ったプラパーツは展示スタンドを入れても24個しかないし、アンテナは真ちゅう線、アンテナ基部はエッチングパーツで再現されています。

実機が直径58センチのアルミの球体から4本のアンテナが生えているだけなのでキットがシンプルになるのは、まぁ致し方ないのだけれど、作るとなるとこれが難物。まずインスト(説明書)はロシア語なので読めない。ざらざらのナシ地仕様の本体は磨き上げて、特別な塗料でピカピカの鏡面仕様にしなくちゃいけません。アンテナ洋白線という銀色の金属に置き換えないとダメだし、取り付け角度とかがまるでわからない。カタチにするのも一苦労です。でも出来上がるとかわいいので許します。

>> レッド・アイアン・モデルズ「1/24 スプートニク1号」(ビーバーコーポレーション)

 

2. スリムは正義!たとえ難易度高くとも!

スペシャルホビー
「1/32 ウェストランド ホワールウィンドF Mk.1」(バウマン扱い:1万2760円)

ホワールウィンドはイギリス空軍最初の双発単座戦闘機です。双発機ながら小型で胴体も細身にまとめられ、ラジエーターを機外に突出させていないスリムなシルエットが実にカッコ良いので、お気に入りの戦闘機です。まぁ性能的にはいろいろ問題アリで112機しか作られなかった機体でしたが、今年1/32で初のキット化は嬉しいかぎり。しかし難易度が高いスペシャルホビー製なのでパーツの勘合ピンがない、あちこち段差や隙間ができるなどで、修正に何かと手間がかかります。でもやっぱりホワールウィンドはカッコいいですよ!

>> バウマン

 

3. 製作の手間は3倍!

ICM
「1/48 DB-26B/C w/Q-2ドローン」(ハセガワ扱い:1万4850円)

第二次大戦中に使われたA-26インベーダー攻撃機をベースに、Q-2AとBQM-34Aファイアビードローンを搭載した機体です。ちなみにこのドローンは標的機として運用されていた無人機です。銀色のDB-26に主翼下に吊されたオレンジのドローンが実に模型映えするのですが、単体のキットとして同社から発売されていたドローンをDB-26に組み合わせたものなんですね。ICM社のキットはディテールも良く完成度は高いのですが、分割が細かいというか必要以上にバラバラなので製作が大変。まして2機のドローンも作らなくてはいけないので手間も3倍です。

>> ICM「1/48 DB-26B/C w/Q-2ドローン」(ハセガワ)

 

4. シュナイダーレースは男のロマン

AMP
「1/72 ピアッジョ・ペグナPc.7」(ビーバーコーポレーション扱い:4510円)

ナニコレ?的なキットですが、1929年のシュナイダー・トロフィー・レースへの参加をめざして試作された水上機です。分かりやすく言えば『○の豚』の世界。もちろんこちらは実在した機体ですけどね。水上機の悩みでもある空気抵抗を無くすために、フロートではなく離水時は水中翼を使いスクリューで加速、離水後は700Km/hの飛行速度を目指すという画期的な構想の機体でしたが、いろいろトラブルがあって一度も飛んでいません(笑)。でもロマンがあってよろしいです。

1/72スケールで全長は約10センチと小さいキットですが、エンジンも再現されています。座席が入らないとか、エンジンの取り付け位置がおかしいとか、水中翼の取り付け角度が分からないとか、主翼と尾翼がイモ付けだとか、まぁいろいろ大変なキットでして、製作途中で放り出してすでに半年近く放置プレイ状態です(泣)。

>> AMP「1/72 ピアッジョ・ペグナPc.7」(ビーバーコーポレーション)

 

5. 実はヘリが好き。

モノクローム
「1/48 海上自衛隊 MH-53E シードラゴン」(プラッツ扱い:税込み価格5060円)

ヘリのプラモは作るのが大変なんですよ…、と言ってしまうと身も蓋もないのですが…。シードラゴンは海上自衛隊で1981年から部隊配備されていた大型の掃海ヘリです。2017年に全機退役しましたが今でも人気が高い機体になります。最新のキットだけあってパーツの精度やディテールも文句ありません。しかしながらヘリのプラモは製作がなかなかに大変なのです。強いて言えば、ミリタリーモデルだけどカーモデル的な要素(マスキングやキャノピー等のクリアパーツへの塗料ミストの付着)、さらにはローターのたわみ再現等もあって製作には気を使います。でも完成するとカッコ良いのです。

>> プラッツ

 

>> 【特集】2021年人気アイテム総まとめ

<文/長谷川迷人 写真協力/モデルアート

長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTubeでは「プラモ作りは見てナンボです!「@Modelart_MOVIE」も配信中。

 

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