寒風吹きすさぶ真冬は、オートバイ乗りにとって厳しい季節。積雪することもあるこの時期、地域によってはオートバイを冬眠させるライダーも少なくないはず。
ですが関東平野の隅っこで暮らす自分にとって、愛車のスーパーカブはツーリングから近所への買い物まで、年中無休で活躍してくれる頼れる相棒なのです。
とはいえ冬場にバイクに乗ると、手足がブルブル! そこで今回は、寒さが増す厳冬期を乗り切るため、愛車に2つの防寒対策をすることにしました。
■クロスカブの標準外装はこんなにスレンダー
苦楽を共にする相棒は、「クロスカブ110」(JA45型)。
ホンダが誇るスーパーカブ・シリーズの中でも、同社が世界に先駆けて提唱した“トレッキングバイク”の名車「CTシリーズ」の思想を受け継ぐバイクです。
▲正面から見ると、スレンダーさが際立ちます。極寒の風が容赦なくライダーに向かって来るのがおわかりいただけると思います
スーパーカブの代名詞ともいえる白い脚カバー「レッグシールド」を廃したシンプルなスタイリングがグッときますが、風が直撃する冬は寒くてかないません。
■防寒が手薄な手脚を暖めたい
上半身は着込むことで比較的防寒対策をしやすいのですが、手薄になりがちな手元と脚元をケアするため、グリップヒーターとレッグシールドを取り付けることにしました。
■後付けグリップヒーターで手元ぬくぬく!
▲OPMID(オプミッド)の「クリップグリップヒーター」は、写真のUSB給電タイプのほか、DC12V電源に接続するタイプから選択可能(各8228円)
まずは、寒さでかじかむとハンドルやスイッチなど、操作に支障がでる恐れのある手元のカスタムから始めます。
グリップヒーターは大きく分けて、グリップを丸ごと交換するタイプと、既存のグリップに熱源を追加するタイプの2種類があります。今回選んだオプミッド社の「クリップグリップヒーター」は、後者の後付けタイプです。
▲グリップ(外径30~34mmに対応)にカパッとかぶせ、配線の余裕を確認後、USB電源ポートに接続すれば装着完了。(アメリカン等の太めのグリップには非対応)
「クリップグリップヒーター」は、「春から秋まではお気に入りのグリップで走りたい」と考える、オプミッド代表の須藤正也さんがデザイン・設計したもの。
オートバイ用品メーカーで製品企画や開発に携わった経験を持つ須藤さんは、交換型グリップヒーターの短所である取り付けの煩雑さに注目し、特許を取得したC型クリップにたどり着いたのだそうです。
その結果、本体をグリップにはめ込みプラグをUSB電源につなぐだけで使用可能という、楽々オペレーションを実現しました。
▲コントローラーのボタンで発熱量の「強」「中」「弱」を設定可能。消費電力が極めて少ないので、バッテリーへの負担も最小限で済みます
取り付けこそ単純ですが、熱変換効率の高いヒーター素材を採用し、加熱面を集中させることで、消費電力を最大で10Wに抑えています。一般的なグリップヒーターの消費電力が30~40Wですから、その有能っぷりがわかります。
グリップ交換式に比べると発熱面積がやや狭く感じられますが、ヒーターが必要でない季節には外して温存し、ハイシーズンはお気に入りのグリップでライドを満喫できるメリットは大! そこをどう評価するかが、グリップヒーター選びで重要なのかもしれません。
▲ヒーター本体の幅は約93mm。かなり手の大きな自分でも狭さは感じず、硬さとグリップ感に優れた表面テクスチャのおかげで、むしろ握り心地が良くなったほど
エンジンに火を入れてしばらくすると、グリップがほんのり暖まり始め、暖気が終わる前には使用温度に達する印象です。グローブはスリーシーズン用のメカニクスウエア「M-PACT」を愛用していますが、12月下旬でも十分な暖かさを感じます。
▲指先を暖めたい時は、このあたりの位置に装着します
取り付ける角度を変えれば、手のひらか指先か、主に暖めたい場所を選ぶことができます。ただ、指先重視だとレバー操作時に指先がヒーターから離れた際に熱が逃げてしまいます。個人的には手の平全体が密着するように、ヒーター全体をカバーできる位置がベターだと思います。
こんなに簡単で快適ならば、配線がスッキリ収まり、USB電源を温存できるDC12V電源接続タイプにすべきだったかも…。
■風対策にレッグシールドをポン付け
▲取り付けにはシールドのほか、カバーやボルトなどの小物が必要。東京・足立の「ホンダウイング横山輪業」ではパーツセット(1万6500円※送料別)の通販も行っています
脚元への風雨を防いでくれるレッグシールドは、スーパーカブのアイコンとも言えるパーツです。クロスカブ(JA45型)は町中から不整地へのクロスオーバー性能を追求したためかレッグシールドを持ちません。
ところが、兄弟モデルのスーパーカブ110(JA44型)の純正部品のレッグシールドが無加工でポン付け可能とあって、真冬に活用しない手はありません。
▲「郵便屋さん仕様?」と自分でも間違えそうになるほどの違和感のなさ
マフラーをアップタイプに交換しているため、レッグシールドに干渉する部分を少々削る必要がありましたが、すんなり取り付けできました。兄弟モデルの純正部品だけあって、スーパーカブらしさに破綻がないのも嬉しいポイントです。
▲よくぞポン付けできるよう設計してくれたな……としみじみ感じさせるフロントビュー。ホンダのデザイナーへ惜しみないリスペクトを贈りたくなります
正面から見ると、つま先から膝、腿にかけてのエリアがカバーされていることがわかります。「もう少し大きくてもいいかな」と思わないでもありませんが、これが考え抜かれた最適解なのでしょう。カブのスタイルとして長年愛されるには理由があるはずです。
さっそく試走してみましたが、手元はほっかほかで、脚もとに吹き付ける風も穏やかになっているのを感じます。寒さを和らげることで、より安全に運転ができそうです。
<写真・文/杉山元洋>
杉山元洋|自転車やSuperCubなどの二輪車と大衆酒場を愛する、下町育ちの編集者兼ライター。男性情報誌、ビジネス、生活情報、グルメなど、幅広い分野の雑誌・ウェブ記事制作に携わる。Instagramアカウント:xcub_redbear
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- Original:https://www.goodspress.jp/reports/423850/
- Source:&GP
- Author:&GP
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