こんにちは。「不自由は自由だ!」をモットーに、不便だらけの自然の中でいかに快適に過ごせるかを考え、キャンプをしているRYUです。
みなさんはキャンプの焚き火の際に、どうやって着火してますか? キャンプをやっていると人にいうと「じゃあ、火花を出して着火しちゃったりするの?」なんて聞かれること、ありませんか?
着火は本来、目的ではなく手段なので、方法はなんでもいいと思うのですが、ファイヤースターター(ファイヤースチール)での着火は、それ自体がちょっとしたエンターテインメント。火をつけられるとちょっと気分が盛り上がるというのも分かります。
そこで今回は、ファイヤースターターでの着火をしたことのない方、何度か試したけど火がつかなくて諦めた方、もしくはこれからキャンプを本格的に始めたい方に向けて、ファイヤースターターで簡単に着火する方法について紹介します。
さらに、焚き火の火のつけ方の基本もおさらい。この基本を知っておくと、ファイヤースターターだけでなく、マッチや火打ち石など、さまざまな着火方法でも対応できますよ。
■順番に火を育てることが、火のつけ方の基本
着火する際に一番大事なことは順番です。ライターやガスバーナーで、いきなりキャンプ場で購入できるような薪に火をつけようとしてもつきません。着火する際に覚えておきたいのは、次の3つのステップです。
1.着火しやすい「火口(ほくち)」を用意すること。
2.火口から火を大きく育てるための「燃料」を用意すること。
3.その燃料を使って、本当に火をつけたい「薪や炭」を燃やしていくこと。
これを理解できていれば、簡単に着火することが可能なのです。
例えば、BBQで炭に着火する場合、火口は着火剤です。一般的に購入できる着火剤は火をつけやすく、ある程度、火が長持ちします。しかし、着火剤に火をつけたからといって、備長炭のように着火しにくい炭にいきなり火がつくかというと、そうではありません。
着火剤に点火し、薪を小割りにしたもの(割り箸くらいの太さ)を数十本用意し、それを燃料にします。またその燃料をもう少し太い薪(指3本分くらい)を燃料にして火力を上げていきます。このくらいの段階になれば、焚き火台やコンロに十分な熱が回っているはずなので、備長炭でも着火していくでしょう。もちろん炭をバーナーやコンロで焼いてから使う場合は除きます。
■【火口を選ぼう】天然素材や自分で作れる火口
▲左からファイヤースターター、麻紐、チャークロス(コットン生地を炭化させたもの)、ファットウッド(赤松の樹脂)
先ほど火のつけ方の基本をおさらいしましたが、いよいよ、ファイヤースターターでの着火方法を紹介していきます。その前に、一番大事な火口の準備についてです。
着火剤を買って用意しておくのも安心ですが、もっと本格的に自然に近いものを火口にしたい! という方へ、私が使っている火口を紹介します。
私はキャンプ地で火口を調達することもありますが、予備で必ず火口セットを作り、湿気ないようジップロックなどの密閉性のあるビニール袋に入れて持ち歩いてます。
その中身は、天然素材だと白樺の樹皮、これは最強です。最近は手に入れらなくて、写真は取れなかったのですが、寒い地域の山には大体生えている白樺の皮が本当に優秀な着火剤になります。見つけさえすれば、簡単に着火剤として使用できるところがポイントです。
次によく使う天然素材の火口は、ファットウッドと呼ばれる赤松の樹皮です。松は油分が多い樹木ですが、枝の二股になっている部分などに油分が溜まってできたものがこのファットウッドです。
手に入ることは手に入るのですが、赤松全部がファットウッドなわけではないのと、油分が多いところを発見できても、削り出しす手間が少しあります。
天然素材の火口で私が白樺の次に多用するのは杉の葉です。スギは花粉症に困っている人が多いくらい、日本ではどこでも生息している樹木ですが、その葉っぱ(枯れて落ちた部分)は優秀な着火剤となります。雨で濡れていると難しいので、乾燥させて持ち歩きましょう。
完全に天然素材ではありませんが、麻紐をほぐしたものは着火剤として本当に優秀で、前述した火口より着火は容易です。そして、簡単に手に入るのも利点。最後に以前、作り方を紹介したことがあるのですが、チャークロスも優秀な火口です。
この火口の良さは、着火がもっとも簡単なところと、自分で手軽に作れるところです。ただ、着火後はフェザースティックや麻紐など、割り箸サイズの薪よりももっと細い燃料が必要になるというデメリットがあります。
■【着火しやすくする工夫】とにかく細かく削る
▲ファットウッドをナイフの背で削って、細かく粉状にしているところ
ここからはいよいよ着火の話なのですが、着火しやすくするために絶対にサボってはいけないポイントを2つ紹介します。ここだけ押さえておけば、ちょっとだけ練習すれば絶対に着火できるようになります。
逆に、ここをないがしろにしている人が多く、技術の方に目が行って、練習不足だからつかないと思っている人が多いですが、この前準備さえしっかり押さえておけば、絶対成功します!
まず、ひとつ目は写真のように火口をなるべく細かくして、粉末に近い状態にします。これは、チャークロス以外の火口すべてにいえることです。白樺の樹皮も杉の葉も、ファッドウッドも、できるだけ細かく、粉末ないしは糸状態にするために、擦ったり、削ったりしてください。可能な限り細かくしてください。そして初めは可能な限り、たくさん細かくしてください。慣れてくれば必要量がわかるので、苦労は少なくなります!
