先日アップルでM1チップ等の開発を主導していた人物がインテルに移籍したことが明らかになったばかりですが、今度はマイクロソフトがアップルからベテランのチップ設計者を引き抜いたと報じられています。
米Bloomberg報道によると、アップルのチップ設計者だったマイク・フィリッポ(Mike Filippo)氏が離職してMSに入社したとのこと。それはご本人のLinkedInプロフィールにも明記されていますが、Bloombergは同氏の移籍を、MSが「自社のサーバーチップへの取り組みを拡大しようとしている」動きだと推測しています。
フィリッポ氏は、10年間Arm社でトップの半導体設計者として活躍した後、2019年にアップルに入社。それ以前はインテルとAMDの両社に在籍したこともあり、Bloombergは「スマートフォンなどにおけるArmの基盤技術の能力を向上させたと評価されている」と実績を説明しています。
iPhoneのAシリーズチップとMacおよびiPad用のMシリーズチップは、Armアーキテクチャをベースにしています。アップルが2019年5月にフィリッポ氏を採用した際には、Mac用プロセッサにおけるインテル製からArmベースAppleシリコンへの移行(Appleシリコン正式発表は2020年6月で、約1年後)に大きな恩恵をもたらすものとして注目を集めていました。
またMSがサーバーやSurface PC向けに独自Armプロセッサを開発しているとの噂はこれが初めてではなく、2020年末に報じられたこともあります。その噂を伝えたBloombergは、インテルへのチップ依存度を下げるためのMSの戦略の一環だと示唆していました。
かたやアップル側から見れば、Appleシリコン開発を支えてきた主戦力が次々と退社し、競合他社に参加する流れにあります。
ここ数年でもM1チップやT2セキュリティチップ開発を主導してきたジェフ・ウィルコックス氏がインテルに移籍したほか、iPhoneのAシリーズチップ開発を率いた人物らがNuviaという半導体スタートアップを立ち上げ、最終的にはクアルコムに買収されました。
こうした人材の引き抜きを防ぐため、アップルは2021年末に一部のトップ従業員に稀に見る高額な株式ボーナスを支給したと報じられていました。これらの額は約5万ドル~18万ドルで、ほとんどが4年間で権利確定するように設定されているのこと。
つまり、少なくとも主要な独自チップを開発している最中には離脱しないよう、対策しているのかもしれません。
(Source:Bloomberg、LinkedIn。Engadget日本版より転載)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2022/01/14/microsoft-poach-key-apple-semiconductor-enginner/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Engadget Japanese
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