超寒がりの初心者キャンパーが初のダウンシュラフに感動!ナンガとモンベルを試してみた

化繊のシュラフしか持っていない超寒がりなんですが冬キャンプに行くことに。

行った場所は12月の茨城県。最低気温は一桁台。

一般の人より体感温度は−5°くらいの身としては、手持ちの化繊シュラフでは、そこそこのスペックとはいえちょっと不安。

そこで、編集部にオススメを聞いてみると、ダウンシュラフ界では「モンベル」「ナンガ」がツートップとして君臨しているらしく、編集部にもそれぞれのダウンシュラフ使いがいるとか。

うーん、悩ましい…。

そこで、それぞれのダウンシュラフを試させてもらおうということに。

条件として“快適温度と使用温度”を揃えて、モンベル「シームレス ダウンハガー800 #0」(5万5000円)、ナンガ「オーロラ750」(4万4000円)を選ばせていただきました。

 

■“快適温度と使用温度”ってなに?

快適温度(Comfort)とは、一般的な成人女性が寒さを感じることなく寝られる温度域とされています。そして使用温度(Limit)は、一般的な成人男性が寝袋の中で丸くなり、8時間寝られる温度域である下限気温になります。これよりも低い気温は、リスクのある温度域。ちなみにExtreme(エクストリーム)は危険な温度域なので、この気温での使用は控えた方がいいとのこと。

このように、シュラフにはそれぞれ得意な温度領域があります。

今回はその適正温度がほぼ同じスペックのもので比較。幸いなことに予報では2日とも天気や気温など条件は変わらないため、体験する状況としてはバッチリ。

1泊目にモンベルを試してみることに。

 

■快適に寝られるストレッチ性と高いフィット感のモンベル

▲これは撮影のためで、就寝はテントで。下にサーマレスト「Zライトソル」を敷きました

そそくさと潜り込むと、一瞬ひんやりとするも、ものの1分もしないうちに暖かい! ダウンは化繊に比べて暖まるのが早いんですね。

フィット感が高く、頭から爪先まで包み込まれるように全体が暖かいことも驚きでした。今まで使っていた化繊シュラフが封筒型だったこともあり、マミー型の頭まで暖かいこともイイ!

ネットであらかじめいろいろ調べてはいたのですが、実際に体験してみてこれだけ違うとちょっと感動ものです。

そして、一晩寝てみてこのシュラフの人気の理由がわかりました。それは伸縮性です。

▲高いフィット感は、冷気の侵入を防いでくれるメリットも

実を言うと、眠りに着くまでは、フィット感の高さゆえに窮屈で起きたりしないかと心配でした。キャンプは下が硬かったりして普段よりも寝返りを多く打つからです。次の日も撮影があるし、撮影にはできるだけ万全で望みたい。やっぱやめとこうかなという思いを振り払って、いざ睡眠。

結果、そんな心配の必要はまったくなく、適度なストレッチのおかげで朝まで快適に眠れました。

シュラフに入ったままあぐらもかけるほどのストレッチ性こそが、モンベルのダウンシュラフが人気の理由のようです。

翌朝、ストレッチの理由を確かめるために裏返してみると見ての通りです! バイアス(斜め)にラインが走っています。生地の繊維をバイアスで取り、さらにステッチ部分には糸ゴムを使用することで、抜群のストレッチ性を実現しているんですね。

▲足元のダウンの嵩(かさ)をキープしやすい立体的な構造

化繊シュラフの場合、寒さで膝を抱えるようにして暖まることがあるのですが、再度、足を伸ばした時に足元がすごく寒いんですよね。あの時の絶望感たるや…。

でもこの「シームレス ダウンハガー800 #0」は足元がずっと暖かい。もちろんダウンシュラフの保温力の高さもありますが、暖かさを保つための工夫が施されているからなんですね。

▲保護用の布“ドラフトチューブ/中わた入りフラップ”により冷気の侵入とファスナーの噛みを防止

それと、シュラフを使用する際に地味にストレスとなる「ファスナーが生地を噛んでしまう問題」も、これだけ柔らかい生地なのに思ったよりも噛まなかったのが意外でした。それでも何度かはあったので、丁寧に開閉したほうがいいですね。

そして使用前は、ボックス状にダウンを封入するタイプではないからダウンが偏ってしまうのでは、と思っていましたが、ダウンはしっかり均一に保たれていました。

▲隔壁がなくてもダウンを均一に保つ“スパイダーシステム”

スタッフバッグから出した直後は多少の癖がついて偏りもあるのですが、しばらく放って置いたり、揉んだりするだけですぐに均一に! なので「地面側のダウンが少なくて腰だけ冷える」なんてことは全く感じません。

初日はフィット感とストレッチ性の高さに大満足。

2泊目はナンガのダウンシュラフです。

 

■足元まで本当にあったかいナンガのオーロラダウン

2日目は予報通り初日と変わらない状況で、最低気温は一桁台。

正直なところ、ダウンシュラフにそんな違いがあるのかなと思いながらナンガ「オーロラ750」(4万4000円)に入ってみたのですが、これがびっくり。かなり違うんです。

正直なことを言うと、ナンガの方が暖かく感じました。フィット感はモンベルと比べて低いのですが、寝袋内にゆとりのあるイメージ。ただし、生地はハリがあるためちょっと動きづらさはあります。

ナンガの場合は“オーロラテックス”という透湿防水素材を使用しているので、機密性が高く、寝袋内の空気の層も保温効果をもたらしてくれている気がします。入って少ししたら寝袋内がポカポカしてくるのを実感。「これが噂のナンガかぁ〜」と感動の暖かさでした。