そして、いよいよファイヤースターターの登場です。
火口を細かくした後は、ファイヤースターターをナイフの背で擦り、マグネシウムを落とします。これ、結構大事な作業なのです。
2つ目に大事な点は、ファイヤースターターのマグネシウムを事前に丁寧にナイフで擦って、火口の上に落としておきます。この時は火花を出す必要はありません。写真では分かりにくいかもしれませんが、銀色の粒子が落ちてくるのでなるべくたくさん擦って落として置いてください。
このように、着火剤となる火口をなるべく細かくすること、そしてファイヤースターターのマグネシウムをなるべくたくさん落とすこと、この2つをちゃんと行えば、確実に着火できるようになります。私もこの作業をサボると着火できません。
■【着火時のコツ】ファイヤースターターを固定する
ファイヤースターターの先端は地面や台となる部分に押し当てて固定しましょう
着火する際に一番大事なのは、ファイヤースターターを金属で擦る(写真ではナイフ)ときの角度です。一番火花が出る角度で擦れるようには、ファイヤースターターを固定すると良いです。色んなやり方があるのですが、初心者の方はしっかりと固定して、後はどの角度が一番火花が出るか試してみるのが良いと思います。
ファイヤースターターの個体差や、擦るものによってもその角度は変わってくるので、一概に何度が適切とはいえないのですが、とにかく固定しましょう。ファイヤースターターも、擦るものも、固定しないと一定の角度で擦れなくて、火花が出にくくなります。
グリップも結構大事で、ちゃんと力が伝わるような持ち方(ナイフの場合は特に)をしましょう。ナイフでいえば、なるべく擦る方に近い部分を握り、親指を上の写真のようにナイフの横っ腹に当てて握ると、力がしっかりと伝わります。そして擦る位置ですが、ナイフの真ん中より根本になるべく近いところで擦った方が力を伝えやすいです。初心者の方は良く先端で擦っているのを見かけるので、根本の方で試してみてください。
しっかりと固定して大きな火花が出せるように練習してから、火口の上で実践してみましょう。
そして火がついた時の注意点なのですが、マッチを擦った時のように、火花が火口に着火するとボワっと、火が一瞬大きくなります。この時に擦っている手をちゃんと止めるようにしましょう。初心者の失敗で一番多いのが、焦って、擦っていて、その擦っている手で風を起こし、せっかく着火した火を消してしまうことです。
また、火が着いたら焦らないことが肝心です。焦らず、火口から、燃料に火を移してあげること。そして初めのうちは絶対に息を吹きかけないこと。これを守ってください。息を吹きかけると、熱量が上がらず、火が消えます。これも初心者に多い失敗です。
■ファイヤースターターは何で擦るのが良い?
私はほとんどナイフの背で着火しますが、ファイヤースターターを擦る専用のギアもあります。
何で擦ると一番火花が出るか? 結論からいうと摩擦が大きければ大きいほど火花が大きくなります。人によってはハサミを分解してハサミの刃の部分で擦っている人もいますし、加工して専用のものに作り変えている人もいます。基本は市販のもので、着火するのには十分なのですが、ここでは私が良く使っているナイフの背で擦る場合の話をしましょう。
ナイフの背で擦る場合は、ナイフの背がある程度尖っている必要があります。なので触って見て、ギザギザが感じられなければ、ヤスリや砥石で削って、尖らせることも大事です。
上の写真のファルクニーベン(ナイフ)は箱出し状態だと、背が少し丸まっていて大きな火花を出すのに十分な角度がなかったので、自分でダイヤモンド砥石でナイフの背中を擦って、ギザギザを出しました。こんなふうにちょっと工夫するだけでナイフで十分に大きな火花を出せるようになります。ただ、ナイフのデザイン的にちょっとの加工ではどうにもならないものもありますので、そこはお気をつけください。
■【注意点】固定すべきはファイヤースターターに限らず
ファイヤースターターを固定して火花を散らすと書きましたが、上の写真のようにナイフを固定して、ファイヤースターターを動かして擦る方法もあります。
写真では分かりやすくするために、ナイフの中央を擦ってますが、実際に着火する場合は、火口を置くところはナイフの先端だと思うので、ナイフとファイヤースターターを擦る部分はこの写真でいうとナイフの先端、つまり台に刺さっているところに近い方が良いということになります。
ナイフを固定して、ファイヤースターターを擦ってもちゃんと、火花が下に落ちているのがわかると思います。
さて、いかがでしたでしょうか? ファイヤースターターでの着火は、私も初心者の時に苦労しました。でも火口の選定、火口を着火しやすい状態にする。マグネシウムを丁寧に落とす。そしてファイヤースターターもしくはナイフを固定して火花が大きく出る角度で擦れれば、絶対に着火できます!
後は着火してから、焦らないこと。これを気をつけて、皆さんもファイヤースターターでの着火を楽しんでください!
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(文・写真/RYU)
RYU/「不自由は自由だ!」をモットーに、不便さの中でいかに快適に過ごせるかを考え、キャンプをしております。 経験、スタイルを問わず、少しでも参考になる情報を発信して行きたいと思います。Instsgramアカウント:@ryu chikazawa、YouTubeアカウント:Ryu outdoor ch #不自由は自由だ #アウトドアをこじ開けよう「初代 @sotoshiru アンバサダー」「@tobuy_official インフルエンサー」
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- Original:https://www.goodspress.jp/howto/437011/
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