スマホ料金見直しの際に知っておきたい新サービスの最新状況と選び方

スマートフォンの通信料金見直しは、固定費の削減として効果が高い一方で、実際の見直し作業は手間がかかるため、おざなりにしてしまいがち。しかし、2021年には、大手キャリアのオンライン専用通信プランなども登場し、キャリアメールの持ち運びもできるようになるなど、より柔軟な選択ができるような環境が整いました。今年こそ重い腰を上げ、改めて通信費の見直しをするには良いタイミングでしょう。

そこで、NTTドコモ、au、ソフトバンクの、メインブランドから非メインブランドへの乗り換えを中心に最新事情について整理してみました。見直しの際に、ぜひ参考にしてみてください。

 

■「サブブランド」「オンライン専用プラン」「格安SIM」の違い

まず、前提情報を整理しておきましょう(ご存じの方は、読み飛ばしてください)。

スマートフォンの通信プランは、企業によってさまざまな名称で呼ばれますが、これは運営会社がどういう立場で、どういうブランド展開で提供しているのか、という違いで変わってきます。

通信会社において一番力を持っている存在が、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクのように、スマートフォン等で使うための通信回線設備を自社で保持している企業です。彼らは、MNOと呼ばれます。事業者としてインフラを保つための社会的な責任も伴い、料金が比較的高くなる反面、通信品質の高さには定評があります。

MNOは複数のブランドで通信サービスを展開しています。主力のブランドで展開されているのが、ご存じ「NTTドコモ」「au」「ソフトバンク」です。

また、KDDIとソフトバンクでは、より安価な通信プランを提供するブランドとして、それぞれ「UQ mobile」「Y! mobile」を展開しています。こうしたサービスは、MNOが展開する“サブブランド”として分類されます。

そして、MNO3社からは、安価なオンライン専用プラン・ブランドも提供されています。具体的には、NTTドコモが「ahamo(アハモ)」、KDDIが「povo(ポヴォ)」、ソフトバンクが「LINEMO(ラインモ)」というプラン・ブランドを展開中。これらのプランは、原則的にオンライン経由でのみ契約でき、最低限のサポート体制しか備えないことで、安価な料金を実現してます。

一方、自社で大規模な通信回線設備を持たず、MNO(NTTドコモ、au、ソフトバンク)の提供する通信回線の一部を借りてサービスを展開している事業者も存在します。彼らはMVNO(エムブイエヌオー)と呼ばれ、提供する通信プランはよく「格安SIM」と表現されます。例えば、IIJmioやmineo、BIGLOBEモバイル、OCN モバイル ONEなどがこれに相当します。

ただし「格安SIM」は、定義が曖昧な言葉です。記事によっては、キャリアのサブブランドやオンライン専用プランを含めて格安SIMと表現されていることもあるので、注意しましょう。

もうひとつ、トレンドとして覚えておきたいのが、ドコモショップで展開されている「エコノミーMVNO」というサービスです。これは要するに、ドコモショップで一部のMVNOが展開する格安SIMサービスを契約できるというもの。契約できる場所はMNOのショップですが、通信サービスの分類としては格安SIMであると認識しておきましょう。

本稿では以下、MNOが展開するサブブランドとオンライン専用プランについての情報を紹介していきます。

▲本記事で紹介するのは、ここの部分です

 

■サブブランドとオンライン専用プランの料金について

まずは、各サービスの主要な通信プランについて、月額料金をチェックしていきましょう。今回は今後普及が加速すると思われる5G対応プランを基準にしていきます。なお、ここではキャンペーンや割引などは適用しない基本的な金額について比較しています。

▲表中の金額は、povo(povo2.0)を除き月額料金を意味しています

UQ mobileで提供される「くりこしプラン +5G」では、月3GBの通信量を使えるプランが月額1628円(税込、以下同)、月15GBが2728円、月25GBが3828円です。なお、15GB以上のプランでは規定の通信量を超過しても、最大1Mbpsで通信できます。

