「何に使うか?」で考える最新iPadシリーズ5モデルの選び方

2022年1月現在、Apple製のタブレット端末「iPad」シリーズは、サイズと機能の異なる5種類のラインナップが展開されています。ではiPadが欲しくなった場合、どういった基準で選ぶのがよいのか。具体的な用途ごとに整理してみました。

 

■iPadの現行モデルは5つ

2022年1月におけるiPadの現行モデルは、5種類があります。ディスプレイの大きさを意味するインチ数の順に並べると、以下の通り。仕様・性能についても、大小様々な違いがあります。なお、以下の価格は、Wi-Fiモデルにおける最小構成での税込価格です。ペンやキーボードは別売なので、揃える場合には、数万円上乗せになります。モバイル通信ができるモデルを選ぶ場合や、ストレージが多いモデルを選択する場合も同様です。

▼ディスプレイサイズが大きい順

1)12.9インチ iPad Pro(第5世代)
  =12万9800円〜
2)11インチ iPad Pro(第3世代)
=9万4800円〜

3)10.9インチ iPad Air(第4世代)
=6万9080円〜

4)10.2インチ iPad(第9世代)
=3万9800円〜

5)7.9インチ iPad mini(第6世代)
=5万9800円〜

▲価格面だけでいえばiPad(第9世代)はやはり魅力的

これらの5モデルについて、(1)クリエイティブ、(2)ビジネス&文教、(3)エンターテインメントーーの3シーンにおける運用方法との相性を考えてみましょう。

 

■「クリエイティブ」な用途で使うならiPad Proシリーズがベスト

クリエイティブツールの運用を想定する場合、特に注目しておきたい仕様は3つーー「ディスプレイ」「ストレージ」「USBポート」です。

▲仕事・趣味を問わず、クリエイティブツールの運用なら「iPad Pro」シリーズがおすすめ

クリエイティブツールを扱う場合、UIの表示領域を考慮すると、ディスプレイは基本的に大きい方が作業しやすくなります。CADなどの一部アプリについては、miniがデータの編集に向かない場合もあります。

iPad Proシリーズについては、リフレッシュレートが120Hzに対応しているので、Apple Pencilのペン先を素早く走らせたときに、描画される線がぴったりとペン先についてくることもポイントです。特に、12.9インチのiPad Proに関しては、エリアごとにミニLEDを制御するLiquid Retina XDRディスプレイを採用しているため、高い輝度とコントラスト比を実現しています。そのため、HDRコンテンツの編集作業や確認用のモニターとして使うのに適します。

一方、10.2型のノーマルなiPadに関しては、視差を少なくする「フルラミネーションディスプレイ」が非対応だったり、色域がP3ではなくsRGBだったりするので、描画や色味確認の使い勝手でほかに劣る部分があります。こういった差異があることは、購入前に知っておきましょう。

▲筆者による用途ごとの評価(その1)

ストレージについては、クリエイティブツールを本格的に使う場合、なるべく大きい方が良いです。アプリそのものの容量が大きいことに加え、使用する素材などをiPadの内部に保存する必要が出てくる場合も多くあるからです。iPad Proでは512GB/1TB/2TBを選択できるようになっています。

一方、最小構成のiPad Airや、iPad、iPad miniでは64GBしかありません。動画編集に使おうと思って購入する場合は、最低でも256GBモデルを選んだ方が良いです。それでも用途によってはギリギリの運用になるはずです。

コネクタの種類も、大容量のデータを扱う場合には重要です。外部ストレージやカメラと有線接続を行いデータ連携する場面では、USB Type-Cポートでのデータ転送ができると重宝します。iPad Proシリーズの場合には、Thunderbolt/USB 4対応なので、さらに高速な転送が可能になります。

■ビジネス&文教シーン

ノートPCの代わりとして、あるいは手書きのノートとしての運用を考える場合も、基本的にはクリエイティブツールを使うのと同様の仕様——ディスプレイサイズ、ポートなどは重要です。それに加えて、充電なしで使える純正キーボードに対応するかどうか、携行性に優れるかどうか、AR機能の精度はどうか、といった部分も関連してきます。

▲書類作成や講義・セミナー等のノート取りに使うならiPad Airが良いバランス

例えば、SmartConnectorに対応する純正キーボードが使えるのは、iPad mini以外のモデルです。そのため、Bluetoothキーボードの充電が億劫という場合には、iPadよりも大きい機種を選び、セットで純正キーボードをゲットするのがおすすめ。iPad ProとAirに関しては、MagicKeyboardのようなトラックパッド付きのキーボードアクセサリが純正で展開されています。また、iPadについても、サードパーティ製品ならば、トラックパッド付きのキーボードが選べます。

▲筆者による用途ごとの評価(その2)

また、携行性については、小さいほど高くなります。物理キーボードよりも手書き入力やソフトウェアキーボードを重視するならばiPad miniは重要な選択肢です。一方、12.9インチのiPad Proにキーボードを装着すると、そこらへんのノートPCより重くなるので、覚悟が必要になります。

そして、業務内容や学習系のアプリでARを使いたいという場合には、機能と重量のバランスを考えるのが難しいところ。LiDARスキャナを搭載するProシリーズでは、ARの表示精度が高くなります。ただし、12.9インチのiPad Proでは両手でデバイスをホールドするのが負担になります。一方、iPad miniについては、LiDARスキャナこそないものの、ARを表示するには小回りが効いて良いサイズ感です。

■エンターテインメント

日常におけるエンタメ用途で運用する場合に重要になってくるのは、ディスプレイの大きさ、サウンドの質、iPadの軽さといった項目です。これらは用途ごとに変わってくるので、大きければ良い、軽ければ良い、と安易に断言しづらい部分があります。

▲エンタメ用途に関しては、iPad miniの方が小回りが利くのでなにかと良い

例えば。ダイニングテーブルなどで腰を据えて電子雑誌や電子版新聞を読む場合には、12.9インチのiPad Proが最適です。しかし、それがリビングのソファで読むための電子版漫画や漫画アプリになるならば、長時間手に持っていやすいiPad miniの方が適しています。

また、映画を視聴する場合にも、テーブルの上に設置して内蔵スピーカーで楽しむならば、ディスプレイが綺麗で、さらにクアッドスピーカーを搭載する12.9インチのiPad Proが最も適していると言えます。一方、寝室で横になりながらAirPodsを使って楽しむならば、iPad miniの方が良いでしょう。

▲筆者による用途ごとの評価(その3)

*  *  *

なお、iPad mini(第6世代)や、iPad(第8世代)が出る前の比較ではありますが、基本的な仕様・特徴に焦点を合わせた選び方は、こちらの記事でも紹介しています。本稿とは異なる視点でiPad選びについて解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください。

 

<文/井上 晃

井上 晃|スマートフォンやタブレットを軸に、最新ガジェットやITサービスについて取材。Webメディアや雑誌に、速報、レビュー、コラムなどを寄稿する。Twitter

 

 

 

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