【男前マルチツールの世界】
マルチツール。それは、手に収まるほどのコンパクトなボディにさまざまな道具を詰め込んだ“ハンドツール”。とかく専用ツールに比べ「間に合わせ」と思われがちですが、そこにはマルチツールだからこそ味わえる奥深い世界が存在します。
そんなマルチツールの男前な魅力を紹介する連載第16回は、GERBER「Armbar Drive(アームバー ドライブ)」(実勢価格:5300円前後)です。
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ガーバーと言えば米国ではLEATHERMAN(レザーマン)と双璧をなすマルチツールブランドです。ファクトリーナイフメーカーとしても大変ポピュラーなブランドなので、マルチツールに仕込まれたブレードに関しても定評があります。
今回ご紹介する「アームバードライブ」は、約2cm角のボディにナイフやドライバーなど計8種のツールを備えたアーミーナイフです。
メインツールはナイフですが、ドライブという品名から分かるように、ドライバーアームが従来のマルチツールやアーミーナイフには無い存在感を放つアイテムになっています。
まず、2cm角のボディというのが秀逸。握りやすくかさばらない、大人の手にちょうど収まるぐらいのサイズ感。しっかりと握ってトルクを掛けられる角柱ボディは、ドライバーにもナイフにも適したハンドルです。
ボディから展開したドライバーのアームは約5cm。通常、マルチツールに備えられたドライバー類の長さは1~3cmほどのものが多く、一般的なドライバーの半分以下のものがほとんど。そのため、狭い場所や深い場所にあるネジを締めたり緩めたりするには不便な場合が多いですが、このアームバーであれば一般的なドライバーと遜色ない程度の汎用性を持っています。
ロック機能は無いですが、それを逆に利用してL字のように使うこともできます。ドライバーアームの一部が凹んでおり、そこに人差し指を掛けるようにして持つと、より強いトルクが掛けられます。まっすぐ伸ばした状態でネジを締めていき、最後にL字にしてトルクを掛けるといった使い方ができますね。
ビットはマグネット式で脱落の心配がなく、プラスとマイナスがリバーシブルになっています。インパクトドライバーのビットキットを持っていれば、六角レンチやトルクスレンチなども付けて使えます。ユーザーが頻繁に使うであろうビットを収めておけば、使い勝手はさらに増しそうです。
▲厚さ約2.5mmの肉厚ブレード
刃渡り約6.5cmのブレードはストーンウォッシュ加工されたステンレス鋼。テープや糊などが付着し難い工夫が施されています。ライナーロック式で使用中に力を入れても勝手に折り畳むことはありません。
ブレードにはサムホールがあり片手での展開が可能。ナイフに定評のあるガーバーだけに切れ味は抜群。紙はもちろんパラコードなど丈夫な紐を切ることも簡単です。直刃のみなので太いロープなどは切り難いですが、メンテナンス性を考えて直刃が優先されたのかな?と思います。
ブレードが収納されるハンドル部はスケルトンになっており、軽量化とグリップ性が考慮されています。反対側のハンドルはアルマイト加工が施されたアルミ合金。現時点でオレンジ、オニキス、アーバングレーの3色展開。この部分の造形が美しく、指の掛かりも良いのが好印象。
▲折り畳み式のハサミ
マルチツールではお馴染みのミニハサミ。ミニマムサイズのハサミとしては切れ味抜群。しっかりとしたブレードがあるので要らないのでは?とも思いましたが、繰り返し行う細かな切る作業であれば、ナイフよりも効率はいいですね。
▲ハンマー
ツールの底部はハンマーになっています。ボディをしっかりと握って釘やペグをガンガン打ち込めます。精密ツールでは考えられないこのラフさがマルチツールの魅力でもあります。ただ、打撃面積は1.5×1cm程度と狭く、木ネジをハンマーで軽く打ち込んでドライバーでねじ込んでいく、そんな作業に適しています。自転車やバイクツーリングを楽しむ人であれば、ハンマーという重たい装備をひとつ減らせるかもしれません。
ちなみにハンマー部は可倒式になっており、開くと爪になり、栓抜きや塗料缶などの蓋を開けるクリッパーとして使えます。
▲錐(キリ)
木やレザー、布等に穴を開けるための錐も付いています。短いので対象に押し当てるようにしてグリグリと回して使います。刺すというよりもネジりこんで穴を開ける感じです。火種を作るための台座や簡易的な縫製作業で使用します。かなり先端が尖っているのでハンドルから取り出す時は注意。
また、ランヤードホールを備えているので、紐などを通すこともできますが、紐を通すにはちょっと中途半端な位置に感じました。別売りであるか確認できませんでしたが、クリップを付けると便利かも。
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機能は限られていますが、「何のために使うか、どのように使うか」が分かりやすいマルチツールだと思います。
アームバーは他にもバリエーションがあり、ワインオープナーを備えた「コルク」や、ドライバーをオミットして携帯性を重視した「スリム」など、ユーザーのニーズに合わせたモデルが展開されています。中でもこのドライブが最もポピュラーで汎用性が高いかもしれません。
ガーバーといえば、ディスカバリーチャンネルで放送されていたサバイバル番組『MAN VS WILD』のベア・グリルスが思い出されます。今でもGBのロゴが付いたナイフやツールが販売されているかもしれません。ナイフやマルチツールが好きな人であれば、ご存じではないでしょうか?
もう10年以上前の番組ですが、子供がギアマニアに成長するには充分な月日といえるでしょう。サバイバルTVショーは不滅のコンテンツです。過酷な環境下では人かくもは弱い生き物だ。しかし、正しい知識とツールがあれば生き抜くことができるぞ! という趣旨の番組は、古今東西存在します。
その中で登場するマルチツールに心を踊らせた人であれば、このアイテムはオススメです。まずは、新生活の組み立て家具に使ってみてもいいかもしれません。生きることはサバイブすること。コンパクトなボディは日常からアウトドアライフまで幅広く使える1本です。
<取材・文/GOL>
GOL|歯科技工士、ECディレクター、webライターまで幅広く活動しております。指先に伝わるハンドツールの質感や重さ、音などアナログな部分に惹かれて今に至ります。一番好きなのは懐中電灯。
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- Original:https://www.goodspress.jp/reports/427078/
- Source:&GP
- Author:&GP
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