株式会社CureApp(以下、CureApp)と自治医科大学内科学講座 循環器内科学部門が共同研究を進めてきた「本態性高血圧症に対する治療用アプリ」は3月9日(水)、薬事・食品衛生審議会プログラム医療機器調査会において、薬事承認が了承されました。
高血圧症患者の生活習慣修正を支援
同治療用アプリは、本態性高血圧症の患者ごとに個別化された治療ガイダンスを直接提供し、正しい生活習慣の獲得をサポートすることで血圧低下または高血圧の状態から脱するという治療効果をもたらすことを意図したものです。
具体的には、血圧モニタリングと生活習慣ログから食事・運動・睡眠などに関する知識や行動改善を働きかける情報を治療ガイダンスとして提供します。
また、医師側は、医師アプリによって患者の生活習慣の変化などを確認できるため、時間が限られている診療の質向上や継続的な生活習慣修正の実施が期待できるようです。
あとは厚生労働大臣の承認を得るのみ
そんな同治療用アプリは、薬事・食品衛生審議会プログラム医療機器調査会において薬事承認が了承されました。2022年度診療報酬改定案で「プログラム医療機器等医学管理加算」の項目新設が了承されるなど制度面での追い風もあるなか、治療用アプリとして初のソフトウェア単体での薬事承認了承となります。
あとは厚生労働大臣の承認を得るのみ。同治療用アプリが正式に薬事承認されれば、高血圧症治療において薬だけに頼らずアプリで生活習慣の修正を支援するデジタル療法が実現するかもしれません。
本態性高血圧症は、脳心血管病(脳卒中や心疾患)最大のリスク因子と言われています。しかし、治療に不可欠な生活習慣の修正は、患者の意欲や環境などに左右されるため継続が困難。また、医療機関による効果的な介入も難しいという課題があるといいます。
こういった課題に対し、アプリという身近な位置から生活習慣の修正をサポートすべく開発されているのが同治療用アプリです。
CureAppが手がける“治療アプリ”
CureAppは、病気を治療するアプリである「治療アプリ」の開発に取り組んでいます。
代表的なのは、「CureApp SC ニコチン依存症治療アプリ及びCOチェッカー(以下、CureApp SC)」。2020年6月に薬事・食品衛生審議会(医療機器・体外診断薬部会)が薬事承認を了承し、同年8月に厚生労働省から正式な薬事承認を得た治療アプリです(同年12月に保険収載)。
「CureApp SC」は、禁煙外来にかかる患者を院外でもサポートする医療機器。患者用アプリ・ポータブルCOチェッカー・医師用アプリの3つで構成されています。患者用アプリでの治療ガイダンス提供や、COチェッカーによる自宅での一酸化炭素濃度計測などで“治療空白期間”を支援し、禁煙継続率の向上に貢献するというものです。
CureAppは現在、NASH(非アルコール性脂肪肝炎)やアルコール依存症、慢性心不全などに向けた治療用アプリを開発中。なかでもNASHについてはすでに臨床試験中とのことです。
Techable(テッカブル)では、これまで複数回にわたりCureAppを紹介してきました。過去には同社COOの宮田尚氏へのインタビューも行っていますので、興味のある方はぜひこちらからどうぞ。
(文・Higuchi)
- Original:https://techable.jp/archives/174996
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:樋口
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