Y!mobileが提供する「シンプルS/M/L」プランでは、月3GBが月額1980円、月15GBが2980円、月25GBが3780円です。なお、15GB以上のプランでは規定の通信量を超過しても、最大1Mbpsで通信できます。

ahamoでは、月20GBが2970円という選択肢が1つあるのみ。料金体系がシンプルなことも魅力です。

一方、povoで提供している「povo2.0」プランは変則的。基本料金は0円で、通信量を「トッピング」という形で必要量追加して利用します。ただし、0円で運用できるわkではなく、180日間有料トッピングを利用しなければ利用停止・契約解除になってしまうという点には注意が必要です。

LINEMOでは、月3GBが使える「ミニプラン」が990円、月20GBが使える「スマホプラン」が2728円です。後者はデータ量超過後も1Mbpsでの通信が可能です。

 

■キャリアメールの持ち運びもできるように

これまでNTTドコモ、au、ソフトバンクの3社からの転出に関しては、キャリアメールが使えなくなることを危惧する声がありました。サブブランドやオンライン専用プランに移行する場合も、キャリアメールが使えなくなる点に注意が必要だったのです。こうしたメールアドレスはさまざまなWebサービス等のアカウントで使われることもありますので、うっかりメールアドレスが使えなくなると、連絡手段以上に困るかもしれません。

しかし、21年12月には、3社ともにキャリアメールを持ち運びできるサービスを提供開始。月額料金はかかるものの、転出またはプラン変更に伴うアカウント整理のための猶予は確保できるようになっています。

NTTドコモは「ドコモメール持ち運び」(月額330円)、KDDIは「auメール持ち運び」(月額330円)、ソフトバンクは「メールアドレス持ち運び」(年額3300円 ※22年夏以降には月額330円の選択肢も用意する予定)を提供中。

ただし、一部の例外的なケースを除き、一度メールアドレスを持ち出してから、MNOのメインブランド戻ってくるような場合、同じメールアドレスを継続して使えないという落とし穴もあります。また、クレジットカード等の支払い情報更新などをうっかり忘れたりして、持ち運びサービスの利用継続が絶たれると、メールアドレスは使えなくなり、復元できなくなるともされています。これらの点はあらかじめ理解しておく必要があるでしょう。

 

■サブブランドやオンライン通信プランでできないこと

キャリアメールの持ち運びが部分的に可能になった一方で、特にオンライン専用プランでは、いまだに非対応のサービスがあることも知っておきましょう。特に重要なのは、留守番電話サービスの有無と、海外で使えるかどうかです。対応状況は以下の通り。

例えば、留守番電話サービスを無料で使えるのはY!mobileのみ。さらに、オンライン専用プランでは留守番電話サービスは利用できません。普段から仕事で電話を頻繁に使う方は気をつける必要があるでしょう。

また、海外でのデータ通信利用に関しては、UQ mobileの「海外データ定額」と、ahamoの「海外データ通信」が現実的な選択肢ですが、ほかはコスト面から見ても実質的にはほぼ利用しづらい内容になっています。povoは将来的に導入予定ですが、現時点では利用できません。ここ1〜2年は海外渡航が難しい状況が続きましたが、将来的に旅行や出張などの機会が想定される場合には、重要なチェック項目となるでしょう。

*  *  *

料金見直しの際には、現状契約しているプランと、今回紹介したような各サービスの基本情報を照らし合わせて、MNP先として適しているものがあるかどうかを絞ってみてください。本稿で紹介したこと以外にも、家族割引や固定回線等のセット割引などが使えるかどうか、という点にもサービスごとに違いがあります。こうしたポイントを踏まえながら、詳細を各サービスのWebページで調べていくことをおすすめします。

※本稿で紹介した内容は、2021年12月末時点でのものです。各サービスの提供プランの詳細は、日時経過に伴って更新されていく可能性が高いものですので、契約変更前には必ずご自身でサービスごとのWebサイトに記載された情報をご確認ください。

 

<文/井上 晃

井上 晃|スマートフォンやタブレットを軸に、最新ガジェットやITサービスについて取材。Webメディアや雑誌に、速報、レビュー、コラムなどを寄稿する。Twitter

 

 

 

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