「NetWalker」ランサムウェア攻撃関与の元カナダ政府職員が米国に送還、約32億円超相当のビットコイン押収

数十のランサムウェア攻撃を行ったとして起訴されたカナダの元政府職員が米国に送還され、この事件に関連して2800万ドル(約32億8500万円)以上のビットコインが押収された。

LinkedInのプロフィールによるとカナダ公共事業・政府業務省(PWGSC)でITコンサルタントとして働いていたSebastien Vachon-Desjardins(セバスチャン・ヴァション=デジャルダン)容疑者は、米国時間3月9日に米国に身柄を引き渡され、NetWalkerランサムウェアグループに参加した疑いで複数の罪に問われると、米国司法省(DOJ)は3月10日に発表した

NetWalkerは「Mailto」としても知られるRaaS(ランサムウェア・アズ・ア・サービス)で、ランサムウェアを展開するアフィリエイトを募り、身代金の一部を分配することで事業を展開している。このグループは2019年に初めて表面化し、その後、いくつかのハイプロファイルのサイバー攻撃と関連している。2020年6月にはカリフォルニア大学サンフランシスコ校を標的にし、その際に同校は100万ドル(約1億1700万円)以上の身代金を支払った。その3カ月後、NetWalkerはサイバー脅威スタートアップのCygilant(サイジアント)を襲った

このRaaS運営グループは、アルゼンチンの移民局、パキスタン最大の民間電力会社、そして新型コロナウイルスのパンデミック中には、多くの病院や法執行機関も標的にしていた。暗号資産分析会社Chainalysisによると、2019年8月から2021年1月の間に、NetWalkerが関与するランサムウェア攻撃は、4600万ドル(約53億円)にのぼる身代金を引き出しているという。

ヴァション=デジャルダン容疑者は、NetWalkerランサムウェアグループを標的とした国際法執行キャンペーンの一環として、2021年1月にカナダの警察に逮捕された。ケベック州にある彼の自宅を捜索した際、警察官は執筆時点で約2810万ドル(約33億円)相当の719ビットコインと、79万ドル(約7280万円)のカナダ通貨を発見した。米国とベルギーの当局は、NetWalkerが被害者から盗んだデータを公開するために使用していたダークウェブのサイトも差し押さえている

当時、ヴァション=デジャルダン容疑者は、カナダの裁判所で、コンピュータデータの窃盗、恐喝、暗号資産の身代金の支払い、犯罪組織の活動への参加に関する5つの罪を認め、7年の禁固刑を言い渡された。

ヴァション=デジャルダン容疑者は現在米国にいるため、コンピュータ詐欺と電信詐欺の共謀、保護されたコンピュータへの故意の損害、保護されたコンピュータへの損害に関連した要求の送信で告発され、さらなる罪に問われている。

有罪判決を受けた場合、NetWalkerランサムウェア一味との関わりにより、2700万ドル(約31億6800万円)以上の没収を求められる可能性がある。

ケネス・ポリテ・ジュニア司法次官補はこう述べている。「カナダのパートナーによる暗号資産の押収に代表されるように、我々は、国内外を問わず、ランサムウェアの収益とされるものの押収・没収を法的に可能なあらゆる手段を用いて追求します。当省は暗号資産だからといって身代金の追求と押収をやめることはなく、これにより、暗号資産を使って法執行から逃れようとするランサムウェア犯の企みを阻止します」。

ヴァション=デジャルダン容疑者の送還のニュースは、REvilランサムウェアグループのメンバーがKaseyaハッキングへの関与の疑いで逮捕され、米国で告発を受けるためにテキサス州に送還されたわずか数日後に発表された。

画像クレジット:TechCrunch(スクリーンショット)

原文へ

(文:Carly Page、翻訳:Den Nakano)


Amazonベストセラー

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA