新型コロナの感染拡大を受け、大規模災害発生時の避難所のあり方が見直されています。感染拡大防止の観点から過密化回避などの対応が求められるため、1ヶ所の避難所には従来ほど多くの被災者を受け入れず、民間施設などを開放した分散避難の実現が必要ということです。
しかし、分散避難を実現したとして「複数箇所の避難所に対する管理・支援はどうするのか」「避難所が増えたことで被災者は迷わないだろうか」などの疑問も浮かぶでしょう。
そこで福岡工業大学(以下、福岡工大)の石田研究室は、避難所の混雑状況をPCやスマートフォンでリアルタイムに確認できる「混雑状況可視化システム」を開発しました。
非接触受付と情報一元管理、ARナビも
同システムでは、避難所へ到着した被災者に、自身のスマートフォンから名前・年齢・性別・怪我の状況などを入力し“避難者登録”をしてもらいます。
システムへのアクセスは、BLEビーコンで端末にアクセス画面を自動送信する方法と、NFCタグやQRコードに端末をかざしてもらう方法を想定。これにより、従来の人手による“受付”は最小限に抑えられるでしょう。
こうして収集した避難者情報を災害対策本部などで一元管理。担当者は、避難所の収容人数や被災者の情報をもとに支援物資の内容や量を決定します。このような仕組みで、避難所管理の人手不足解消と効率的な支援をサポートしていくとのことです。
一方、被災者は各避難所の混雑状況を確認し、空いている避難所を選べます。また、心強い機能としてARナビ機能を実装。現在地から最も近い避難所へのルートを実際の風景に重ねてナビを表示するため、ガレキなども確認しつつ安全に避難できそうです。民間施設などを急きょ避難所として解放した場合も、このナビがあれば迷わないかもしれません。
進む、避難所DX
“混雑状況可視化”というと、株式会社バカン(以下、バカン)を思い浮かべる人もいるでしょう。バカンは、マップ型リアルタイム空き情報配信サービス「VACAN Maps」を2020年8月より避難所にも提供。2021年8月には1万件の避難所に採用されています。
さらに2021年10月には、Gcomホールディングス株式会社と共に、混雑可視化に加え非接触型の避難所受付を可能にするサービス実現に向け取り組みをはじめました(詳しくはこちら)。
こうしてみると、避難所における課題として、混雑状況把握と非接触受付の実現などがあるとわかります。このたび福岡工大が開発したシステムは、ARナビ搭載という点においては、よりユーザーフレンドリーと言えるかもしれません。
(文・Higuchi)
- Original:https://techable.jp/archives/173570
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:樋口
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