そして、編集からおすすめされていたのが、ナンガのファスナーは全くと言っていいほど生地を噛まないということ。

半信半疑で開閉をしてみると、確かに生地を噛まない。

内側からファスナーを閉めるとき、モンベルのシュラフもさすがに何回か噛んでいましたが、ナンガは全然噛まずに開け閉めできるんです

▲ファスナーにはYKK×ナンガの噛み込み軽減特殊パーツを使用。蓄光機能も備えているため夜間でもファスナーを見つけやすくなっている

寝るときは薄着になるので早く閉めたいんですが、そこで生地を噛むと最悪です。寒さに晒されながらファスナーを動かして噛んだ生地を外ずことになるわけですが、そんなストレスがナンガには一切ありませんでした。

ファスナーのパーツだけでなく、生地のファスナー側にステッチを設けて膨らみを抑え噛みにくくするなど、さまざまな工夫が。また、オーロラテックスのように比較的ハリのある生地を使っているのも噛みにくい要因だと思います。

それと、個人的にいいなと思ったのが足元の暖かさです。足元にもしっかりとダウンが確保されているため、末端冷え性の人にはぴったり。足先が寒くて夜中に起きてしまうというのはキャンプではあるあるでしたが、「オーロラ750」で寝た夜は目が覚めることなく快適に眠れました。

▲“スパニッシュダックダウン80-20%(650FP)”を均等に保つ“ボックスキルト構造”

またモンベルと同様に全体的に均一に暖かいのも特徴です。ただし、その構造は対照的。区切りをつけたボックス状の区画にダウンを封入し、ダウンが偏ることなく全体に均等にダウン量を保ちます。気密性の高いオーロラテックスを使用することでボックスが膨らんでいる状態をキープするため、寝袋全体が暖かくなっているんですね。

内側を見るとボックスキルトがわかりやすいですね。均等に保たれたダウンは、羽毛マットの上に寝ているようなフカフカな寝心地です。

▲内側の生地は耐久性と引っ掛かりにくい“ナイロンタフタ”

従来のダウンシュラフは水気からダウンを守るためにシュラフカバーが必要なんですが、「オーロラ750」は防水透湿生地を使っているのでカバーいらず。なのにこの価格という点も魅力です。一見高そうに見えますが、そういう意味ではコスパの良いアイテムなのかも。

寝心地がわかったところで、次は収納状態も確認してみます。

 

■畳まないから簡単。ダウンシュラフの収納方法

畳んで収納しなければいけない化繊シュラフに比べて、ダウンシュラフはランダムに押し込むだけ。一見だらしなく感じますが、いつも同じ場所で畳むと中のダウンが切れてしまいます。なのでこのように毎回ランダムに押し込む必要があるとのこと。両方試してみたんですが、足側から突っ込んでいったほうが空気が抜けやすく簡単に収納できました。

▲収納サイズはナンガ(左)が直径22×32cm、モンベル(右)が直径18×36cm

収納時のサイズはほぼ同じです。モンベルの方が柔らかい素材を使っている分だけ詰めやすく、ナンガは機密性が高い分だけ空気が抜けにくく、スタッフバッグに詰めるという点においてはモンベルのほうがラクでした。ちなみに同レベルの化繊シュラフより確実に小さくなります。

▲左は2段階目で絞った状態。右は1段階目で絞った状態

ちなみにモンベルのスタッフバッグには閉める位置がふたつあり、ギュッと絞ればさらに小さく収納できます。

ただし、ダウンシュラフはこのようなぺったんこの状態での保管はNGとのこと。自宅では、付属の大きなメッシュバッグにふわっとした状態で入れておく必要があるそうです。持ち主に聞くと、結構場所を取るらしいので、その点は注意ですね。

*  *  *

モンベルの「シームレス ダウンハガー800 #0」は、高めのフィット感で外気が入りにくく、何よりもストレッチが効いて寝ている時のストレスがないのが印象的でした。また、スタッフバッグに収納しやすかったり持ち運びがラクだったりと、細かい部分の利便性が優秀です。ただし、シームレスとはいえ防水生地ではないため、水濡れが気になる場面では、シュラフカバーの使用や、防水透湿性のある生地を採用した「ドライ シームレス ダウンハガー900 #1」(6万8200円)がいいかもしれません。

一方、ナンガの「オーロラ750」は寝袋内の保温効果が抜群で、暖かさを実感しやすいシュラフでした。特に足元の暖かさには驚きです。また、シュラフカバーを必要としないので、悪天候でも使いやすく、ファスナーが生地を噛まずにスムーズな開閉ができるのもポイントです。ストレスなく暖かく眠れました。

それぞれ個性が異なるため、好みによるとは思いますが、包まれるのが苦手でちょっとでも動きやすさがほしいならモンベル、足元の暖かさとストレスのないファスナーがいい人はナンガといったところでしょうか。ただ、どちらを選んでも冬キャンプが快適になること間違いなしというのが、化繊シュラフユーザーの本音です(笑)。価格はかわいくないですが…。

>> モンベル

>> ナンガ

 

<取材・文/宇田川雄一 写真/田口陽介、宇田川雄一>

宇田川雄一|スタイリスト。大学卒業後、アシスタントを経て2008年フリーに。モノ誌やWeb媒体を中心に、広告、PVなど幅広く活動。メンズのビジネススタイルを得意とし、雑貨、インテリアなどライフスタイル全般にわたってスタイリングしてきた経験を生かし、執筆も行っている。

 

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