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大阪大学医学部付属病院とTXP Medical、治験や臨床研究のデータを標準化し効率化する電子ワークシートの共同開発を開始

大阪大学医学部附属病院とヘルステック企業TXP Medicalは1月11日、治験や臨床研究のデータ収集を標準化し効率化することを目的とした電子ワークシート(症例報告書)開発のための共同研究を開始すると発表した。治験や臨床研究の現場担当者の負担を軽減し、医薬品、医療機器開発の発展に貢献するという。

通常の診療とは異なり、治験では特別な臨床データの収集が必要となる。通常それら被験者情報は、紙媒体のワークシート(症例報告書)に記入され管理されている。臨床試験値など、病院内でデータ化され電子的に管理されている情報であっても、医師や臨床研究コーディネーターがそれをワークシートに転記して、さらに治験依頼者が用意したEDC(Electronic Data Capture System)に打ち込むという作業が求められることもある。

その結果、電子カルテ、ワークシート、EDCと3つの異なるデータソースの整合性を確認する必要が生じ、ワークシートに修正があれば、整合性確認をその都度行わなければならなくなる。担当者の負担は増大し、多くの時間も食われる。転記ミスやチェック漏れなどのヒューマンエラーが起きる恐れも少なくない。

そうした手作業を軽減しようと、電子ワークシートの開発が開始された。まずは、過去の治験のデータを使って電子ワークシートのシステムを開発し、実現可能性の評価を行う。ベースとなるシステム開発完了後に、実際の治験や臨床研究に適用し、さらに評価を行うとしている。

電子ワークシートによって、業務の流れは以下のようになる。

  1. 電子カルテ入力時にテキスト構造化システムを用いて患者基本情報や基礎疾患情報、有害事象と考えられる記載を自動抽出し構造化
  2. 治験特有の評価項目を電子ワークシートに入力
  3. 他院の服薬情報や臨床検査値はOCRで院内環境の電子カルテより抽出し構造化
  4. 院内ネットワークに構築された治験に必要な構造化データをQRコードに変換し、院外ネットワークの電子ワークシートに統合

電子ワークシートは、2022年3月末をめどに大阪大学病院所属のCRCグループと共同でブラッシュアップし、仕様を決定する。そして4月末をめどに効果推定を行い、大阪大学病院の新規治験で試験活用が開始される。実用性が確認された段階で、他の医療機関にも展開を開始する予定。

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