AFVといえど元は民生用!視界の良さそうな操縦席は要塗装【達人のプラモ術<D9R装甲ブルドーザー >】

【達人のプラモ術】
モンモデル
1/35 イスラエル陸軍 D9R装甲ブルドーザー
02/06

戦闘機やバイク、ロボット、スポーツカーなど、さまざまなプラモデルの作り方・楽しみ方を紹介する、プロモデラー長谷川迷人さんによる【達人のプラモ術】。

イスラエルお得意の魔改造を施されたブルドーザー「D9R」のキット製作。2回目となる今回は、AFV(装甲戦闘車両)としては珍しいインテリアに取り掛かります。戦車キットには再現されていないインテリアですが、そこは元民生用。こんなところでも、魔改造らしさを発揮している車輌ですよね。

*  *  *

はたらくクルマはプラモデルの中でも、やっぱり人気が高いんですね。近年、模型メーカーのハセガワがロードローラーやパワーショベル、さらにはコンバインまでプラモデル化して人気を集めています。そんな中でも装甲ブルドーザーなんてのはやはりマニアックなアイテムであることは間違いなし。D9R製作の第2回となる今回はキャビンの製作と塗装編! さてどう塗りますか。

★達人流製作のポイント!★

①塗装は指定メーカーでなくても大丈夫、好みの塗料を使おう

②細かいパーツは取り付けてから塗装する

③ウインドウパーツ(防弾ガラス)は色付きがオススメ

 

長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTubeでは「プラモ作りは見てナンボです!「@Modelart_MOVIE」も配信中。

 

■キャビンは先に塗装するべし

昨今はAFVモデルの場合、とりあえずパーツを組み上げてしまってから車体の塗装というのが一般的。戦車なんかでは。一部のモデルを除いてインテリアは再現されていないので、内部は見えないんだから組んじゃってから塗装すればOKというワケです。

しかし今回のD9Rの場合はそうはいかないんですね。もともとは民生用のブルドーザーですから、視界の良さそうな大きなキャビン(操縦席)がついています。完成後も内部が見えるので、先に細かく塗装をしておかないといけません。

キャビンはパネルを組み合わせていく箱組みのような構成になっているので、後から塗装するのは無理。AFVモデルでも、ジープのようにカーモデルに近いものはありますが、D9Rの2人乗り(運転手とオペレーター)のキャビンは大きなウインドウに囲まれていて、ハンドルではなくレバーに囲まれた操縦装置が「あぁキミはブルドーザーだったよね」と実感させてくれます。それにクッション性の良さそうなリクライニングシートを装備した軍用車両ってのは新鮮です。

▲キャビンを構成するパーツはパネルを箱組みして製作していく

▲内部にシートや計器パネルを取り付けていく構成

▲キャビン内部は、下地にセミグロスブラックを塗装

▲下地塗装後、エアブラシで指定色を塗装していく

▲キャビン内部はヘンプ、シート類は黒といった具合に指定のカラーで塗り分ける

 

■塗装は馴染みのある塗料でOK

キャビンの塗装はインスト(説明書)の指示に沿って塗装していけばOKです。ただ本キットの塗装指示はファレホカラー(スペイン製の水性アクリル塗料。無臭で色数も豊富で国内でもかなり普及している)で指定されているので、馴染みのない方はちょっと戸惑ってしまうもしれません。しかし指定色は全て、Mr.カラーやタミヤカラーに置き換えられます。今回はMr.カラーを使用して塗装しています。

▲塗装指示が日本語で記載されているのはありがたい。とはいうものの指定の塗料はファレホとなっている

▲今回塗装はMr.カラーを使用。キャビン内部の指定色ヘンプは336番(英国空軍機色)となる

キャビン内部はヘンプとホワイトで塗装。下地にセミグロスブラックを塗装したのち、ヘンプはMr.カラー336番を使用し、ホワイトはあえてMr.カラー314番(やや青みがかった白:イスラエル空軍機色)で塗装します。

また内部は塗装後、ディテールにタミヤスミ入れ塗料のブラックを使い立体感を強調しています。

キャビン内部は操縦用のレバーや手すりなど繊細なパーツが多いので、破損させないように気を付けます。実は作例ではパネル内側の取り付ける手すり(すごく細い)を折損させてしまったため、0.4mmの真ちゅう線で自作して取り付けています。

▲基本塗装後にパーツの細かいディテールが際立つようにタミヤスミ入れ塗料を入れていく。この際攪拌しないで薄めで使うと、仕上がりが不自然にならない

▲計器盤はデカールで再現されているので、Mr.マークセッターを使ってパーツにしっかりと密着させる

▲基本塗装が完了したキャビン

 

■リアルな防弾ガラス

装甲ブルドーザーだけに、キャビンをぐるりと囲むウインドウは全て防弾ガラス仕様。キットのクリアパーツは薄いブルーと透明の2種類が用意されており、好みで選べるようになっています。

▲透明と薄いブルーの色付き、2種類のクリアパーツが付属する。分厚い防弾ガラスのイメージを再現できる青い色付きのパーツがオススメだ

実車を調べてみると薄く色のついたウインドウが付いているので、作例でもブルーをチョイスしました。ちなみにキットのウインドウは上手いパーツ構成によって、分厚い防弾ガラスに見えるようになっているのが面白い。

キャビンは塗装とウインドウパーツを取り付けたパネル6枚で構成されています。パーツは精度が高く隙間や段差が生じないのは流石といったとところです。またキャビンのドアは開いた状態を選べます。

ここまできたら車体と一気に合体させて先に進みたいところなのですが、焦っちゃいけません。キャビンにはウインドウがあるため、車体塗装の際に塗料がつかないようにマスキングをしなくてはいけません。エアブラシ塗装は小さな隙間でも内部に塗料のミストが入り込んで静電気でクリアパーツに付着してしまうので、マスキングは隙間を作らないように気を使う必要があります。

▲ウインドウパーツはキャビンのパネルをMr.カラー314番で塗装した後にはめ込み、内側から抑えのパーツで固定する。これで厚みある防弾ガラスのディテールがリアルに再現される

▲ウインドウ取り付け後に計器盤を取り付けたキャビンの外板

▲組み立てと塗装が完了したキャビン内部と外板

▲前回完成させた車体にキャビンを仮組みしてみる

▲乗降用ドアは開状態も再現可能

というわけで今回はここまで!

次回は、いかにもブルドーザー的な足回りの製作と金属製履帯の組み立てを進めます、お楽しみに!

 

>> [連載]達人のプラモ術

<製作・写真・文/長谷川迷人>

 

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