海洋植物で脱炭素化を加速! ウミトロンとENEOSが資本業務提携、ブルーカーボン事業始動

世界の水産養殖生産量の約半分は、藻類・海草などのようです。近年、そんな海藻養殖における炭素固定の効果が注目されているのをご存知でしょうか?

藻類・海草などが吸収する炭素を“ブルーカーボン”と呼び、ブルーカーボンを隔離・貯留する海洋生態系を“ブルーカーボン生態系”といいます。脱炭素社会実現に向け、このブルーカーボン生態系の重要性が注目されているところです。

そんななか、UMITRON PTE. LTD. (以下、ウミトロン)とENEOSホールディングス株式会社(以下、ENEOS)は資本業務提携を締結。ブルーカーボン事業の共同研究を開始しました。

ウミトロンの海洋モニタリングサービスなどを活用

ウミトロンは、IoTやAI、衛星データなどを活用した水産養殖ソリューションを提供中。代表的なのは、衛星データを活用した水産養殖向け海洋モニタリングサービス「UMITRON PULSE」でしょう。

同サービスでは、過去2年にわたる全地球の海洋環境データをモニタリング可能。海面・海中の水温をはじめ、海流・クロロフィルa・塩分・風・波高などの海洋状況を直感的に把握できる仕様です。また、48時間の予測データでリスク管理ができるのもポイントとなります。

一方のENEOSは、近年CO2削減の観点からブルーカーボン事業に注力してきました。今回の提携により、ENEOSの有するブルーカーボン領域でのノウハウや、ウミトロンが蓄積してきた水産養殖における技術・事業基盤を活用し、ブルーカーボン事業の共同研究を行う見通し。たとえば、「UMITRON PULSE」のデータから海藻類の生育適正域算出などを視野に入れているようです。

グリーンカーボンの最大40倍の速さで炭素を貯蔵

国内の人工林が成熟期を迎え、森林のCO2吸収量が急速に減少傾向にあります。そこで注目を集めているのが“ブルーカーボン生態系”です。

ブルーカーボン生態系は、陸上植物などの作用でCO2を吸収するグリーンカーボン生態系と比較して、最大40倍の速さで炭素を貯蔵するとか。国連環境計画(UNEP)の報告書「ブルーカーボン」では、「ブルーカーボンにより年間およそ5,000万トンのCO2を吸収、隔離できる」と発表されています。

グリーンカーボン生態系でのCO2吸収減少とブルーカーボン生態系のCO2吸収機能などを鑑みたとき、“2050年カーボンニュートラル”を目指すうえで、ブルーカーボン生態系の存在は非常に重要となるでしょう。

また、ブルーカーボン生態系は「海のゆりかご」とも呼ばれ、多様な生物の産卵場や稚魚の成育場ともなります。ブルーカーボン生態系を拡大していくことで、脱炭素化はもとより生物多様性の保護や食料供給、水質浄化など多くの効果を得られると期待されているようです。

PR TIMES
「UMITRON PULSE」サービスサイト

(文・Higuchi)


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